シスプリワンピース
第12章 戦う妹、千影
壊された住宅街を通過するナミと白雪が着実に【白並木町】の繁華街へ近づいている。白雪「さすが、ナミさん! 道の選び方うまいですね」ナミ「フフン・・・伊達に航海士になった訳じゃないんだから・・・」道筋がようやく分かって、自慢した。が、しかし・・・「こいつらも麦わらの一味か!?」そこには、ダークプロジェクトの平社員達が数名程度集まった。ナミ「うそよ!!・・・うそよ!!(泣)」白雪「恐いですの〜!」少数の敵に立ちはだかれて驚愕するナミと白雪・・・見た目は名のない三下だが、2人にとっては絶体絶命のピンチか・・・ナミ「とにかく、逃げるわよ!!」白雪「はいですの!!(泣)」そう言って2人は逃げ出した。「逃がすな、追えええッ!!!」平社員達は、声を上げてすぐに追いかける。白雪「助けて〜!!」悲鳴を上げながら必死で走る。ナミ「もう少し頑張って・・・白雪!」その時ナミは、息を切らしながら、すかさず天候棒〈クリマタクト〉を太ももから出した。ナミ「たくさん出て来てよ!・・・“熱気泡”〈ヒートボール〉!!・・・“冷気泡”〈クールボール〉!!」両手でクリマタクトを手回し、シャボン玉のような気泡を立て続けに放出した。たくさんの気泡は1つにまとまり、積乱雲を造った。その人工積乱雲が、丁度敵の真上に広がっていく・・・ナミ「落雷警報にご注意ください・・・“サンダーボルト・テンポー”!!!」警告しながら、ナミは電気泡〈サンダーボール〉を天候棒〈クリマタクト〉から出して人工積乱雲にめり込ませた。すると・・・ゴロゴロと音を立て、大きなカミナリが放ち、襲ってくる平社員達を確実に狙った。「ぐあああああああ!!」平社員達は、黒こげになって倒れた。白雪「すごい・・・」驚きの目でナミを見ていた。ナミ「時間も着々と過ぎていく・・・早くみんなと合流してジャドーの野望を阻止しないといけない! 急ぐわよ、白雪・・・また近道教えてよ!」白雪「あっ、はいですの!」2人は、脇目もふらずそのまま繁華街へ向かった。ナミ「あとは、ルフィがジャドーを倒してくれれば良いけど・・・」そうであってほしい・・・と、つぶやきながらナミは一気に走っていく。
* * * * *ナミ達と分かれて、別方向に進んでいく千影と花穂・・・ここも、町外れか・・・辺りが瓦礫のように崩壊された柱や森林などに迷っている様子だった。花穂「ふえ〜ん・・・花穂達が選んだコース・・・間違っているみたいだよ〜・・・」花穂は嘆いている。千影「ここも手がかりが捕めそうにない・・・・・これを使うか・・・・・」千影は、手元のバッグから水晶玉を出して、黙想して天に掲げた。しかし・・・トシコ「見つけたよ!・・・小娘達」詠唱するタイミング悪い時に現れるトシコ、それがシルエットのように2人がいたことを確認した。花穂「きゃあ!・・・悪い人!」トシコ「あらあら・・・悪い人扱いされてはこまるわね・・・海賊の仲間になっているあなた達に言われる筋合いはなくってよ!」ゆっくりと前に近づいてくるトシコ・・・2人がうっかり目を逸らしたその隙に!花穂「ああッ!」突然、トシコが姿を消した。トシコ「どうやら護身が甘いようだね・・・」千影「・・・え!?」そして、千影のすぐ後ろに現れた。殺気迫る千影は冷や汗を出した。トシコ「このまま、刺しても構わないわよ・・・」すでに短剣を手に持ったトシコが刃の先を彼女の背中に向けて挑発した。千影「くッ!」千影は即座に彼女から離れた・・・しかしトシコもすぐに消えて今度は正面に姿を現した。千影「速い!?」彼女の動きに千影は動揺した。トシコ「フ、速いではない・・・『ナゾナゾの実』だからなの!・・・あたしの能力は謎めいた攻めが多いため、常に先を読まないと全く勝てないわよ!!」クールに笑いながら言った。花穂「花穂達ね・・・今探している人がいるんです〜・・・ても急いでいるの・・・だからね・・・お願い、見逃して〜!」兄に会いたいため、必死にお願いする花穂・・・千影「無駄だよ、花穂ちゃん・・・・・この人も『ダークプロジェクト』の1人・・・・・私達を倒すのが目的なんだ・・・・・」しかし・・・すでに冷たい視線をしているトシコには受け入れられてくれそうにもない。トシコ「そう言うこと・・・話がわかるじゃない・・・」トシコは乙女チックな表情で答えた。花穂「ふえ〜ん・・・助けて!!・・・お兄ちゃま〜(泣)」命が狙われることに恐怖をあおぐ花穂は、青ざめながら張り声を出して泣いていた。千影「泣いては、ダメ・・・・・泣いたって始まらないよ・・・・・」花穂「じゃあ、どうすればいいの・・・」千影「過酷だけど・・・・・戦うしかないらしいね・・・・・」常に冷静な口調で言った。花穂「でも・・・強そうだよ〜!」恐々と敵を見て花穂は嘆いた。千影「私が相手してみるよ・・・・・戦えなく弱いけど・・・・・花穂ちゃんを見守るためなら・・・・・そして兄くんを助けるためにも挑戦せざるを得ない!・・・・・もしルフィさんやゾロさんと一緒なら・・・・・私が向かっていく必要なんてなかったでしょうに・・・・・」戦慄する千影は、ゆっくりとトシコの前に近づく。千影「『ナゾナゾの実』・・・・・私の武器で持ち応えてくれれば・・・・・いいけど・・・・・・」そして、浮き足立つ気持ちでポケットから武器を出してつぶやく。トシコ「へえ・・・そんなものであたしとやる気なの・・・はっきり言うけど・・・今のあんたがあたしに勝てる公算はゼロ!!・・・つまり100%あたしにやられるってわけ!」予測不能なナゾナゾの能力に対し、千影の武器はと言うとダーツと水晶玉・・・トシコの楽勝な告げ言葉に、彼女は余裕の表情すら浮かべない。仮にも相手は悪魔の実の能力者、しかもグランドラインを凌いできた生き残りの1人でもある。そのため、もともと戦い慣れしていない千影にとっては、かなりの不利となるだろう。千影&花穂VSトシコ・・・トシコ「それじゃあ!・・・容赦なく攻めさせてもらうわよ!!」千影「また、消えた!!・・・・・」千影は辺りを見回した・・・一体どこに!?花穂「千影ちゃん!・・・危ない!!」千影「・・・・・え!」油断した彼女の背後に・・・トシコ「フ・・・!」冷笑しながら・・・ピシッ!!!千影「痛い・・・・・」必死で身をかわすが、相手の反応についていけず肩に切り傷を負ってしまった。トシコ「もう一度行くわよ!!」続けてトシコは、両手に短剣を持って千影に襲いかかる。千影「この位・・・・・!」千影もトシコの隙を見計らって、数本のダーツを正確に投げつけた。千影のダーツの腕前は確実だ。術でかすかに操っているためか、定めた狙いは決して外さない彼女ならではの特技の1つでもある。投げたダーツは誘導ミサイルのように、相手の心臓めがけて飛んでいく。トシコ「甘い!」しかし、トシコはまた姿を消した。そして・・・千影「きゃあ!!・・・・・」あの千影が悲鳴を上げた。彼女に何が起きたのか!?・・・顔を花穂が両手を開くと・・・花穂「千影ちゃ〜ん!!」体勢を崩した千影が痛そうに肩を押さえるのを見て、花穂が悲しそうに叫んだ。トシコ「おやおや、戦法が全然なっていないわね!・・・基本からやり直したほうがいいんじゃないの?・・・まあ、洗練された戦力があったとしても、まだまだ、あたしに勝てないけどね!」やはり能力者のトシコと千影とでは、戦術も技量も雲泥の隔たりがあったのか・・・自分のお手元の武器では、相手を倒すどころかかすり傷1つにもおぼつかない。千影「強い・・・・・」千影の瞳から、涙が滲んで くる。反撃できる術が出てくるのだろうか・・・・・・白並木町北西の下町では、チョッパーと雛子と亞里亞が懸命に兄を捜している。雛子「やっぱりここもいないね・・・」亞里亞「兄や・・・・・くすん・・・・・くすん!」雛子「ヒナ・・・もう疲れたよ〜!」チョッパー「諦めないで探すんだ、兄はどこかにいるはずだよ!」何度探しても兄がいないことに嘆く雛子と哀しげに泣き始める亞里亞に、チョッパーが必死になって励ました。雛子「だって・・・だれもいないんだよ・・・もうどこさがしても同じだよ〜・・・」チョッパー「他のみんなも必死で探しているよ・・・だからもう少し頑張ろうよ!」雛子「うん・・・わかった」亞里亞「早く・・・・・兄やに・・・・・会いたい・・・・・」そして、ここが都内でも有数の進学校、白並木学園若華学院の正門付近・・・チョッパー「わあ、何だ!・・・あそこにでっけェ建物があるぞ!・・・もしかしてみんなはあの中にいるのか!?」雛子「違うよ、あれは学校だよ。ヒナ達は、あの学校でみんなといっしょにお勉強しているんだよ。」チョッパー「そうか・・・学校って言うんだ」学校っていう言葉に初めて聞くチョッパーは、内容がどういう意味かがわからずただ納得しただけだった。雛子「ひょっとしたら、学校にだれかいるかもしれないね」雛子は言った。亞里亞「いる・・・・・」チョッパー「だったら早く助けを求めようよ!」雛子「うん・・・そうだね」助けが欲しいとさらっと言うチョッパーに雛子はうなずく。 亞里亞「兄や・・・・・いるかな・・・・・」雛子「いるといいね・・・」おずおずと亞里亞が伺うように話すと、雛子は無邪気な顔で答えた。3人は、早速校舎の中へと走って行った。・・・その頃、町外れでは、やはり千影が苦戦していた。トシコ「あ〜あ・・・がっかりだね! 何であたしだけこんな脆弱な小娘なんかと相手にしなければならないのかしら・・・麦わら一味のようなもっと腕のある奴と勝負したかったわ!!」いやみったらしく千影相手に連続攻撃をするトシコは、戦いに物足りなさを感じていた。千影「くッ・・・・・くッ!」トシコ「『泣いたって始まらない』ことを言っていたのは、そっちでしょう・・・自分で言っておいてどうして泣くのかしらね!?」トシコが茶化するような言葉を無視して涙が滲んでくる千影・・・いくら冷静な彼女でも可憐達と同じかよわい女の子、傷の痛みと悔しさがこらえきれずに泣き出してしまうのは当然だろう。花穂「ふえ〜ん!・・・千影ちゃんが可愛そうだよ〜・・・どうしよう・・・」どうすることも出来ない彼女は、びくびくと1人で嘆いていた。花穂「花穂が恩返しするって言ったんだから・・・花穂が何とか助けてあげないと・・・」しかし、今の彼女の力では到底太刀打ちできるような相手ではない。だからと言ってめった叩きにされている千影をほおっておくわけにはいかない・・・花穂「よ〜し、こうなったら!」千影を助けるために彼女が決断した行動とは・・・花穂「フレ〜、フレ〜!ち〜かげちゃん!!・・・頑張れ!頑張れ!ち〜かげちゃん!!」千影「花穂ちゃん・・・・・」近くで一生懸命にボンボンを振り回しながら応援している花穂を見て、千影はふと驚く。トシコ「あら、助けているつもり?・・・こんなおチビちゃんがあたしと相手でもする気なのかしら!」千影「危ない!・・・・・」花穂「いやあああ!!」こわい目つきで挑発するトシコに、あまりにも恐ろしさで一目散に逃げた。花穂「きゃあ!!」ゴテンッ!!!だが、慌てすぎたのか・・・すぐに転んでしまった。トシコ「フ、ドジな子ね!・・・でもあたしの能力から逃げられると思わない方がいいわよ!」遂に彼女の近くに来たトシコは、短剣で突き刺そうとする!ドスッ!!トシコ「ぐわッ!!」どうやら危機一髪か・・・千影の投げたダーツがトシコの右ひじを刺した。千影「刺さった・・・・・虚を衝かれたからか・・・・・そのためにわずかながら能力の効果が薄れた・・・・・そうか・・・・・まずは相手を油断させれば・・・・・いいのか!」目が涙で薄赤く染まっている千影がひらめいた。花穂「う・・・うえ〜ん!・・・恐いの〜!(泣)」この時、花穂の表情が雨雲よりも曇っていくような感じで涙が出た。千影「花穂ちゃん・・・・・私の所に・・・・・逃げて!」泣きながら、花穂はすぐに千影の所に来た。トシコ「痛ッ!このあたしに、傷を負わせて・・・しかも最も痛い箇所に!」千影「フ・・・・・末梢神経が多く存在している部分を・・・・・狙ったのさ!」トシコ「たかがラッキーパンチを与えたような攻撃で、いい気になるなよ!」千影「あと・・・・・勝利に結びつける拠点を・・・・・把握する方法とすれば・・・・・連星か!」彼女が決めたひと言・・・果たしてその作戦が功を奏したことになるのか!千影「花穂ちゃん・・・・・お願いがある・・・・・ちょっと耳かして・・・・・」花穂「う・・・うん!」千影は花穂の耳に傾けて、コソコソと話した。千影「(私が・・・・・相手を油断させておくから・・・・・その間にこれを水晶玉に垂らしてほしい・・・・・)」千影は黄色い液体が入っている瓶詰めを花穂に渡した。花穂「うん、わかった」花穂は何気なく了解した。しかし、謎の液体を彼女1人にお願いするのは、何か心細い気もするけど・・・今は実行しなければ相手を倒すのは困難だろう。トシコ「あんたがどんな策を立てようと、このナゾナゾの能力を見破ることは出来ないよ!」千影「『ナゾナゾの実』は悪魔との実質的な接触に関係している・・・・・悪魔は魔界に依存しているものの1つ・・・・・そして魔術とは・・・・・『接触の原理』によって・・・・・肖像画、毛髪、名前を使用し呪術を掛ける!」その時千影は特殊な白のロープを着こなし、首に掛けてある十字架のネックレスを天に掲げた。トシコ「フン・・・あたしの難解な能力ですぐに終わらせてあげるわ!!」姿を消して、反撃する。千影「風の精霊よ・・・・・私を・・・・・包みたまえ・・・・・」黙想しながら天に掲げてある十字架からつむじ風を発し、水晶玉を残して千影も姿を消した。バシッ!! ビシッ!! バシッ!!花穂「な・・・何が起きているのか、さっぱりわかんないよ〜・・・今垂らさないといけないのかな・・・」森林の枝が揺さぶるつむじ風に包まれながら応戦している千影の攻防は、外野でおどおどと戸惑っている花穂には全く見えなかった。その時、水晶玉に恍惚とした光を発した。花穂「もしかして・・・今ね!」花穂は、早速その液体を水晶玉にかけようと駆け付けた。しかし・・・花穂「きゃああ!!」ゴテンッ〜!!!慌てすぎたのか、落ち着きなかったのか、大事な所でまた転んでしまった・・・そして瓶詰めの液体は、放物線を描くような感じで前方にある木の枝にかかってしまった。花穂「ど・・・どうしよう!(慌)・・・千影ちゃんに頼まれた液体が・・・」花穂は自分のおかした失敗に嘆いた。そして、2人がようやく姿を現した。千影「かなり・・・・・きつい・・・・・」トシコ「フフ、未熟者!・・・」やはり千影は先程の生傷が絶えられなかったのか、姿勢が崩れている。花穂「ふえ〜ん・・・ごめんなさい、千影ちゃん・・・失敗しちゃったよ〜!(泣)」突然、花穂が嘆き声を出した。千影「え・・・・・何が・・・・・」花穂「だから〜、あれ・・・途中で転んで・・・こぼしてしまったの〜!(泣)」花穂はこぼした場所を、目線で示した。千影「心配ない・・・・・その方が・・・・・好都合だよ・・・・・」千影が目線で示した場所は、黄色く光っている液体が、トシコの体の一部に染み着いている。こぼれている間に、途中でかかってしまったのだろう。その染み着いた液体は、本人には気付いていない。花穂「この後、どうするの・・・」千影「まずは食連星を発生させる・・・・・ペルセウス座β星で『悪魔の頭』を意味する分光連星・・・・・その影となって見える2本のスペクトル線がペルセウス座のように描けば・・・・・それが彼女の唯一の弱点さ・・・・・」花穂「食連星?」千影「悪魔の心臓部として・・・・・その悪魔の頭となる連星を歪ませば・・・・・さらに絶大な効果が発揮できる!」花穂「花穂わかんない・・・」千影「花穂ちゃんは・・・・・今は何もしなくていいよ・・・・・敵に襲われないように・・・・・目を瞑って・・・・・私の後ろに隠れていて・・・・・」千影はチョークで地面に魔法陣を描き、その中心に水晶玉を静かに置いた。トシコ「フフフ・・・女の子同士で何の遊び、そろそろ消えてもらうわよ!!」冷笑したトシコは、2人に襲いかかろうとする・・・千影「Faire son apparition Montanari Geminiano・・・・・」襲われる前に速やかに彼女が詠唱すると、魔法陣から光が発し、そこからモンタナリ(※2)を召還させた。トシコ「クッ、眩しい!・・・何なの、この光・・・」その光は、自分達以外の部外者には目が眩んで全く見えない。「「「(お呼びでしょうか、ご主人様)」」」(アラビア語)千影「(主星と伴星を出現させてほしいの・・・・・彼女を倒したい・・・・・)」(アラビア語)「「「(かしこまりました・・・・・)」」」(アラビア語)トシコ「ええい!・・・そんな光で何が出来るの!!」トシコは『ナゾナゾの実』の能力で姿を消し、2人にトドメの一撃を刺そうとする!だが・・・トシコ「きゃああああ!!」奇怪なことに、彼女が全身に大傷を負った。そして、千影は次々と彼女の能力による謎の攻めを解き放つにつれて、じわりじわりとダメージを与えていく。トシコ「くッ・・・あたしの能力が・・・なぜだ!・・・天才でもない限り、あたしの能力を見破るのは不可能だ!・・・こんな小娘に、そんな知恵が浮かぶはずがない!」千影「甘く見ないで欲しいね・・・・・私だって・・・・・この位の計算は出来るんだ!!」その時、少しばかり怒りが隠っていた。確かに戦闘では全く素人の千影だが、常に高い判断力で、不利な戦力を補っている。どんなに難な計算もシミュレーションのように弾き出す答えは、完璧といっても良いほどの正確さだ。彼女の類稀なる頭脳は、もちろん学業にも大いに活かしている。その卓絶した実力は兄と同様、成績では学年でも1、2位を争う秀才である。トシコ「おのれ!・・・生意気な小娘・・・」千影「もう・・・・・あなたに・・・・・勝機はない!!」そして、召還したモンタナリによって、森林の一部だけを暗くさせた。出現させた主星と伴星の移動する速度を更に速めて明るさの周期的変化を歪ませた。トシコ「ぐわあああッ!!!!」千影「フン・・・・・許さないよ・・・・・街を荒らして・・・・・花穂ちゃんを襲い・・・・・私を傷つけた痛み・・・・・この罪は重い!!」千影は怒った顔で、もがき苦しむトシコに容赦なく食連星の技で攻撃していく。トシコ「ああああッ・・・(バタンッ)」千影「(この女をすぐに、生贄の祭壇へ・・・・・二度と現世に戻れないようにしてほしい・・・・・)」(アラビア語)「「「(はい、ただちに!)」」」(アラビア語)遂に倒れたトシコは、彼女が召還したモンタナリによって生贄にされた。そして、そのまま姿を消して、水晶玉から発した光も消えた。暗くなった森林も元の明るさに戻った。※2 モンタナリ→変光星を最初に発見した17世紀のイタリア天文学者勝者・・・千影千影「花穂ちゃん・・・・・もう目を開けても・・・・・大丈夫だよ・・・・・」千影が言うと、花穂はゆっくりと目を開けた。花穂「あれ・・・別に何ともない見たいだね」彼女が見ると、何事も起きていないような周りが静閑な林に囲まれた普通の原野だった。千影「フ・・・・・」花穂「ねえ、千影ちゃん・・・さっきの黄色の液体って何なの?」千影「・・・・・単なるリアルゴールドさ」花穂「リアルゴールドって、自動販売機やお店に売っている栄養炭酸ドリンクのことでしょ」千影「ああ・・・・・そのドリンクには・・・・・ビタミンB2が含まれており・・・・・それで紫外線を吸収して・・・・・可視光線を分散させる作用がある」花穂「へえ・・・」千影「この水晶玉をレンズの役割に使用し・・・・・そのドリンクの分散するスペクトルの光で・・・・・分光連星との明るさの周期的変化を・・・・・調整させたのさ・・・・・そして・・・・・主星と伴星を食連星と呼ばれる現象にして・・・・・おのおのの光点をペルセウス座のような形で・・・・・描いたんだ・・・・・」花穂「あれ、あれ・・・千影ちゃん・・・敵は?」きょろきょろと慌てながら、聞いてみた。千影「倒したよ・・・・・」腕を組みながら、クールに言った。花穂「千影ちゃん・・・すご〜い!!」花穂は感激した。千影「花穂ちゃんのおかげでも・・・・・あるよ・・・・・応援してくれたから・・・・・私は勝てたんだ・・・・・」千影が花穂に感謝する本音の気持ちとしては、ただ応援したからではなく、反撃できるきっかけを見つけてくれたからである。花穂「うん・・・あの時に助けてくれた恩返しなの・・・」千影「そうか・・・・・ありがとう・・・・・」花穂「早く、みんなの所へ行こう・・・お兄ちゃまも、きっと待っているよ」千影「ああ・・・・・そうだね・・・・・」傷口を押さえながら、花穂の肩を組んで、2人はベティーズへ向かう・・・* * * * *チョッパー&雛子&亞里亞VSオッカル白並木学園の静かな校舎から、3人が出てきた。雛子「けっきょくだれもいなかったね・・・」亞里亞「くすん・・・・・」2人はくたびれながらがっかりしていた。しばらく少し歩くと、どっからかともなくダークプロジェクトの準幹部、オッカルが現れた。オッカル「よう!・・・おまえら死にきたのかい・・・ケケケ!!」チョッパー「わあああっ! 助けてくれ〜〜!(泣)」雛子「いやあああ!!(泣)」亞里亞「恐い・・・・・(泣)」3人が慌てて逃げまくり、正門の壁に隠れた。雛子「トナカイさん・・・それでかくれているの(汗)・・・ふつう逆だよ〜・・・」チョッパー「ギクッ!・・・そうなのか〜!」チョッパーはかわいらしさにビクッと角を揺らしながら、慌てていた。壁とは対称に体が見えるような感じで隠れている彼は毎度のように普通の人とは違っていた。それがチョッパーにとっての隠れ方なのか、敵に丸見えの状態である。オッカル「おれから逃げられるなんて大間違いだぞ!・・・おまえら3人を消さねェと、おれもやべェ立場になるからねェ!」チョッパー「お・・・おれ達を消すのか!?」オッカル「そうだ!・・・ちびっ子共には可愛そうだが、死んでもらうぞ!!」チョッパー「わ・・・わわわわ!!」驚愕するチョッパーは、声すら出なかった・・・雛子「トナカイさん・・・恐いよ〜・・・わ〜〜ん!!」亞里亞「くすん・・・・・くすん・・・・・くすん・・・・・」チョッパー「そうか・・・に・・・逃げちゃあ、ダメだ!・・・おれも戦うってみんなの前で言ったんだ・・・この子達を守るためにもおれが何とかしてあげないと・・・」あまりにも怖さで泣き喚いている雛子と亞里亞を見て、ぶるぶる腰が引けながらも、敵の前に向かった。オッカル「おいおい・・・おまえが相手するのか?・・・タヌキ野郎!」チョッパー「おれはタヌキじゃねェぞ!!・・・トナカイだ!!」不機嫌な顔をして、言い返した。オッカル「どっちでもいい・・・どうせ殺されるのだからな!!」チョッパー「こ・・・殺されてたまるか!・・・おれは、おまえに勝つんだ!」全身を振るわせながら言った。オッカル「身の程知らずめ・・・死んで後悔しやがれ!!」気を集中させたオッカルは、速攻でチョッパーに襲撃する。チョッパー「づぁッ!・・・」敵の蹄がチョッパーの横腹をえぐった。チョッパー「いたたたっ!!(泣)・・・何だ、この痛みは!」傷がうなるような激痛に涙を出しながら、腹を押さえてゆっくり敵を見ると、何と動物に変身していたのだ。オッカル「気付いたか、ケケケ!・・・おれは『シカシカの実』を食ったシカ人間だ!!」チョッパー「くッ!・・・動物〈ゾオン〉系か・・・」どうやら、チョッパーのヒトヒトの実と同じ系列の能力者のようだ!オッカル「おれの攻撃は、通常のとは違うぞ! すでに痛み方で実感していると思うがな!」チョッパー「いたたたたたっ!!(涙)」じわりじわりと、おかしな激痛にチョッパーは喚いた。オッカル「気功術だ!・・・おれの蹄の気功は、相手の中枢神経を歪ますことができるのだ!!」チョッパー「き、気功術!?」オッカル「オラオラ!・・・どんどん行くぞ!!」オッカルは、容赦なく痛みもがいているチョッパーに攻撃する。チョッパー「ぐあッ!!・・・このやろう!!」チョッパーも負けずと重量強化〈ヘビーポイント〉で体をでかくして、オッカルに拳一発をお見舞いした。オッカル「ぐッ!・・・ケケ・・・いいパンチだ!・・・だが、この痛みもおれにとっては無効になる!」オッカルは、チョッパーからくらった患部に蹄を当てた。オッカル「“気の奥義その1”!・・・ハッ!!」蹄で気を集中させると、みるみる内に怪我が回復していった。チョッパー「治癒能力もあるのか!?」オッカル「気功治療だ!・・・おれの発する気の生体エネルギーは、自分の怪我を無意識に回復したり、気にいらねェ奴を殺したりすることのできる有能な技だ・・・これがおれにとっての医の戦術さ!」チョッパー「人をむやみに殺すような医の戦術なんて絶対にない!・・・そんなの医術じゃねェよ!!」雛子「そうだ!そうだ! トナカイさん、がんばって!」オッカルの医術の概念は絶対に間違っているとチョッパーが否定すると、後方で雛子が応援した。オッカル「その前に、深呼吸だ・・・気功治療は、けっこう神経すり減らすからな・・・」集中しすぎたのか、オッカルは反復呼吸を行った。チョッパー「疲れる技なのか・・・」チョッパーは唖然とする。オッカル「気を取り直して“気の奥義その2”! “蓮華銃〈レンゲガン〉”!!」指連打で、チョッパーを襲った。かわしきれずに数発の突きがはいった。チョッパー「いてててっ!!」ふらふらとチョッパーは、立ちくらみをした・・・苦しそうだ。雛子「どうしよう・・・トナカイさんが、死んじゃうよ!」亞里亞「くすん・・・・・」後ろの壁で隠れている雛子と亞里亞が悲しく嘆いた。オッカル「まだまだ、これからだぜ!!」続けて攻撃する。チョッパー「このままでは、やられる!・・・“ランブル”!!」チョッパーは、ランブルボールを口にした。ランブルボールの効き目は3分だ、自分で調合した黄色いあめ玉のような丸薬は、彼にとって強化するためのものであり、様々な体型に変身することができる。チョッパー「“飛力強化〈ジャンピングポイント〉”!!」カモシカのような長い足で思いっきりジャンプして、攻撃を避けた。オッカル「“気の奥義その3”!・・・」オッカルもジャンプして、チョッパーの所に追いつく。オッカル「“猛蹄孔〈スーパーフィンガーサミング〉”!!!」空中で、技を切り替えながら鋭い蹄でチョッパーの腹を突く。チョッパー「くッ!・・・“毛皮強化〈ガードポイント〉”!」すかさず自分の体の毛皮を丸く膨らまして、相手が仕掛けてくる攻撃を防御した。オッカル「おまえはすでに死んでいる・・・!」絵に描いたような渋い表情で宣告した・・・チョッパー「ぐあああッ・・・毛皮強化〈ガードポイント〉が効かない!・・・なぜだ!」ひでぶ〜・・・と、チョッパーは血飛沫を出しながら落下していく。オッカル「おれの気功術は、そんな防御技なんざ通用しねェぜ!!・・・気のエネルギーで、体の内部にまで浸透するのだからな!」チョッパー「がはッ!!」自分の最大の防御技をたやすく破られたチョッパーは、絶句して倒れていった。口から出血する程の腹の肉離れは、本人にとってはたまらなく痛いだろう。オッカル「ケケケ・・・もうそこまでのようだな!」雛子「いやああ!!」その時、雛子と亞里亞が悲しくしながら、チョッパーの所に駆け付ける。チョッパー「おれ、もうダメだ・・・せめておまえ達だけでも逃げて、兄に会ってくれ・・・」雛子「トナカイさん、死なないで・・・おねがい!」亞里亞「くすん・・・・・死んじゃあ・・・・・いやいや・・・・」2人は痛々しく横たわっているチョッパーを必死で起こそうとしている。チョッパー「雛子、亞里亞・・・」雛子「見て・・・ヒナね、いしょうけんめい、トナカイさんの絵も描いたの・・・」雛子は、かばんから小さな画用紙を出して彼に見せた。それは、クレヨン描きで雛子を中心に兄とチョッパーが3人で仲良く手をつないでいる絵だった。チョッパー「お、おれの顔か・・・」痛みで体をぶるぶる震わせながらチョッパーは一滴の涙を垂らした。自分の絵を初めて見て嬉しかったのだ。Dr.ヒルルクと会うまでは、長い間、周りの群れや人間から疎外されていた彼・・・こんなにまで、おれの事を気に入ってくれている人がここにもいるのだな・・・と。雛子「だから、がんばって生きのびて・・・そしたら、おにいたまと3人でなかよくお手々連ないであそびに行こう・・・」雛子は必死でチョッパーを励ました。亞里亞「亞里亞の・・・・・キャンディーもたべて・・・・・元気だして・・・・・」切なさそうに、自分のキャンディーをチョッパーに食べさせた。チョッパー「あ、ありがとう、おまえ達・・・おれ、もう一回やってみるよ!」雛子と亞里亞の見守る中で、涙を滲ませながらチョッパーは再び立ち上がる。オッカル「おいおい、まだ生きてやがるのか!?・・・何てしぶてェ!・・・普通なら、とっくに死んでいるはずだぜ!!」チョッパー「もう、おれはやられないぞ・・・この子達のためにも、おまえを倒す! “ランブル”!!」歯を食いしばるような感じで、チョッパーは再びランブルボールを口にした。チョッパー「“角強化〈ホーンポイント〉!!」オッカル「ならば、2段変形でトドメを刺してやる!!・・・“気の奥義その4”! “猛牛角嵐〈バッファローラッシュ〉”!!」オッカルは、四足歩行のシカに変身し、刃のような角をチョッパーに向けて突進する。チョッパー「であああっ!!」チョッパーは、相手の猛襲を、自分の角で必死に受け止めた。オッカル「無駄だ!・・・猛牛角嵐〈バッファローラッシュ〉は、おれにとっての究極な技だ!!」チョッパー「うわっ!・・・何のこれしき、“脚力強化〈ウォークポイント〉”!!」力の差で押されてぶっ飛んだチョッパーだが、後方で踏ん張りながら反撃に転じた。オッカル「死ねい!!」オッカルもすぐに突進する。ドガッ!!!変身したシカとトナカイが互いに衝突した。オッカル「ぐわっ・・・何!!」今度は、チョッパーの方に分があった。オッカルは血を出しながら、飛ばされた。チョッパー「今だ、“診断〈スコープ〉”!!」敵が油断している隙に、両手をくっつけて、ピピピピ・・・と的のように相手の弱点を探った。チョッパー「“腕力強化〈アームポイント〉”!!」上半身を大きく腕っ節を太くさせながら、まっすぐに敵の近くに来て・・・チョッパー「“刻蹄『桜〈ロゼオ〉』”!!!」チョッパーの渾身の一撃がオッカルの胸部を炸裂した。オッカル「ぐああああああ!!・・・」蹄の跡を刻まれながら、白並木学園校舎の屋上を渡って、はるか奥の海面まで、吹っ飛んでいった。そして、チョッパーの周りに桜の花びらが舞った。勝者・・・チョッパー雛子「わ〜〜い、やった〜!・・・トナカイさんが勝ったよ〜!」亞里亞「わ〜〜い・・・・・」2人は喜びながら駆け付ける。雛子「すご〜〜い!!・・・トナカイさんって、ほんとは強いんだね!」栄光な勝利をおさめたチョッパーが、かっこよく見えた。チョッパー「うわっ〜! だ・れ・か、医者〜〜!!」雛子「あんたでしょ!!」自分の傷だらけを見て、もがき喚いているチョッパーに雛子はつっこんだ。亞里亞「ふわふわ・・・・・」チョッパー「だから、おれはトナカイだ〜!」チョッパーも亞里亞につっこんだ。続く
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