シスプリワンピース

 

第14章 可憐の想い、麦わら復活

 


 

   可憐「お兄ちゃん・・・もしかして・・・」

      可憐は、並木道を見ていく内に次第に落胆していった。

      トラム〈路面列車〉が走る線路や駅は破壊され、電柱はバラバラに倒壊、町は荒らされ、数日前まで隠棲でにぎやかだった人々はだれ1人いない。瓦礫の山と化されたそこは、可憐にとって悪夢のような光景でもあった。

   可憐「気落ちしてはダメ! 信じる気持ちを持つの・・・」

      可憐は目を鋭くしてつぶやいた。その時の彼女の脳裏には、サンジや春歌から教えてもらった時の信念の事を想い浮かべた。信じて前向きに生きていけば、きっと叶えられると・・・けっして希望だけはすてなかった。

      可憐は諦めずに、東奔西走と駆けめくる。

   可憐「お兄ちゃん!!・・・お兄ちゃん!!」

      やみくもに走り、叫んだ。

      しかし、何も聞こえない・・・

   可憐「そうだ!!」

      その時、可憐は声を上げながらひらめいた。お兄ちゃんのお家に行こう・・・と・・・

 

      しばらく走り続け、息を切らしながら、ようやく兄の自宅へたどり着いた。

 

      ピンポ〜ン!! ピンポ〜ン!!

 

      可憐はドアホーンを鳴らした・・・やはり出てこない。

   可憐「お兄ちゃ〜ん!!!・・・可憐よ!!・・・開けて〜!!」

      ドンドンと必死にドアを叩いて呼んだが、それでも応答しない。

   可憐「やはり、いない・・・」

      ため息を付いた。

   可憐「でも、諦めない!」

      それでも本人はくじけずに、今度はショッピングモールへ駆け付ける。

 

   可憐「ひどい・・・」

      可憐お気に入りの繁華街は、ほぼ崩壊され、悲惨なものだった。唯一無事に残っているのは、からくり時計台と、町外れのプラネタリウムだけだった。

   可憐「お兄ちゃ〜ん!!!・・・お兄ちゃ〜ん!!!」

      ここでも可憐は、大声で叫び続けた。

 

      とその時、奥の森林から何か聞こえた・・・誰か来る!!

 

   可憐「もしかしてお兄ちゃん!?」

      可憐の表情が広がり、森林の近くまで走っていった。

 

      しかし・・・

 

ジャドー「お兄ちゃんじゃなくて、悪かったな!!」

      そこから現れたのは、なんとジャドーだった・・・可憐1人、最悪な危機だ!

   可憐「そんな・・・」

      ジャドーが凶悪顔で射竦めると、可憐は青ざめながら驚愕した。

   可憐「ルフィさんは・・・」

      恐る恐る可憐は、一歩一歩後退しながらルフィの存在の事に話かけた。

ジャドー「ルフィは死んだ・・・それがどうした!!」

      非情な答えが出た。

   可憐「そんな・・・ルフィさんがやられるなんて〜〜(泣)!!」

ジャドー「フン・・・あいつは今頃、おれの空洞の中で生贄にされているとこだ!!」

   可憐「だ・・・だって、ルフィさんは絶対にやられないって言ったんだもの・・・」

      実は4日前、ルフィは精悍な顔して、可憐に言ったのだった。おれは強いから、やられないと・・・その誓いをずっと信じてきた彼女は、ジャドーが話した言葉が今でも信じられなかった。

ジャドー「下手なロマンチストはよすんだな!!・・・お前も抹殺リストに登録されているため・・・そろそろ死んでもらおうかな!!」

   可憐「いやああ!!!・・・助けて〜〜!!!」

      可憐は悲鳴を上げた。しかし、感情が介入しないジャドーは指を鳴らしながら、ゆっくりと向かってくる!!!

 

     「「「待ちなさい!!!」」」

      と、その時、後方の森林から声が聞こえた・・・仲間の声だ! 命越えをしたかのように彼女は気を軽くした。

 

   可憐「春歌ちゃん・・・ロビンさん・・・」

      そこには、ジュアリとの死闘により負傷したロビンと春歌が帰って来た。可憐は涙を滲ませ、彼女達の所に逃げてくる。

ジャドー「むざむざ死に来たのか!!! ニコ・ロビン!!!」

      ロビンがやって来たことにジャドーが憤怒した。4年前の出来事以来、ロビンと再会したジャドー・・・かつて七武海に選任されなかった彼は、クロコダイルとペアーを組んだロビンに対しての憎悪感が一層増してきた。

 ロビン「あなたは、七武海になる前に自分の罪に対して粛正されなければならない・・・多くの人間による監禁、密殺、そしてここの住民達を恐怖に陥れたあなた自身にしか気づきえない欺瞞があるんじゃないのかしら・・・」

ジャドー「今まで犯罪組織にいたくせして偉そうな口叩くんじゃねェ!!・・・粛正されるのは、貴様の方だ!!」

 ロビン「選べる島なら、無人島だって幾つでもあるはず・・・ここの場所に何の目的があって、襲撃までして島を強奪しなければならないのか・・・なぜ犯罪を増やすのか・・・今のあなたの無法な行為にはとても理解に苦しむわ!!」

      ジャドーの叛逆に対しての反感を持ちながら、鋭い視線で睨み付けた。

春歌「誠に言語道断ですわ!!!」

      ロビンの後方に隠れながら、春歌も言い返した。

ジャドー「関係ねェ!!・・・海賊を獲物のように増やす場としては、この島の土地が必要となるんだ!!」

   春歌「冗談ではありません!! ワタクシ達の島の秩序を乱すような不逞で狡猾な人なんかに、この土地一筆たりとも譲りませんわ!!」

      春歌は怒気をぶつけながら、ジャドーのいいなりを断固拒否した。

ジャドー「譲らないじゃねェ・・・占領したんだ!!・・・政府との交渉も兼ねてな!」

   春歌「しかし・・・まだ承諾はされていないはず・・・」

ジャドー「しつけェ小娘だ!!・・・まあいい、その打算的な態度がどこまで持つかな・・・ここの島はもうじきおれが主導権となる・・・ヒヒヒ!!」

   春歌「くッ・・・」

      ジャドーが不適に笑うのを見て春歌は、長刀を強く握りしめた。相手が強敵なだけに手も足も出ない自分の無力さを実感した彼女は、その悔しさを味わっていた。

   可憐「可憐達の町はもうあの人に奪われるの・・・」

      ジャドーの傲慢な態度に可憐が落胆していった。

  ロビン「大丈夫よ、お嬢ちゃん・・・この島は、絶対にジャドーには渡さないわ!!」

   可憐「お兄ちゃんにも会えなかったし・・・住民誰1人も居なかった・・・」

      そして、瞳から悔しみ涙が溢れる。

   春歌「やはり・・・あなたが!!?」

      ジャドーの仕業だと言わんばかりに、取りも直さず視線を彼に向けて睨んだ。

ジャドー「フ!・・・ようやく気付いたか・・・そうだ、貴様らの兄や住民達は、おれの異次元空間の中で閉じこめてある!・・・我々の企業秘密に関わるため、いるだけ邪魔だからな!!・・・ま、時間が経てば経つ程、飢えに苦しみ、このまま死んでしまうだろう・・・ヒヒヒ!」

   可憐「ひどい・・・ひどいよ!!」

   春歌「たいそう、悪意がおありになられていますわね!!!」

      悲しみ嘆く可憐と憤りと苛立たしさでジャドーを直に憎む春歌・・・2人は、せせら笑いしている彼の残酷極まりない性格に、次第に絶望感が付きまとっていく。

 ロビン「心配しないで!・・・私が何とか救い出してあげるから・・・ジャドーの思い通りにはさせないわ!!」

      傷だらけになりながらもロビンは、冷静な言葉で可憐達をなだめた。

ジャドー「させないだと!!・・・そんなボロボロな状態で、このおれと戦う気でもいるのか!?」

 ロビン「あなたの怨恨なら私にあるべきでしょう・・・彼女達や住人には関係ないはずよ!!」

      今までジャドーの存在に恐怖していたロビンが、少しばかり勇気を出した。戦えない、弱い、そして兄の危機の事で悲しむ彼女達を見守るために・・・勇敢にジャドーの前に一歩一歩立ち向う。

ジャドー「おまえの存在自体も気にくわねェ!・・・もちろん、おまえらが築いた秘密結社もな!!・・・だから生き残りナンバーエージェントを片っ端から始末し、おまえら一味も始末する!!」

 ロビン「本当に執念深いわね!!」

ジャドー「フン、おれが七武海になれなかったのは、もともと貴様のせいだ!!!」

      自分の野望が叶えられなかったことに腹を立て、ロビンに責める。

 ロビン「契約を交わしたのはクロコダイルの方・・・私はただ彼に付いただけよ!!」

ジャドー「うるせェ!!!・・・懸賞金や実力ではおれの方が勝っていたんだ!・・・クロコダイルなんぞ七武海になれるはずがねェ!・・・にも関わらず、政府はあんなザコを承認させた!!」

  ロビン「・・・・・」

      過去の未練にこだわったジャドーの主張する事実に、ロビンは口を挟むことすらしなかった。

ジャドー「つまり、おまえとクロコダイルの合計懸賞金で、おれの七武海への夢は完璧に打ち消された!!・・・貴様1人のおかげでもな!!!」

      以前にクロコダイルとペアーを組み、世界政府の認定を意義なく許可されたことで、守衛されたロビンは、夢や目的のために、自分の身を守り通さなければならなかった。今まで強者に見守られることで生きて来た彼女は、それなりに敵も多かった。守られることは、ロビンにとって生き抜くための1つ手段でもあったのだ。

   可憐「ロビンさんって賞金首なの・・・」

   春歌「ええ・・・確か7900万ベリーと言っていましたわね・・・ワタクシも正直驚きました!・・・でも、あの体ではとても無理がありますわ!!」

      2人は後方で傷だらけのロビンを見て、心配していた。

ジャドー「そんなおまえらに七武海を取られ、おれは正直悔しかった!・・・ムキになっておまえらを1回襲うとした・・・それだけでも、政府から処罰を受けられて、さんざんだった・・・」

ロビン「あなたはただ・・・世界政府公認を羨望に、私達の客観的な計画が歯がゆいだけよ!」

ジャドー「ケッ!・・・やはり貴様は出会った時から、殺しておくべきだったな!!・・・にっくきクロコダイルと共にな!!!」

      むきになったジャドーは、ロビンを抹殺しようと襲いかかる。

     

  ロビン「“十六輪咲き〈ディエッセイスフルール〉”!!・・・“ストラングル”!!!」

      敵わないジャドーに恐怖心を感じるロビンだが、すぐに攻撃を開始する。

 

ジャドー「サブミッション〈関節技〉か!・・・話にならん!!」

      ハナハナの実の能力による16本の腕がジャドーを捕らえたが・・・

 

      ボワ〜ン・・・

 

      その能力で発した腕がジャドーの体内に吸い込まれてしまい・・・

  ロビン「きゃあ!!!・・・何!!」

      突如その技が、自分に掛かってしまった!

   春歌「ロビン様!!」

   可憐「そんなことってあるの・・・」

      可憐も絶句した。あのロビンの隙のない攻撃でさえジャドーの不可解な能力の前では全く通用しないおまけに、仕掛けた技が本人に返ってしまったからである。

 

 ロビン「ああッ!!」

      ロビンはもがき苦しんでいる。

ジャドー「どうかね、自分の技にかかった気分は・・・」

 ロビン「これが・・・アナアナの実の力・・・」

ジャドー「そうだ、おれは自分の能力ってのを常に駆使している!・・・この穴の原動で体内に存在している異次元空間により、技を跳ね返すこともできる・・・もちろん、おれの能力次第で、貴様の技をも操ることだってできるのだ!!」

 

      グキッ!!!

 

 ロビン「ああッ!!!」

ジャドー「貴様のゴミのようなちんけな技を使うのも気がひけたがな・・・」

 ロビン「あなたに、私の技を使用する資格なんてないわ!!・・・正直言って虫ずが走る!!」

ジャドー「そもそも貴様達のおかげで、おれ達の組織の野望は、完全に失墜した!!・・・たかが、プルトンのありかを目論むだけのくだらん理想郷にな・・・それだけのために、おれはこの海域で顔もないまま4年間も閉ざされて苦しんで来たんだぞ!!!」

      ボコッ!!!

 ロビン「げぼッ!!」

      その時、ジャドーは怒りを心頭に発しながら、ロビンに激しい蹴り一発をお見舞いした。

      ロビンはまた口から出血した。

 ロビン「私には、探らねばならない『歴史の在処』があるの・・・他人の島を無断で強奪し・・・私利私欲のために政府に貢献する愚劣なあなたなんかに、七武海として任を置くのは勿体ないくらいよ・・・」

      ロビンは技に掛けられたまま、息を切らしながら言った。

ジャドー「ほざけ!!・・・この4年間の苦しみ・・・今100倍にして、貴様の体に味わらしてやるぜ!!」

      ジャドーは、もだえているロビンを容赦なく袋叩きにした。

 

バキッ!!! ボコッ!!! バキッ!!!

 

ジャドー「こりゃあ・・・サンドバックにいいな!! このままもがき苦しみながら死ぬがいい・・・ニコ・ロビン!!!」

ロビン「あああッ!!」

 

  可憐「やめて〜〜!!!」

ジャドー「うるせェな、何だ、小娘!!・・・今、殺されかけるいいところなんだ!!」

  可憐「もうやめてください!! ロビンさんが死んじゃうわ・・・」

      飽きることなく殴り続けるジャドーを見て、痛々しそうに見ていられなかった。

ジャドー「こんな奴、死んで当たり前だ!!! この女は不幸を呼び起こす危険な人物だ!!・・・今ここで殺めねェと、これから先、大変な目に遭うからな!!」

   可憐「お願いです・・・わたしが身代わりになりますから、彼女達を見逃してください。」

ジャドー「何!!・・・おまえが、この女の身代わりになりてェのか!!?」

   可憐「・・・ですから、お願いです。」

      おどおどと恐怖心を抱きながら、ジャドーに視線をあわせた。

ジャドー「ほう、おまえにしてはなかなかの度胸じゃねェか!・・・いいだろう・・・」

      ジャドーは承知して、すぐに彼女の所に来た。

   春歌「身代わりって・・・・まさか可憐ちゃん!!」

      可憐の信じられない言葉に、春歌が動揺した。

   可憐「可憐・・・いつも助けられてばかりで、みんなの協力になれなくて・・・だから、今度は可憐がロビンさん達のお役に・・・」

      ジュエリと出会った時、3人とも殺される所だったが、可憐だけ兄に会わせるために、ロビンと春歌が助けてあげた。もう兄に会えなかった可憐が、せめてのお役に立ちたいと思い、決死の覚悟で向かう気持ちになっていた。

   春歌「いけませんわ!! 可憐ちゃん・・・兄君さまに会いたいと仰有っていたじゃないですか!・・・こんな所で身を投げ出すなんて・・・皆様がとても悲しみますわ!!」

   可憐「ごめんなさい、春歌ちゃん・・・可憐も本当は、死にたくないの・・・でも、みんなが助かるためには、こうするしかできないの!」

      涙に濡れる可憐が、視線を逸らしながら悲しい声で告げた。頼みの綱、ルフィがやられたという恐るべき屈強、ジャドーの立ちはだかる前に、ゾロやサンジもいない状況で、今いるメンバーでは奇跡が起きても全く敵わないのは一目瞭然であり、為す術もない。そのため、可憐は自分の身を犠牲に残りのみんなが助かれば・・・と、思ったのである。もちろん、兄や住民達も・・・

ジャドー「助かる?・・・何言ってやがるんだ・・・誰が先に死ぬかだ!」

      しかし、可憐の声が聞こえてしまったのか、彼の残酷な答えがでた!

   可憐「そんな・・・」

      ジャドーの言葉に可憐は、虚脱した。

ジャドー「いずれにせよ、全員死ぬんだ・・・おれ達の秘密組織ってのを暴いてしまったからにはな!!・・・生かしておくわけにはいかねェんだよ!!・・・おまえ達の兄妹やこいつら一味もな!!」

   春歌「卑怯な!!・・・身代わりってこと・・・了解したじゃないですか!!」

ジャドー「関係ねェ!・・・我々の鉄則するべき条理を乱さないためにも、根本から消さねェとな!!」

   春歌「すぐに可憐ちゃんから離れなさい!!!」

      可憐を助けるため、怒りをあらわにし、長刀を大きく構え『四の突』で勇姿とジャドーに向かった!

 

      バサッ!!!

 

春歌の長刀がジャドーを一刀両断したが、すぐに消えた!

   春歌「いやあ〜、刃が吸い込まれていく!!」

      自分の武器が突如出現したジャドーの奇妙な穴の中に吸引されていくのを、必死で引っ張っている。

 

      ガガッ!!

 

   春歌「きゃあ〜!!!」

   可憐「春歌ちゃん!!(涙)」

      ジャドーの能力によって地面から突如現れた凶器な槍が春歌を狙った。

春歌「足が!!!」

右足を狙われた彼女はバランスを崩して転んでしまった!

ジャドー「弱者が・・・いくら歯向かおうたって無駄なことだ、死にゆく同氏たちよ!!・・・すぐにお前もあの世に送ってやるからそう焦るな!!!」

      そして、後方から姿を現したジャドーが冷たい表情で、春歌を睨んだ。

 

ジャドー「そろそろ、覚悟はできたか・・・お嬢さん!!」

      ついに可憐の所に来た。もう誰も止めきれない・・・

  可憐「・・・」

      ジャドーは容赦なく、涙に濡れ、放心状態になった可憐の首を握りしめて、持ち上げた。

ジャドー「この海域ではな、男も女も強くなければならない!!・・・それがグランドライン・・・おまえにもっと腕力ってものがあればな・・・せめて、下等な部下一匹に傷1つは付けられていたのにな・・・しょうがねェな・・・こんなガキじゃあな・・・強くなれないのも無理ねェか!」

そして、アナアナの能力で、円形の落とし穴を出現させた。空洞は奈落・・・底には、溶岩の溜まりがもうもうと噴き出している!! 実はルフィもこの奈落に落ちてしまったのだった・・・

ジャドー「はっきり言って今のおまえの力では・・・ここの住民や兄は救えない・・・」

      ジャドーに首を絞められている可憐は、悽愴により涙が増していく・・・お兄ちゃん・・・と言いながら。

ジャドー「さて生贄の時間だ!!・・・せいぜい自分の非力さをあの世で後悔するんだな・・・あばよ!!」

      最期の言葉を告げたジャドーは空洞の上で可憐の首を放した。

 

   可憐「さよなら・・・お兄ちゃん・・・」

      気の毒に・・・可憐は涙を流しながらゆっくりと奈落の底へと落下していく・・・

 

      とその時だった!!

 

 ルフィ「大丈夫か、可憐!!」

  可憐「ルフィさん!!!」

 ルフィ「おっと、危ねェ!・・・危ねェ!」

      一人のヒーローが落下中の少女を抱き止めた! ジャドーにやられたはずのルフィが片手を空洞の中の岩壁の突起に掴まりながら辛うじて助かっているのだ。すぐ底には溶岩でコロナを噴き出しながら沸いている。まさに間一髪だ!

   可憐「可憐ね・・・可憐ね、もう死ぬかと思ったの〜・・・」

      恐怖と悲しみ、そして自分の弱さを感じた可憐は、余りにもの悔しさで無意識に号泣した。

   可憐「もう・・・お兄ちゃんに会えないと思っていたの〜・・・」

 ルフィ「泣くな、可憐!!・・・お前の兄ちゃんはきっと無事だ!!」

      声を上げて懸命に泣き尽くしている可憐・・・ルフィに言われてもやはり止まらなかった。2人の体は、溶岩の熱ですでに汗ばんでいた。

 ルフィ「心配するな!!・・・お前の兄ちゃん・・・必ずおれが会わせてやる!」

      ルフィが奈落の底から復活したのだ!!・・・片腕は可憐を抱き、もう片腕は突起を握りそれを重心にゴムゴムの力を利用して振り子のように勢いをつけながら、大きくジャンプした! そして、空洞から脱出し、地上に着地した。

 ロビン「ルフィ・・・」

      傷だらけになり、悶絶しているロビンだが、ルフィが復活したことには気づいていた。

   春歌「良かった、2人ともご無事で・・・」

      2人が助かったことに一安心した春歌も実は先程の戦いで足を痛ませていたのだ。

 ルフィ「可憐・・・この帽子おまえに貸してやる!!・・・だからおれを信じるんだ・・・あいつをぶっ飛ばして、この島の平和を取り戻すことを!!」

   可憐「うん・・・」

      ルフィは自分の帽子を可憐の頭にかぶらせた。彼にとって命の次に大切なもので、冒険や戦闘時にも常にかぶっていたのだ。それは、ルフィにとってあこがれの大海賊、『赤髪のシャンクス』から預かった麦わら帽子であった。ルフィが小さい時、海で海王類に襲われたところ、シャンクスは自分の片腕を犠牲にしてまで彼を助けたのであった。その恩でもあるがゆえにこの帽子だけは、誰にも譲らせない高貴のようなものである。それを可憐に貸してやると言うことは、本人がそれだけ彼女を信用しているのだからであり、必ずジャドーを倒して生還すると言う約束でもあったからである。

ルフィ「この戦いがおわったら・・・みんなで誕生パーティでもしようぜ!」

      ルフィは顔をニッっとしながら笑った。

  可憐「うん!!」

 

ジャドー「チィ!!・・・やはり生きていたのか・・・小賢しいやつめ!!」

      ジャドーは、しぶとく復活したルフィを睨んだ。

 ルフィ「ジャド〜〜〜!!!・・・今度こそおまえをぶっ飛ば〜〜〜す!!!」

      出血している腹を押さえているルフィは、燃えさかる炎のようにジャドーの前に向かった・・・最も下道、陋劣なジャドーを倒したいと言う怒りが最大限にヒートアップしたのだ。

ジャドー「ケッ、その体でこのおれに刃向かうつもりか!!?」

      彼の怒りもお構いなしにジャドーは冷笑する。

 ルフィ「うるせェ!!!」

      刃で貫かれて古傷を負っているルフィだが、今の彼にとってはどうってことない・・・ジャドーをぶちのめすことに狙いを決めているからだ。

 ルフィ「こいつらの痛み悲しみ、思う存分おまえに味あわせてやる!!! ゴムゴムのォォォォ“ブレッド〈銃弾〉”!!!」

 

      ホワ〜ン!

 

ジャドー「きかねェと言っているだろう!!・・・バカめ!」

      毎度のことに、ジャドーには通用しなかったが・・・

 ルフィ「“ムチィィィィ”!!!」

      とすかさず技を切り替えた!

 

      バキッ!!!

 

      初めて顔面に強烈なケリがはいったジャドーが、表情を苦ました!!

ジャドー「クッ!・・・野郎!!」

 ルフィ「ふ〜・・・ようやく当たったぞ!」

 

ジャドー「ふざけやがって!! “ホールウインドー”!!!」

      ジャドーは怒って、技を発動させた。今度は穴から吹き出す風である。

 

 ルフィ「ぐわっ!!・・・何のこれしき!・・・“ゴムゴムの鎌”!!」

      ルフィは暴風に巻き込まれながらも、空中で自分の技を繰り出す。

      ボワ〜ン!

      ジャドーの首をねらって、技が一度すり抜けていっても・・・

  ルフィ「“ゴムゴムの槍”!!」

      続けざまに両足を揃え、槍のように長く伸ばして、ジャドーの腹部を鋭く突き刺した。

ジャドー「ぐわああ!!!」

      ルフィの技をくらったジャドーは、ついに血反吐を出した。

   春歌「あのジャドーを押している・・・ルフィ様、想像もつかない程に強くなっておられますわね!」

      後方でルフィの凄まじい攻撃を見ていた春歌が驚いていた。

ジャドー「くッ!・・・たかが小物海賊1匹に、このおれがくらうはずがねェ!!・・・一体奴に何があるんだ・・・」

      ジャドーは苦渋しながら腹部を押さえ、もたついた。

 ルフィ「この曲、聞こえないか!」

      ルフィは仁王立ちして体を張った・・・そこから音楽が鳴り響いている・・・それは、妹達の大好きなクリスマスソングの曲である。

 

 

      船室で・・・

千影や花穂と一緒になってルフィは、ジャドーの作戦の打ち合わせの事を思い出す。

   千影「ルフィさん・・・・・このオルゴールを持っていくといい・・・・・ジャドーと戦う時・・・・・きっと役に立つから・・・・・」

   花穂「あっ!・・・花穂の大事なオルゴール・・・」

 ルフィ「オルゴール?・・・どうやって使うんだ・・・」

      ルフィはオルゴールの使い方を知らなかったらしい。

   千影「簡単さ・・・・・蓋を開けるだけで曲が流れる・・・・・」

      千影がおもむろに開けると、兄を中心に妹12人の小さなフィギュアが輪になって取り付けられている円盤が一定速で回転しながら、曲を流している。

  ルフィ「いつ見てもおもしろいオルゴールだな」

      興味津々にルフィは見つめていた。

   花穂「だから花穂ね・・・このオルゴールと〜ても大好きなの」

  ルフィ「で・・・これでどうやってジャドーに立ち向かえるんだ?」

   千影「フ・・・・・ジャドーの能力はブラックホール・・・・・ブラックホールは内部のドップラー効果が唯一の弱点であることが脱出した時点で明かになった・・・・・シルエットのように・・・・・異様な空間が歪められていく現象は光のドップラー効果だけでなく・・・・・音のドップラー効果にも絶大な効き目をもたらすことが・・・・・私の理論で証明できたんだ・・・・・」

 ルフィ「音のどっぷらーこうか???」

      初めて聞く言葉にルフィは、頭を悩ます。

   千影「つまり・・・・・こういうことさ・・・・・」

      千影はルフィと花穂の指導者になりながら、ホワイトボードで図や式を書いて説明する。

   千影「このオルゴールの内部にある磁石は磁気ディスクと似た成分で・・・・・特定のデータを保存できるような環状フェライトと呼ばれる磁気記録素子が含まれている・・・・・私達の島の磁場が近づくと・・・・・それに記録されているデータがオルゴールの曲に転送される・・・・・そして・・・・・その音響がドップラー効果として役割を果たすことができるから・・・・・ジャドー本人の能力を歪ます結果へと導かせられるんだ・・・・・」

  ルフィ「さっぱりわかんねェ!!」

   花穂「ふぇ〜ん、英語の計算式ばかりだよ〜・・・」

      ブラックホールを歪ますという弱点を発見するため、ドップラーの式や波動方程式などの難しい公式を使いながら導いていく千影・・・それを見ているルフィや花穂には全く理解出来なかった。

千影「私の説明・・・・・どうやら認識的に理解し難いと思うが・・・・・音叉ってわかるよね・・・・・」

  ルフィ「おんさ・・・何だそりゃ?」

花穂「あ、花穂知っているよ!・・・2つ揃えて一方の音を鳴らすと、もう一方のものに伝わって鳴るU型の形をした道具よね」

千影「それを共鳴と呼ぶんだけど・・・・・その音響がジャドーのブラックホール内に伝送され・・・・・お互いの持つ固有振動数が共振することによって分布された重力エネルギーを歪ませる・・・・・その結果・・・・・内部で超新星爆発を引き起こすような感じで・・・・・彼の空間を完全に弱らせられるんだ・・・・・島を吸引した時点でその磁場がジャドーの体内に記録されてしまったから・・・・・本人が存在している場所をエターナルポーズのようにオルゴールで記すことができた・・・・・それが彼自身の弱点を作ってしまったんだ!」

花穂「難しいけど、何となく解った」

  ルフィ「おめェ〜・・・もう解ったんか! おれなんて未だにわかんねェぞ!」

   千影「オルゴール・・・・・持って行ったら・・・・・きっとジャドーを倒せるよ・・・・・フフ!」

  ルフィ「そうか・・・それじゃあ、借りるけど・・・」

   花穂「花穂の大事な大事なオルゴール・・・壊さないでね・・・」

 ルフィ「おう、大切にしてやるから心配するな!」

悲しそうな表情で、オルゴールを見送る花穂にルフィが軽く肩を叩いた。

 

 

 ルフィ「おれも初めは、全然解らなかった、ブラックホールとやらの弱点をよ・・・説明が何もかもちんぷんかんぷんで、この曲で倒せるのかと信じられなかった・・・」

ジャドー「何だと!」

 ルフィ「よくよく考えたら・・・このメロディーで、お前は弱まる!・・・なぜなら、その音波が、お前の能力を歪ませる効果を持っているからだ!!・・・そして、これでその島も導かせてくれた・・・エターナルポーズのようにな!・・・その理由も、お前がこの島を奪ったからだろう!」

ジャドー「チッ・・・通りですぐに見つけられたってわけか!」

      ルフィのとんだ説明に、ジャドーが悔む。

  ルフィ「この原理を、千影が発見してくれたんだ・・・あいつ、すんげェ頭いいからな・・・お前と違ってな!!」

ジャドー「こしゃくな真似を!」

  ルフィ「これで・・・おれはお前をぶっ飛ばせる!!!」

      怒りに声を上げたルフィが、すぐに攻撃を続ける。

  ルフィ「“ゴムゴムの鉄砲〈ピストル〉”!」

      ボワ〜ン

  ルフィ「“釘抜き”!!」

      ジャドーのボディをすり抜けたあとに、すぐに拳の腕を縦波のように大きく揺らして、体内をえぐった。

ジャドー「ぐわあああ!!!・・・腑抜けが・・・!」

  ルフィ「ゴムゴムのォォォォ・・・!!」

 

      ルフィとジャドーの激戦の最中に、ナミと白雪が戻って来る。

   白雪「あっ・・・春歌ちゃん、可憐ちゃん・・・」

   可憐「白雪ちゃんは、何ともなかった?」

   白雪「はい、無事だったですの!」

      心配そうに尋ねる可憐に、白雪が元気よく答えた。

   ナミ「ルフィは未だジャドーと戦っているの!」

   春歌「はい・・・一度はやられていましたけど・・・再び立ち上がって反撃に転じております」

   ナミ「まあ、戦いは上々としても・・・ジャドーが七武海に就任されるまで残りわずかよ!」

   可憐「どうしよう・・・」

      ナミの言葉に可憐は余計に不安になってきた。

ナミ「それまでに倒してくれればいいけど・・・」

   春歌「ルフィ様・・・大丈夫でしょうか・・・」

      気がかりになった春歌も、ルフィの戦いを見届けていた。

      そして、その背後に・・・

   千影「フ・・・・・助かったよ・・・・・」

      負傷した千影と花穂が現れた。

可憐&春歌「千影ちゃん!!」

   ナミ「ちょっと、あんた・・・その怪我いったいどうしたの!?」

   花穂「千影ちゃんね・・・トシコっていう悪い奴と戦っていたの・・・」

      花穂が疲れたような顔で答えた。

  ロビン「だ・・・ダークプロジェクトの幹部を倒したってこと・・・」

      春歌に手当てしてもらっているロビンが苦しそうに横たわりながら言った。

   花穂「うん・・・でも、すごく恐かった・・・敵に攻撃されてばっかりで、何か千影ちゃんが可愛そうだったの・・・」

   春歌「それでも成敗なされましたから、たいしたものです!」

   ナミ「あんたも足怪我しているけど・・・もしかして敵にやられたの?」

   花穂「ううん・・・これは転んだの・・・えへへ、花穂ドジだから・・・」

   ナミ「なんだ・・・」

      何事もなく・・・ただ転んだだけの花穂のことを聞いて、ナミはしらけた。

   花穂「ひどい・・・とても痛かったのに・・・」

      花穂は少しムスッときた。

 

 サンジ「おお〜〜・・・我が愛しのレディー達よ♪・・・生きてて良かった〜〜

      しばらくして、メロリンサンジが帰って来た・・・今いるメンバーが女だけなので、デレデレと目がハートの状態である。

 ロビン「コックさん・・・」

 サンジ「おおッ!!?・・・ロビンちゃん・・・千影ちゃん・・・花穂ちゃん・・・一体、どうしたんだ〜!・・・こんな体になっちまってよ〜・・・」

      3人が負傷したことに悲しみ泣きをした。

   春歌「3人とも、一生懸命頑張りました・・・只今ワタクシが応急処置をしていますが・・・どうもお粗末すぎて申し訳ございません・・・」

 サンジ「いえいえ〜・・・気にすることないって・・・春歌ちゃんも足怪我しているじゃないか〜

      先程、ジャドーにやられた春歌の左足が包帯で巻かれていた。サンジは心配そうに見つめて言った。

   春歌「はい・・・ワタクシはナミ様に治していただきました」

  サンジ「すまねェな・・・こんな苦労させちまって」

   春歌「大丈夫です・・・慣れていますから」

  サンジ「全く・・・あのクソトナカイ・・・どこ油買っているんだ!・・・可愛いレディー達が怪我しているのにも知らずによ!」

      一大事な事態に限って、チョッパーが怠慢していることにサンジは愚痴った。

 

      そして、ウソップ、衛、鈴凛、四葉が戻って来て、その後にチョッパーと雛子、亞里亞が戻ってくる。

ウソップ「よお!!・・・おまえら・・・待たせたな!(ど〜ん)」

      傷だらけでも相変わらず威張りまくった。

チョッパー「フン・・・待たせたな!(ど〜ん)」

      チョッパーも傷だらけになりながらウソップの真似して威張っている。

   ナミ「バカね! あんた達・・・」

      ナミは呆れ果てていた。

 

   咲耶「ようやくたどりついたわ・・・」

ミカエル「ワン!!」

      ゾロの方向音痴で時間がかかったのか・・・咲耶とミカエルが疲れ果てていた。

   ゾロ「あいつら・・・ほとんどいるじゃねェか!」

   咲耶「鞠絵ちゃん・・・気分は大丈夫?」

   鞠絵「はい・・・途中でお薬を飲んだり、みなさんが歩いている時に体を休めたりしましたから・・・だいぶ良くなりました」

      咲耶が尋ねると、ゾロの背中におんぶしている鞠絵が答えた。ちなみにお薬は、チョッパーから頂いたものである。

 サンジ「おい!・・・おまえら・・・しっかりとレディー達をお守りしてきただろうな!!」

      メロリン的な態度からいきなりでかい態度に切り替わったサンジがやって来て、ゾロ、ウソップ、チョッパーに責めまくった。

   ゾロ「あァ!?」

チョッパー「・・・?」

ウソップ「見ての通り、何ともねェだろ!」

 サンジ「何ともねェだけじゃねェ!・・・レディー達を困らせるなとも言っているんだ!」

ウソップ「んなことおれが知るか!・・・さっきのセリフと理由になっていねェ!」

 サンジ「てめェが一番不安なんだよ!・・・まさか妹残して、自分だけ逃げていねェだろうな!!」

ウソップ「そんなことするほど、おれは落ちぶれていねェよ!!」

   四葉「大丈夫デス!・・・四葉達も協力しましたから!」

ウソップ「わっ・・・協力って言うな!!(焦)」

 サンジ「こらっ、長っパナ!・・・まさか妹達に戦わせたのか!?・・・だとしたら、只じゃおかねェからな!!」

      流石に男相手にはどうでもよいサンジはとことん追求した。

  ゾロ「いい加減しつこいぞ、クソコック!!」

 サンジ「ああっ!・・・やいこら、クソマリモン!!・・・何でてめェが、えらそうに鞠絵ちゃんを背負っているんだ!!」

      焼けになって、サンジがくってかかった。

  ゾロ「うるせェな!・・・てめェには関係ねェ!!」

 サンジ「何が関係ねェんだ、あァ!!」

  千影「もう・・・・・ここまでにしましょう・・・・・」

      2人の口げんかを千影がゆっくりと止めた。

 サンジ「は〜〜い・・・そうしま〜す

   ゾロ「あほが・・・」

   可憐「よかった・・・みんな元気で・・・」

      兄と住民のことで疲れが癒せない可憐だが、仲間が無事なことに一安心した。

  サンジ「おい、チョッパー!・・・いつまでもボサっとしていないで、おめェは怪我している人の看病をしろ!!」

チョッパー「あっ・・・そうだった」

   鞠絵「わたくしもお手伝いします」

      ゾロの背中から降りて来た鞠絵が、早速けが人の手当てをした。

   ナミ「えっ?・・・あんたも人の怪我、治すことできるの?」

   鞠絵「こう見えてもわたくし・・・医術の心得はあります・・・」

春歌「それは助かります・・・でも、彼女だけは絶対安静です・・・余り刺激を与えると、お体にさわりますから・・・」

鞠絵「はい!」

      包帯をおもむろと巻いている春歌が説明した。チョッパーも桜色のお医者かばんをすぐに開いた。ロビンの容態がひどいため、ただちに応急処置の準備に取りかかる。

      そして、彼女の症状を診ながらチョッパーと鞠絵が、必要とする薬剤と医療用具を準備した。怪我人を並べて次々と治していくその姿は、まるで青空病院だ。

チョッパー「おまえ、応急処置もなかなかの判断力だな!」

   雛子「鞠絵ちゃん、すご〜い! すご〜い!」

   鞠絵「うふふ・・・実は療養所でお医者さんから教わったんです・・・患者さんの応急処置や治療の仕方など・・・」

ナミ「へえ〜・・・こんな少女がね・・・」

      鞠絵の的確な診察療法を見たナミも驚きを隠せなかった。

 

      その頃、ルフィはジャドーと激しい一騎打ちの争いをしていた。

  ルフィ「おらおらおらおらァ!!」

優勢に立ったルフィがゴムゴムの技を繰り出している。

  ルフィ「ぐあっ!」

      だが、その最中に、ジャドーの懐から、またフォーク形の槍が出てきた。

ジャドー「いい気になりやがって!・・・たかが弱点を見つけただけで倒せるとは大間違いだぞ!!・・・それでもおれは、おまえを倒す気でいる!!」

      槍の穂先がルフィの腕を突き、そのまま樹木に釘づけになった。何発か殴られたジャドーも顔面から血反吐を出している。

 ルフィ「くそ〜・・・そんなの、へし折ってやる!」

      もがきながら、力任せで折り曲げようとするが、折れなかった。

ジャドー「無駄だ・・・その武器は全て硬質鋼板性だ、貴様の力ではびくともせん!!」

 ルフィ「うぬぬぬぬぬぬ!!」

ジャドー「言うこと聞かねェ奴だな!・・・ならば聞かせてやろう・・・この技でな!」

      一心不乱に力ませているルフィを見て、無視されたジャドーは不愉快そうに必殺技を発した。すると、ルフィの背後にまた、奇妙な穴が出現した。

 ルフィ「な・・・なんだ!?」

ジャドー「死ね・・・“シューター・ボンバー”!!!」

      ドカ〜〜ン!!!

      その穴からの突然の爆発が、ルフィを襲った。

 ルフィ「まだまだ・・・これなら、どうだ!!」

      しかし、身を焦がされながらも爆発炎を利用したルフィが、必殺返しを行う。

 雛子「あっ、ルフィさんが・・・」

      外野では、燃えているルフィを雛子が不安な表情で見つめていた。

サンジ「おまえら少し離れた方がいい・・・どうやら、ドハデなバトルになりそうだ!・・・あのクソ船長、真剣勝負になると周りの事なんて考えないからな・・・」

 花穂「う、うん・・・(汗)」

      ルフィの次使う必殺技に危険と判断したサンジが、妹達みんなに忠告した。

 

ルフィ「ゴムゴムのォォォ・・・“タコ花火”!!!」

      バボボボボボボ!!!

      爆発する花火の如くルフィの体から、応酬する手足の連打で、ジャドーをボコボコにした。その同時に周りの瓦礫や破片もその勢いでぶっ飛んだ。

 

                                                          続く

 


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