シスプリワンピース
第15章 勝利への激戦、そして平和へ
死闘を繰り返すような壮絶な対決・・・ルフィはジャドーの七武海の野望を阻止できるのか?ジャドー「この・・・100億ベリーの眠っている島をうまく利用すれば、簡単にボロ儲けできるんだ!!・・・金を追い求める賊なら誰もがもちろん・・・海軍もな!!」ルフィ「100億ベリー?・・・それがどうした!・・・妹達〈こいつら〉の島を勝手に荒らすな!!」ジャドー「海賊のくせして本当に何もわからねェ・・・バカだな! てめェは・・・」ルフィ「何がだ!」ジャドー「この広場に隠されてあるすばらしい財宝を、こんなくだらんガキ共達の物にして惜しいと思わないのか!!?」ルフィ「そんなちっぽけなことなんて知るか!! おれには『海賊王』という大きな夢があるんだ!!」ジャドー「やはり命知らずの能なし野郎には、死と言う恐怖を味わわなければならねェようだな!!」ルフィ「おまえごときには、おれは死なねェよ!!」ジャドー「野郎!!」不謹慎な態度のルフィによってコケにされたジャドーは、余計に血がのぼった。ナミ「100億ベリーの財宝ですって!!?・・・やっぱりこの島にも高貴な宝があるのね〜♪」それを聞いたナミはたちまち宝石魂の好奇心を抱く。そして、瞳にはお金マーク『ベリー』を浮かばせながらキラキラ輝いた。ウソップ「おいおい・・・毎度のように、そのゴージャスな瞳はやめろよな・・・」チョッパー「ナミって・・・お宝の事になると本当に目がベリーになるんだな・・・」ナミ「んも〜、バカね!・・・私達がこの子達を助けて島を取り戻したら、それなりの報酬は受けるべきでしょう!」ウソップ「おめェは、もうその計算をしているのかよ〜!(ツッコミ)」金欲望なナミのうきうきとした姿を見て、ウソップとチョッパーは呆れていた。戦場で・・・激戦の最高潮〈クライマックス〉・・・技同士の争いでは、わずかながらルフィがジャドーに押されている。ジャドー「こうやって戦っている間にも時間が過ぎてしまうんだ!・・・七武海までにな・・・そしたら、もうじきこの島はおれのもの・・・世界政府はおれの方に風が吹くんだ!」ルフィ「誰が、おまえなんかに!!!」ジャドー「このからくり時計台と、あのプラネタリウムの中には高価な財宝が隠されてある!・・・非常に価値のある建物だ!!・・・価値があるからこそ、価値のある島にしなければならねェ・・・つまり海賊を誘き寄せ、捕獲し、政府に捧げるというやり方でな!!」ルフィ「そんな、暴力と略奪を繰り返す島なんてあるか!!!」憤慨するルフィは次々と言い返す。ジャドー「これからここの島は、七武海となるおれが掌握するのだ・・・そして『ダークプロジェクト』という秘密組織を傘下に置き、財宝の建物を利用して、その収穫を政府に納める役立つ島にする!!・・・それがグランドラインの島・・・いつまでも平和主義を前提としている無力な小ヒツジ達の住みかとなるような牧場の島ではないのだ!!!」ルフィ「ごちゃごちゃ、うるせェ!!!」興奮ぎみで主張しているジャドーの長ったらしい自己弁論で、甚だしくなったルフィは右腕を大きく振りかぶった!ジャドー「ほざくか!!!」2人はぶつかりあったが、力の差はジャドーの方に分があった。ルフィは、建物の瓦礫まで、ぶっ飛んだ。ルフィ「な〜にが七武海だ!・・・な〜にが世界政府だ!・・・みんな好き勝手し放題じゃねェか!!」ルフィは瓦礫から起きあがり息を切らしていたが、怒りだけは隠っていた。ルフィ「ここはな・・・可憐達みんなが住む大切な島なんだ!!・・・そんな島をおまえなんかに渡さねェ!!!」島をジャドーのものにすることをルフィは断じて許さなかった。そして、怒りを心頭に発しながら、何度もジャドーに立ち向かった。ルフィ「“ゴムゴムの銃弾〈ブレッド〉”!!」左ジョブをスリ抜いた後、再び強烈な右ストレートがジャドーの腹部を放つ。そして、すぐに相手の両肩捕まえて・・・ルフィ「“ゴムゴムの丸鋸”!!」両腕のゴムの巻く力を利用し、縦回転する体を武器にジャドーの額を抉った。ジャドー「調子超えてんじゃねェ!!」ルフィ「うわっ!」ルフィは確実にジャドーを痛打させたが、一瞬の隙で敵の両手に阻まれて捕まってしまった。ジャドー「このまま握り寿司にしてやるか!」ルフィ「くそっ〜!・・・放せ!!・・・放せ!!」額から出血をしていてもジャドーは恐い目つきをしながら、必死でもがいているルフィを容赦なく握り閉める。ジャドー「くわっ・・・あ!・・・くっ、目障りだ!!」その時、毒がまわるかのように本人に何か不快なものを感じた。眼球が震えて肉体的な変調を起こすジャドーがすぐにルフィを投げ飛ばした。ルフィ「うわああっ!!」空中で投げ飛ばされている時に、彼の懐から何かが落ちてきた。ルフィ「しまった!!」落としたオルゴールを見てルフィは慌てる。実はジャドーを弱らすためにルフィが服の中に隠してあったのだ。落ちた反動で蓋が開き、鮮明なメロディーが流れるオルゴールは、まだぜんまいの緩む力が残っていた。花穂「あっ・・・オルゴール!!」兄からもらった大切なオルゴール・・・花穂は心配そうに駆け付けて、それを拾おうとする。ジャドー「なるほど、通りで!・・・このおれがやられているなんておかしいと思っていたら・・・原因はあのおもちゃだったのか!」メロディーを聴いて苦笑いをしたジャドー・・・彼に弱点を見つかってしまった。ジャドー「すぐにこっぱみじんにしてやる!! “ホール・フラッシュ”!」花穂「きゃっ!!」ジャドーの遠距離攻撃よって、ついにオルゴールが壊されてしまった。ジャドー「これでもう・・・おれは倒せないな!・・・ヒヒヒ!!」ジャドーはあざ笑った。花穂「うえ〜〜ん!!・・・花穂のオルゴールが・・・(涙)」花穂は大声で泣き出した。ルフィ「おまえ!!! よくも人の大事な物を!!」憤激しながらゴムゴムの拳でジャドーに猛攻撃をする。ボワ〜ン! ボワ〜ン!やはり、オルゴールなしではいくらルフィの快進撃でもジャドーには、通用しないのか・・・彼の体にいくつか穴が空き、いつもののようにすり抜けてしまった。ジャドー「フン、同じことだ!・・・このまま穴に落として飢え死にしてやるぜ!! “フォール・フォース・フープ”!!!」ルフィ「うわああ!!・・・畜生!!!」ジャドーの能力で発動した次元の落とし穴に吸い込まれていくルフィが必死で這い上がろうとしている・・・しかし、とてつもなく強い吸引力なので身動きが出来ない。可憐「ルフィさん!」可憐が涙を滲ませた。ナミ「まずいわ!・・・ブラックホールの引力はもの凄く強力だから・・・ルフィの力で脱出できるかどうかよ!」ジャドー「麦わらを仕留めたら、次はおまえら全員もろとも、あの世に送ってやる!!・・・我が『ダークプロジェクト』の反逆罪としてな!」冷たい目つきでジャドーは、みんなに告げた。雛子「そんな〜・・・ヒナたち何もしていないのに・・・(涙)」亞里亞「亞里亞も・・・・・何もしていない・・・・・くすん・・・・・(涙)」花穂と同じように、雛子と亞里亞も泣き出した。ジャドー「何もしていなくても・・・この島の住民にも、生かしておくわけにはいかねェんだよ!!・・・おまえらも政府に捧げる罪として抹殺してやる!!」凶悪、残酷な性格のジャドーは、雛子と亞里亞の悲しむ気持ちにも受け入れなかった。鞠絵「そう・・・犯した罪ならば・・・あなたにもあるはずよね!」ジャドー「何だと!!」鞠絵「あなたの能力は・・・人間も動物も全ての生き物まで、監禁してそのまま牢獄のように餓え死にすることもできるのよね!」その時、鞠絵が少しばかり急変した。今までのおっとりとした表情とは違い、グリーンの瞳で輝きを薄くしたその表情は声もかなり大人びており、上品口調から冷静な口調に言葉が変わった。まるで何かに憑依している様子だった。ジャドー「フ・・・そんなもの・・・世界政府に任命されれば、全ては関係なくなる!!」鞠絵「自分の欲望のために、不条理に一般市民を監禁・・・更には謀殺してまで、島の権利を簒奪するような愚かしい奸計は意図的に政府から認可されないわ」ジャドー「世界の英雄『七武海』になるおれが殺害だと!?・・・そんな根拠もない理由で監獄行きにできるとでも思っているのか!!?・・・政府は、おれを七武海としての手続き願いはもう了解するんだ・・・この島の権利もな!!」鞠絵「いいえ・・・この島の所有権は、ここに住む私達みんなのもの・・・国の土地を無断で収用するのは言語道断・・・たとえ七武海に就任されたとしても私達が告発すれば、逆にあなたは完全な殺人犯として断罪されるでしょうね!」ジャドー「ならば・・・おれが殺人犯としての根本的な証拠でもあるのか!?」鞠絵「ええ・・・今見せてあげるわ・・・四葉ちゃん、写真を・・・」四葉「は・・・はいデス!」気丈にも、眼差しを徐々に冷たくした鞠絵の表情を見て、慌てる四葉が写真をジャドーの前に投げ落とすと、それは暗闇の中で虐殺、餓え死にされているたくさんの屍が写っていた。ジャドー「くッ!これは・・・まさか貴様、おれの秘密を隠し取りしていたのか!!」鞠絵「これは明かにあなたの能力によって虚無の異世界に閉じこめ・・・惨劇な結末に陥れた殺人行為!」ジャドー「ケッ!・・・知らねェな!!・・・力のない脆弱な貴様がおれを殺人犯に仕立てることができるのか!!?」冷や汗を出すジャドーは自分の罪から逃れようとシラを切りながら、鞠絵に言い放った。ナミ「惚けたって無駄よ!・・・あんたの犯罪はみんな知っているのだからね!!」みんなの物陰からナミが強く言い返す。ジャドー「犯罪?・・・フン、弱ェから殺されるんだろ!・・・この大海賊時代、夢ってのは力の強いものだけが口にできる現実だ・・・弱い奴には、夢なんて叶う資格もねェ・・・罪なんだよ!・・・いつ悪党に殺されるか分らねェ一般市民の恐怖に脅える人生送りなんざ、むしろその場で死なせたほうが本人も楽になれるってことだ!・・・そんな奴らのためにも、このおれが能力で即死させてあげたんだ!」自分の本性をあらわにしたジャドーが、ついに白状した。ナミ「何て・・・残酷極まりない!!」ナミと他のみんなも憤りと怒りをあらわにした。ルフィ「人の命を好き勝手に!!・・・ジャドー!!!」ジャドーの下道な自己弁護を聞いて、ルフィが怒りに瞳をたぎらせながら、必死で落とし穴から這い上がろうとしている。鞠絵「では、はっきりと分からせてあげるわ!・・・あなたによって生命を奪われた人達の悼み・・・苦しみを・・・」鋭い視線でニッコリとジャドーに言った直後、妹全員に横一列に整列させた。鞠絵「さあ泣かないで・・・皆さんでクリスマスソングを歌いましょう・・・千影ちゃん・・・その水晶玉に手をかざすと、テーマ曲が流れるわ」千影「ああ・・・・・分かった・・・・・」千影が水晶玉に手をかざすと、ジャドーを中心に六式の魔法陣が写り、クリスマスソングの曲が流れた。水晶玉からピアノの演奏する曲に合わせて妹達は合唱する。(BGM開始)「「「青ぎみる夜空に〜♪ きらめく光♪ ひとすじさして〜♪ 天使のみ歌に、ひびくよ〜♪」」」「「「その星を導に〜!!♪ あるのを進み〜♪ 赤星の下〜♪ 奇跡のあるじ〜、出会うよ!♪」」」「「「その奇跡は止まる♪」」」「「「愛の歌声〜♪」」」「「「喜びあふれ〜だす♪」」」「「「ああ〜♪ この世界中〜♪(キラキラ)」」」「「「時はひかる〜、金の星♪」」」「「「導かれ〜♪ いのりに答えて〜♪」」」ジャドー「ぐああああッ!!!」妹達の合唱のリズムとオルゴールの曲とが合うに連れて、ジャドーがより苦しみ喚く。「「「鳥は歌い!♪ 花は開き!♪」」」ジャドー「なぜだ〜!・・・こんなくだらんわらべ歌ごときに・・・おれが苦しむはずがねェ!」千影「生贄さ・・・・・音楽のリズムが合うと、共振状態を起こすことにより・・・・・内部のブラックホールを歪ませ・・・・・能力を弱らせる・・・・・」実際は合唱している千影だが、その流れる曲から彼女のメッセージが、ジャドーだけに聞こえた。千影の冷たい視線が映像となって、彼の脳裏をよぎっている。ジャドー「何だと!!」「「「この〜世界〜♪ 不思議あ〜ふれ♪」」」ジャドー「ぐわッ!・・・くッ、クソ生意気な小娘どもめ!!・・・すぐにブチ殺してやるぜ!!」苦悶しているジャドーが、合唱している妹達に襲いかかる。ゾロ「おっと!・・・ここから先は通すわけにはいかねェんでな!!」サンジ「かわいいレディ達を襲うなら、おれが相手してやるぞ!!」ゾロとサンジが妹達の前に出て、ジャドーの襲撃を受け止めた。ジャドー「おまえらごときに、相手にできるとでも思っているのか!!」サンジ「じゃあ試してみるか! “首肉〈コリエ〉シュート”!!」ボワ〜〜ン!サンジの大技上段蹴りがジャドーの首を狙ったが穴ですり抜けた。ジャドー「これでも喰らえ!!」ババ〜〜〜ン!!!そして、その穴から銃弾が突如サンジを狙った!サンジ「うわッ!」サンジお得意のアクロバティックな身のこなしでバック転をしながらかわした。ジャドー「邪魔する奴は誰だろうと・・・ブチ殺す!!」バシッ!!!ジャドー「ぐわあ!!」ルフィ「おまえの相手は・・・おれだろう!!!」と後方から、ルフィの伸びるパンチが炸裂する。ジャドー「おのれ〜・・・死に損ないが!!」ルフィ「ゴムゴムの〜〜・・・“回転銃〈ライフル〉”!!!」ボコン!!!ジャドーの喚き声も無視して、重ねてルフィの回転するねじり腕が、相手の腹部を痛打させた。ルフィ「お前の能力・・・さっきよりも弱まったみてェだな!!・・・もう、一発目で当たるぞ!」ジャドー「くそ〜!・・・」確かに能力ダウンしている・・・たえず妹達の歌う幼い声がジャドーの力を次第に弱らせているのだ。ジャドー「くッ!・・・こうなりゃ、全滅させてやる!!・・・この強大な重力砲で一瞬にしてな!!」この時、焼けくそになったジャドーが両手を挙げて、天空での次元の穴から黒いエネルギー砲を出現させた。ロビン「重力砲!!?・・・まずいわ、この島ごと消し去るつもりよ!」ジャドーの技を聞いたロビンが危機感を抱いた。ウソップ「な・・・なに〜!!(恐)」咲耶「ちょっと・・・いやよ〜!!」可憐「お兄ちゃん・・・助けて〜!(泣)」合唱している妹達が中断し・・・うろたえる。『可憐ちゃん・・・助けて・・・』可憐「え!お兄ちゃん・・・」その時・・・かすかにだが、兄の声が可憐の耳に聞こえていた。ジャドー「皆殺しだ!!・・・邪魔な貴様らを蹴散らせば、おれの理想郷は叶う!・・・七武海の承諾までもうわずかだ・・・ここでトドメをさして終わりにしてやるぜ!!」ついに見境もなくなってきたジャドー・・・もはや、殺戮と言えるべき行為か、睥睨をする彼は必殺技で町全体を消し飛ばすつもりだ!ルフィ「やめろ!!・・・おまえ!!」怒りに振るえていたルフィも、なぜかジャドーの技が止められなかった。ジャドー「貴様らの国の法律、権力というやらも、この一撃で無にしてしまおう!!」ルフィ達や妹達の嘆きも介入しない。その恐るべきエネルギー砲は、ジャドーの怒りによって更に増大していく。鞠絵「あ〜ら、出来るかしら!?・・・今滅すれば、あなたがお求めになっている物も全て台無しになること・・・覚悟していらっしゃるよね・・・」その時、そよ風で、可愛い麦わら帽子に飾られているリボンと花のブローチで止めたカーディガンを揺らして、先程のグリーンの瞳をしている鞠絵が、臆面もなくジャドーに挑発した。ジャドー「腑抜けが・・・何が台無しだと!?」鞠絵「フ・・・町を消滅させれば、からくり時計台とプラネタリウムの中に隠されてある重宝も同時におなくなりになる・・・自分のご都合、ご機嫌だけで、欲望を満たそうなんて無理なお考えよ!」ジャドー「ま、またしても、このガキ!・・・生意気な口を!!」義侠心にも鞠絵の厳格な言葉で、ジャドーが躊躇して、必殺技の勢いが小さくなった。ルフィ「今だ・・・ゴムゴムのォォォ“大槌〈ハンマー〉”!!!」油断しているジャドーを隙に、両手の拳で空中から叩き落とす。だが、またしても穴に食い込んで、彼自体には通用しなかった。ジャドー「“ホール・クェーサ”!!!」バシッ!!!ルフィ「うわああっ!!」ボコ〜〜ン!!!その穴から突発的な激しい突きがルフィの顔面を襲い、数十メートル先までぶっ飛んだ!鞠絵「ああっ・・・」咲耶「鞠絵ちゃん!」その時、外野では、おもむろと倒れていく鞠絵の姿を咲耶が抱き留めた。鞠絵「歌を・・・歌い続けて・・・」気を失いそうになりながらも、冷静な口調で言った。可憐「そうよ!・・・みんな、頑張って歌いましょう・・・まだ時間はあるわ・・・諦めないで最後まで歌ってルフィさんに反撃のチャンスをつくるの!」可憐が覇気を出して、脅えているみんなを引っ張った・・・兄はまだ生きている、ジャドーを倒せばきっと戻ってくると彼女は信じていた。咲耶「でも鞠絵ちゃんが気を失ってきている・・・メンバーが1人でも欠けると音声も違ってくるわ!」衛「ええ〜・・・どうするの〜?」衛が慌てた。鞠絵「千影ちゃんの水晶玉で・・・音声を容易に調節できるわ・・・」春歌「わかりました・・・鞠絵ちゃんはゆっくり休養なされてください!」鞠絵「・・・」鈴凛「千影ちゃん!」千影「ああ・・・・・私がうまい具合に・・・・・合わせてみるから・・・・・歌っていいよ・・・・・」鈴凛から了解された千影が水晶玉を使った。亞里亞「くすん・・・・・くすん・・・・・くすん・・・・・」雛子「亞里亞ちゃんも泣かないでがんばろうよ!」亞里亞「うん・・・・・!」白雪「みんなで最後まで・・・!」花穂「歌い終われば・・・!」四葉「救われるデス!」ナミ「そうよ・・・いい心意気よ・・・頑張って!」サンジ「おれも応援するぜ!」ゾロ「邪魔してきたら、おれが食い止めるから安心しろ!」チョッパー「おれ、鞠絵を見守っとくよ」そして、妹達はめげずに最後まで歌い続けた。「「「空にひび〜く!♪ 天使のう〜た♪」」」ジャドー「ぐっ・・・ぐあっ!」歌うメロディーで能力が歪んでいるジャドーは、再び苦悶していた。口から吐き気もした。「「「声を合わ〜せ♪ 歌い続ける〜♪」」」ルフィ「みんな必死で頑張っているんだ! おれもここでケリをつける!・・・ギア“セカンド”!!」親指を噛み、踏ん張ると、体中の熱気で戦力をアップさせる・・・気を引き締めて思いきり両腕を振りかぶった。ルフィ「ゴムゴムの〜〜〜〜“銃乱打〈ガトリンク〉”!!!」連打する無数の拳が、弱まったジャドーの体を烈しく捉えた。ジャドー「がはっ・・・!」ルフィ「ゴムゴムの〜〜〜〜“戦斧〈オノ〉”!!!」バコ〜〜〜〜ン!!!ジャドー「ぐわああっ!!!」足を真上に思いきり伸ばして、ゴムゴムの踵落としがジャドーに炸裂する。その猛烈な威力で、地面を四方八方と引き裂いた。ルフィ「おりゃ〜〜!!」そして、激しく真上に蹴り上げた。ジャドー「ここで・・・やられてたまるか・・・上から消し去ってやる!」上空でよろめきながらも、必殺技を使おうとする。ルフィ「あいつ・・・またか!!?」そうは、させるか・・・と、ルフィは思いきり息を吸って、体をネジ巻きゴムのようにしてジャンプした。そして、ジャドーを頭上にタイミングを合わせた。「「「歌い続ける〜♪(キラキラ)」」」この時、妹達が、最後の歌声にピリオドを打つ。ルフィ「ゴムゴムのォォォォ〜“暴風雨〈ストーム〉”!!!」ボコボコボコボコッ!!ジャドー「ぐわあああっ!!!」ルフィ「おららららららら!!!」ボコボコボコボコッ!!!空中で、ルフィの連打する超強力な回転パンチが、ジャドーをめった打ちにする。その怒濤な勢いは、より高度へ上昇させた。ルフィも伸びる腕で敵の袖をつかまえて、ゴムの反動を利用させながら、テレポーテーションのような速さで更に上空へと舞い上がった。ルフィ「ゴムゴムのォォォォ〜“JETバズーカ”!!!」ズド〜〜〜〜〜〜ン!!!ジャドー「ぐわあああああああああ!!!」クリーンヒット!・・・両手が頭上から猛然と伸びるゴムゴムの渾身の掌底突きが、ジャドーの腹部をえぐり、そのまま空中から海へ突き落とした。ジャボ〜〜〜〜〜ン!!!マッハのように高速で落下したジャドーは、激しく水飛沫を揚げた。そして、意識も無く、そのまま海の藻屑となって沈んでいった。勝者・・・ルフィ千影「どうやら・・・・・礼拝だ・・・・・」教会の鐘が鳴った。からくり時計台からは、ちょうど午後2時を指した。塔時計の扉は自動的に開き、その最上階には、規則的に揺らぐ12の鐘が音を鳴らして戦場跡の中央広場を美しい音色のチャイムで満たしている。ナミ「たった今・・・ルフィがジャドーを倒した所だけど・・・七武海の抹消手続きには間に合わなかったわね・・・」ウソップ「おいおい・・・間に合わなかった場合はどうなるんだよ〜!」ロビン「解らない・・・こんな結末・・・私も初めてだから・・・」チョッパーに手当てしてもらって、ようやく回復したロビンが起きあがった。ナミ「成り行きに任せるしかないわね・・・」ナミはため息を付いて少しうなだれる。可憐「マリア様・・・お願い!・・・どうか皆様のいる元の明るい町並みに戻して下さい・・・」一滴の涙をこぼしながら、教会の鐘に向かって必死に祈った。すると、崩壊されていた街並みが一瞬にして元に戻った。島も元の場所に戻り、穏やかな小波の音が聞こえる。異世界の空間から元の居場所に戻った住民達も不思議な感じでざわめいた。その現実離れに、見つめる妹達とナミ達は信じられない光景であった。今まで通りの美しい街並みが元に戻って、何かに釘付けされたような感じだった。ウソップ「い・・・いつの間にこんなにきれいになったんだ!」目をきょろきょろさせたウソップが唖然としていた。千影「幻影さ・・・・・先程までの戦場跡は全て幻・・・・・ジャドーにとっての空想の世界・・・・・アナアナの能力で島を吸い込んでいたため・・・・・本人の思考によって依存する異世界が・・・・・この街と入れ替わったの・・・・・ジャドーが終息すると・・・・・能力も消え、それと同時に異世界もなくなる・・・・・つまり・・・・・元の現世に戻る・・・・・そういうことさ・・・・・」ナミ「ちょっと待って・・・それじゃあ、私達がジャドーの能力で一度吸い込まれて進んだ分の時間も取り戻せるの?」千影「・・・・・進行した時間は元には戻るけど・・・・・確実とは言い難い・・・・・そもそもブラックホールのシュバルツシルト半径というのは・・・・・幾何学的には地球上には実在しないもの・・・・・任意の場なんて無関係に時間は着々と経過するものだから・・・・・たとえ場が変化しても、ほんのわずかにしか復元できないんだ・・・・・」ナミ「たった1分しか戻れなかったわね・・・」ナミは千影の腕時計を見て、ため息を付いた。可憐「ありがとう・・・マリア様」それでも可憐は、島が元の世界に戻ったことに天に感謝した。ルフィ「腹、減った〜・・・」春歌「ルフィ様!」グブ〜・・・とお腹を鳴らしながら、バタリと地面に横たわった。傷や出血もかなり多く、それを見た春歌が心配そうに彼の所に来て怪我を治している。ミカエル「ワン・・・」鞠絵「あら?・・・わたくしったら・・・また、ここで寝ていたのかしら・・・」その時、鞠絵の瞳は元に戻っていた。表情もいつもの通りのおっとりとした姿で周りを見つめていた。チョッパー「おお・・・気が付いたか!・・・おまえは一時期だけ気を失っていたんだ・・・何が原因で倒れたのか?・・・解らないけどな・・・」鞠絵「すみません・・・」千影「きっとマリア様の御霊が・・・・・直接、鞠絵ちゃんに乗り移って・・・・・私達を助けたのだと思うよ・・・・・」咲耶「千影ちゃん、わかったの?」千影「ああ・・・・・鞠絵ちゃんの前世が・・・・・マリア様ではないかと・・・・・思いがちだけどね・・・・・」彼女の遠くから、咲耶と千影が話していた。そして、鞠絵の近くに鈴凛と衛がやって来た。衛「鞠絵ちゃん・・・さっきジャドーに挑発していた所・・・すごかったじゃない!」鞠絵「え・・・わたくしが?」鈴凛「それに・・・ジャドーの悪事を阻止させたのも、私達を歌わせてルフィさんに優勢にさせたのも、半分は鞠絵ちゃんのおかげだってみんな言っていたよ」衛「ねえ・・・どうやったら、あのような知恵や勇気がだせるの?」鞠絵「え?・・・そんな〜・・・勇気だなんて・・・そのようなこと、わたくしにはお気付きなりませんわ」相変わらずボケボケとした口調で、ほころばしげに鞠絵が言った。そして・・・ゆっくりと兄とじいや、市長、2人の検察官が妹達の所にやって来る。兄「みんな・・・」元気な姿で戻ってきた妹達を見て、兄の顔がほころんだ。「「「お兄ちゃん!!!・・・」」」兄「良かった・・・みんな無事で、元気で・・・」妹達は、全員兄の体に抱き付いて号泣した。辛かった・・・苦しかった・・・4日間の長い冒険・・・しばらく会えなかった優しい兄の温もりは、妹達に嬉しさと安堵感を与えてくれた。しかし、ルフィ達という新しい仲間が励まして、一緒に遊んで、戦って良い思い出になっただろう。ナミ「あなたが、お兄ちゃん・・・」兄「はい・・・みんな僕の妹なんです」ナミが尋ねると、兄ははっきりと答えた。サンジ「・・・あぁ、その妹達・・・おまえにすごく会いたがっていたんだ・・・冒険する時にも常にな・・・」照れくさそうに頭を掻きながら、サンジが言った。兄「・・・そうですか・・・本当にありがとうございます」じいや(女)「あなた方の精悍な戦いぶりには、誠に感謝しています・・・何とお礼を申したら良いか・・・妹達を助け、私達の命を救い、そして島を取り戻したあなた達への御恩は決して忘れません」兄のそばにじいやと呼ばれているメイドが海賊達に頭を下げた。豪邸で両親のいない亞里亞の御付きとして炊事や洗濯などの家事全般をこなしている大人の魅力を持った女性だ。もちろん、亞里亞に勉強も教えている。ゾロ「別に恩なんざしなくてもいいぜ・・・おれ達はたまたまこいつらを送っただけだからな」ロビン「ただ・・・私達の罪の有無をはっきりさせて頂きたいの・・・討伐されたジャドーが『王下七武海』の一環となっているのか、どうかを・・・」ナミ「実はジャドーは今日が任命される日なの・・・世界政府に関わる問題だから、私達が湮滅した『ダークプロジェクト』を早めに認証させないようにしてほしいの・・・」サンジ「でないと妹達まで捕まっちまうからな・・・」市長「その事なら、ご心配なく・・・ジャドーの犯罪は度ながら許し難い行為です・・・これからジャドーは『自然環境保全法違反』・・・『土地収用法違反』・・・『強盗』・・・『人質強要行為』・・・『監禁』・・・『殺人死体遺棄』の罪により、我々が処罰したことに致しましょう」市長(実のじいや)率いる刑事や警察官、そして、住民一体も一緒になって判決した。鞠絵「証拠の写真もお持ちしました・・・」鞠絵は落ち着いた冷静な口調で、市長にお渡しした。市長「ええ!・・・この書類をただちに裁判所へ受理させ、秘密結社の取り消し処分書も同封した上で早急に世界政府へ送付致します・・・ですから、先程の『七武海』と討伐の件はご安心下さいませ!」咲耶「はい、ありがとうございます・・・」雛子&亞里亞「やったあ〜〜!!」四葉「キャッホ〜!! 兄チャマ!!」咲耶と妹達は喜んだ。兄「どうしたの・・・花穂ちゃん?」花穂「くすん・・・大好きなオルゴールが壊れた・・・お兄ちゃまからもらったオルゴールが・・・」街並みが元に戻っても、オルゴールだけは、元には戻らなかった・・・花穂は崩れた姿勢でむせび泣きをした。ウソップ「こりゃ、直せそうにもないな・・・」ジャドーによって完全に破壊されたオルゴール・・・船大工に手がけている修理屋ウソップもこれだけは流石に無理のようである。兄「元気だそうよ・・・僕がまた探してあげるから・・・」花穂「くすん・・・」兄の声を聞いて、花穂は涙を片手で拭いた。兄「だから、泣かないで・・・」花穂「じゃあ・・・約束して・・・」兄「うん、約束しよう!」兄がやさしく頭をなでて慰めると、花穂の涙が止まり、ゆっくり頷いた。ウソップ「く〜〜・・・良いこと言うじゃねェかよ・・・」2人の愛情はぐくんだ姿を見たウソップは、自分のトレードマークの長い鼻を擦りながら、照れていた。可憐「本当にありがとうございます・・・皆さんのおかげで、私達とても助かりました・・・心から感謝しています」ルフィ「そうか・・・そんならよかった・・・」妹達と兄が頭を下げると、疲れているルフィは横たわりながら答えた。(只今、チョッパーと鞠絵と春歌が怪我の手当てをしている最中)可憐「そうだわ・・・ねえ、お兄ちゃん、可憐達を助けたこの人達に何かお礼をさせたいの・・・」兄「ああ、そうだね」ルフィ「メシ・・・メシ、食わせてくれ・・・腹減っちまって、ぶっ倒れそうだ!」負傷して、病にかかっている老人のように体をガクガクさせながら、お願いする。サンジ「おれが作ってやるから、じっと寝ていろ!」それを見ているサンジが呆れた顔で言った。・・・密かにからくり時計台の中に入ったロビンが何かを探していた。歩く音が響く静かな室内には、人の気配がなく、屋上へ上る立体階段が中央に建てられてある。恐らく、からくり時計を駆動する機械へ案内するためのものだろう。黙々と探し求めた石壁には、何かが記されていた。何行も続く程の長い古代ギリシアの文字で描かれてある。普通の人には読めないかなり古い文字らしいが、考古学者のロビンにとっては、それを解読するのは朝飯前だといえるべきだ。その石壁には、彼女の求めている歴史の本文が記されているのだろうか・・・ロビン「さんかく座・・・プトレマイオス48星座に含む、3つの3等星が暗くはっきりしない星雲状物質がかすかに光を発している・・・ローマ法王がキリスト教三位一体の教義の象徴図形としての三角形がこの星座として神話に語られる・・・」彼女が石壁に手をかざしながら、黙読しているその時・・・千影「残念だけど・・・・・そこには・・・・・そのようなものは・・・・・記されていないよ・・・・・」いつから、そこにいたのか・・・入り口の物陰で千影が腰掛けて腕を組んでいた。ロビン「あなた、私の追い求めているものを知っているの!?」ロビンが一瞥しながら尋ねる。千影「話は春歌ちゃんから聞かせてもらった・・・・・『歴史の本文〈ポーネ・グリフ〉』は世界でも禁じられた遺跡・・・・・政府では、それを解読すると大罪をかぶることになる・・・・・」ロビン「なぜ、そのような事を!?」千影「実は本で調べたのさ・・・・・世界中に存在する唯一の『歴史の本文〈ポーネ・グリフ〉』をね・・・・・童話だけど・・・・・」ロビン「何だ・・・そうなの」童話と聞いてロビンは安心する。静かな室内での双眸は、お互いクールな面持ちで、話が一時途切れていた。常に先を考えながら、会話をする2人の性格は、ある意味一致しているものがある。ロビン「私は小さい時から、考古学を勉強していたの・・・なぜなら、古代から存在するある貴重な歴史を導かなければならないから・・・でも、あれから20年の歳月が経ってまだ・・・その在処は見あたらない・・・ここまで来て残念なのはしょうがないけどね・・・」この時、先にロビンが話に出た。千影「あなたがもし・・・・・それを夢とするなら別に止める気はない・・・・・ただ・・・・・その歴史の在処を探求するだけでも・・・・・より危険が待ちかまえていることは・・・・・覚悟しといたほうがいい・・・・・」ロビン「ええ、御忠告ありがとう」礼を言ったロビンが、ゆっくりと外に出た。千影「そろそろ・・・・・晩餐かな・・・・・」クールにつぶやきながらジャケットのポケットに手を入れる彼女は、みんな所へ戻った。続く
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