シスプリワンピース 第2章 仲間の歓迎
ルフィ達と妹達はしばらくの間、食事の支度が済むまで小島の砂浜でゆっくりくつろいでいる。船室ではチョッパーに手当してもらった鞠絵が少しずつ元気を取り戻そうとしている。ナミが1人船室へ向かった。そこにはベッドで横たわっている鞠絵と薬の調合をしているチョッパー、それをじっと眺めている雛子と亞里亞、そして黙々とダンベル持ってトレーニングしているゾロ、ミカエルもいた。ナミ「彼女の具合はどう?」チョッパー「おう!徐々に回復してきているよ・・・この子たちが薬草をいっぱい持ってきてくれたおかげなんだ!」雛子「くししししし・・・えらいでしょ」雛子は両手で口を押さえながら、にっこり笑った。亞里亞「亞里亞も・・・・・えらい?」亞里亞も微笑みながら質問した。ナミ「ほんとえらいわよ!・・・彼女の病気を治すために一生懸命手伝ってくれているもの」ナミは2人の頭を手でなでなでしながら褒めた。雛子「わ〜〜い!!ほめられた!!・・・じゃあヒナもっと取ってくるね!」亞里亞「亞里亞も・・・・とってくる・・・・」喜び笑みを浮かべた2人は、再び薬草を取りに林へ駆けつけた。しばらくして・・・・目を開いた鞠絵は、ゆっくりと辺りを見回す。鞠絵「ここは・・・」ナミ「気が付いた、ここは船の中」鞠絵「あなたは・・・」ナミ「私はナミよ・・・あなたは島で倒れていたからここで手当してもらっているの・・・」鞠絵「よかった・・・療養所の中じゃなくて」ベッドで目を覚ました鞠絵は安堵した。上品でやさしい・・・あたたかい・・・そして知性を秘めた瞳をしているのが彼女の魅力だ。体が弱いがゆえに療養所で医者に止められていることが不安な気持ちでもあった。しかし、島が消失した今、それはまた別の話だ。ナミ「どれだけ具合が悪かったか詳しくはわからないけど、この人が診てくれたから安心よ」ナミはチョッパーに視線を向けながら言った。そして・・・元気よく雛子と亞里亞が船室に戻ってきた。雛子「取ってきたよ!」チョッパー「おう、早かったな!」雛子「今度はい〜っぱい持ってきたんだ、くししししし・・・」亞里亞「亞里亞も・・・・・いっぱいもってきた」鞠絵「雛子ちゃん?・・・亞里亞ちゃん?」雛子「あっ!・・・鞠絵ちゃんが目覚めた」亞里亞「・・・・・わ〜い!」何か幸せなことがあるかのように雛子と亞里亞は大喜びだ。チョッパー「さあ、この薬を飲んで・・・」鞠絵「はい・・・」鞠絵はチョッパーに言われた通り、薬をゆっくり飲んだ。雛子「・・・苦くない?」鞠絵「大丈夫です・・・慣れていますから」雛子は鞠絵が苦そうな薬を我慢して飲んでいるのを見て少し不安な気持ちでもあった。ナミ「良薬口に苦しって言うじゃない」雛子「鞠絵ちゃん・・・どんなお病気だったの?・・・もしかして重い病気?」悲しそうな瞳で、雛子はチョッパーに彼女の病名を聞く。チョッパー「大丈夫、軽い貧血症だ・・・恐らくさっき倒れた時の衝撃で本人の体に負担をかけたのだろう・・・でも貧血と言ってもバカにならないよ・・・長時間持続すると心臓に過度の負担がかかり心不全をおこす危険性もあるからね」チョッパーは彼女の病名と原因を説明した。チョッパー「でも、薬を飲んだからもう大丈夫だよ・・・この薬は鉄分を含む海藻とほうれん草を磨り潰してレモン汁とアルコール度数の高い酒で混合しながら加熱処理で還元させて得られた鉄剤の1つなんだ」ナミ「貧血は鉄分不足が原因というからね・・・特に若い女性には多いみたいよ」雛子「じゃあ、さっき持ってきた薬草っていうのは、ほうれん草のことだったんだね」鞠絵「ありがとう、雛子ちゃん・・・心配してくれて」鞠絵は物静かな声で微笑みながら、雛子にお礼をした。ゾロ「ま、元気そうで何よりじゃねェか!」ゾロはトレーニングを一時中止して、鞠絵が寝ているベッドの近くまで寄ってきた。鞠絵「どなた様か存じませんが、本当にありがとうございます・・・申し遅れました・・・私は鞠絵と言います・・・そして、この子がミカエル・・・」ミカエル「・・・ワン!」チョッパー「おれの名はトニー・トニー・チョッパー!」ゾロ「おれはゾロだ!」雛子「ヒナはね、雛子っていうんだよ」亞里亞「・・・・・亞里亞なの」チョッパーが薬品調合のためにアルコールランプによってフラスコ内で沸騰している音以外の静寂な船室内で1人1人自己紹介をした。雛子「ねえ!ねえ!聞いて・・・この人達海賊さんだけどすごくいい人達なんだよ」鞠絵「海賊さんですか・・・凄くたくましい御方々なのですね」鞠絵は頼もしいゾロ達を見つめながら言った。さすがに万人に優しい彼女は、海賊に対しても優しく接していた。「ゴホッ、ゴホッ・・・」ナミ「大丈夫?」鞠絵「ごめんなさい・・・わたくし、体があまりにも弱いから、皆様に御迷惑をおかけして・・・」鞠絵は激しい咳の勢いをこらえながらみんなに言った。チョッパー「気にするなって!・・・おれ達は海賊だからな・・・このくらい当たり前のことだ!」チョッパーは大きく胸を張った。どうやら本当の海賊の意味が解っていないらしい。ナミ「チョッパーたら・・・」ナミは呆れ返った顔で笑っていた。亞里亞「ふわふわ・・・・・」チョッパー「おれはトナカイだ〜〜〜!!!」亞里亞はチョッパーにその呼び名で言った。鞠絵「あの・・・兄上様はここにはいらっしゃらないのですか?」ナミ「(そうか、この子さっきまで気を失っていたからまだ兄が行方不明になったことに気付いていないんだね・・・)」兄の事を一番愛している鞠絵が聞くと、ナミは動揺した。ナミ「・・・実はね、今はここに居ないの・・・」雛子「おにいたま、はぐれちゃっていてね、それで島もなくなっているの・・・」亞里亞「兄やに・・・・・会いたい・・・・・くすん・・・・・」鞠絵「そうですか・・・兄上様が・・・(涙)」涙を滲ませる雛子が状況を話すと、亞里亞と鞠絵がひどく落ち込み、そしてナミとチョッパーがしんみりさす。ゾロ「おまえら何めそめそしているんだ!!・・・二度と会えなくなったわけじゃねェだろう!・・・島だって完全に消滅したわけでもねェし・・・探せばその内見つかるものだ!・・・島がなくなったからって・・・たかが兄に会えなくなったからってくじけているんじゃねェ!・・・もっと積極的になって見せろ!!」その時、緑髪で腹巻きの男が怒りをあらわにしながら妹達に怒鳴った。亞里亞「ひどい・・・・くすん・・・・くすん・・・・(涙)」すると、亞里亞が次第に泣き崩れる。ナミ「あんたね!・・・この子達の気持ちも少しはわかってあげたらどうなの!・・・兄妹同士がはぐれると、どんなに辛く哀しくなるものなのか・・・!!」ゾロ「ならば、どう解決しろと言うんだ!!」ナミ「解決出来ないで困っているからこそいたわるべきじゃないのよ!!」妹達をかばっているナミが次々とゾロに言い返した・・・過去に、育ての母親ベルメールの事にナミは脳裏をよぎった。彼女は愛する者と村を守るために命をなげうったのだ。愛されて、残された者の哀しみはナミが痛いほどよく知っていたからだ。鞠絵「お願いです・・・わたくし達のために喧嘩をするのはやめてください」鞠絵は涙をこらえながら言った。雛子「ヒナ、もう泣かないから・・・」ナミ「え、でも哀しいんでしょう・・・」雛子「哀しいし、おにいたまの事もだいだいだい好きだし・・・でもヒナ、泣かないで頑張るから」亞里亞「・・・・・くすん!」雛子「亞里亞ちゃんも、泣かないでがんばろう・・・」亞里亞「・・・・・うん・・・・・くすん」亞里亞は雛子の洋服で涙を拭きながら頷いた。雛子「鞠絵ちゃんも・・・」鞠絵「はい、雛子ちゃん・・・」チョッパー「おまえ達・・・」チョッパーは感激の表情を浮かべた。ゾロ「そうだよ・・・その調子だ!・・・おまえらも、なかなかの心意気じゃねェか」鞠絵「いいえ、ゾロさん達の気迫のおかげです・・・それでお願いがあります」ゾロ「何か!?」鞠絵「わたくし達、兄上様をお捜ししたいのですが、そのための乗り物がありません・・・ですから、皆様と一緒の船に便乗させてください」雛子「ヒナも乗せてってください!」亞里亞「亞里亞も・・・・・乗せてください・・・・・」3人は礼儀正しくゾロ達に頭を下げた。ナミ「もちろんよ!!・・・この船で良ければ!」ナミは自分の腕で涙を拭きながら力強く引き受けた。ゾロ「いつでも歓迎するぜ!」ゾロもニヤッとした表情で引き受けた。チョッパー「新しい仲間が増えたぞ〜〜〜!!」チョッパーは鞠絵達が仲間だと思って大喜びだ。鞠絵「ありがとうございます・・・もし何か出来ることがありましたらわたくし達もお手伝いします」ナミ「あなたはあんまり無理しなくてもいいから・・・体も弱いんだし・・・」鞠絵「はい、気を付けます・・・」ミカエル「ワン!ワン!」チョッパー「『がんばれ、鞠絵!』って言っているよ・・・」鞠絵「ありがとう、ミカエル・・・」そんな喜びの中、1人の男がやって来た。サンジ「ナミさ〜ん♡・・・鞠絵ちゃ〜ん♡・・・雛子ちゃ〜ん♡・・・亞里亞ちゃ〜ん♡・・・あとオマケ共!・・・食事の準備ができましたよ〜〜!」デレデレとした態度でサンジはみんなに声をかけた。ゾロ「やっぱり来たか・・・エロマユゲ!」サンジ「何だと!・・・このクソマリモ!!」2人はお互い睨みあっている。ナミ「やめなさいよ!・・・この子達の前でみっともない!」ナミは呆れた顔で2人のもめあいを止めた。そして、可憐と咲耶も来た・・・可憐「鞠絵ちゃん、大丈夫・・・」咲耶「遅くなってごめんね・・・心配だから診に来たの・・・」鞠絵「はい、大丈夫です・・・まだ完全ではないけど少し元気になりました」咲耶「でも無理しない方がいいわ・・・完治しない限り容態が悪化することだってあるから・・・」可憐「食事をしたら、きっと回復するわ・・・」可憐と咲耶は鞠絵達に船のデッキテラスのテーブルまで案内した・・・そこには全員分の皿が並べられていて、真ん中には絢爛豪勢な料理が数多く盛られている・・・これは、まさにバイキングだ・・・サンジ「今回のメニューは、おれと白雪ちゃんが腕によりを掛けて作ったフルコースだ・・・これだけ多いとさすがに時間も掛かったがな・・・」白雪「さあ皆様、冷めない内に召し上がれ!」可憐「いただきます!」ルフィ「よっしゃ〜、派手に食うぞ〜!!」チョッパー「おれも食うぞ〜!!」亞里亞「亞里亞・・・・・甘いのスキ・・・・・」全員一斉で食事にかかった・・・ルフィとチョッパーはよりどりみどりと料理にがっつき始める。鞠絵はミカエルにご飯を食べさせている。ナミ「わ〜、すごく美味しいわ!これ!」白雪「これは、白雪特製トマトペースト風えびチリですの!」ロビン「味もまろやかでかなり良い食感よ」サンジ「白雪ちゃんの料理は本格だ・・・おれが評価している」ウソップ「ある意味、サンジよりイケてるかもな・・・」サンジ「おい! 長ッパナ、おれの料理を見下すんじゃねェ!!」ルフィ「別に食えりゃなんだって良い・・・モグモグ!!」口いっぱいに肉をほおばっているルフィは、すでに胃袋がゴムまりのように膨らんでいた。恐ろしい程の大食漢である。ゴン!!!サンジ「てめェは偉そうにみんなの分食ってるんじゃねェ!!」サンジは大食いしているルフィを足蹴りした。チョッパー「よし、そのスキにルフィの分の肉も食っちゃおう・・・」チョッパーはルフィがサンジに蹴られている間に素早く彼の皿から肉を奪った・・・チョッパーもルフィに劣らない程の大食漢だ・・・ガン!!!サンジ「おめェも食い過ぎだ!!!」チョッパー「ガハッ!!」サンジに頭からかかと落としされたチョッパーは肉を片手に持ちながら口から食べかすを吐き散らし、そして妹達にかかる!花穂「きゃ〜、きたない!」春歌「ワタクシは間一髪でかわしましたわ・・・」ナミ「あんた達、やめなさい!! 食事中にみっともないわよ!!」咲耶「いつもこうなんですか・・・」ナミ「そうなのよ・・・ホント疲れるわ」咲耶「実はうちの亞里亞ちゃんも食べる時はあの調子で・・・」亞里亞が選んだ食べ物とは、ケーキやタルト、ゼリー、フルーツポンチetc・・・とデザート類だけだった。雛子「亞里亞ちゃん、そればっかり食べていたら虫歯になるよ」亞里亞「平気・・・・・亞里亞・・・・・甘いの大スキなの・・・・・」甘い物を見ると大喜びする亞里亞、とても美味しそうに食べている。ナミ「お互い苦労するわね・・・」咲耶「はい・・・」ハングリー派のルフィとチョッパー、甘い物グルメの亞里亞を見て2人は息をついた。咲耶「どうしたの?白雪ちゃん、具合でもわるいの?」咲耶は元気のない白雪を見て心配しながら言った。白雪「本当はにいさまにも食べてもらいたかったのに・・・」白雪は俯きながらつぶやいた。咲耶「そうよね、お兄様も居たら楽しいでしょうね・・・」可憐「可憐、会いたいよ・・・お兄ちゃん・・・」可憐はつぶやく・・・しかし、その表情は疲れを隠せなかった。ルフィ「ん、可憐、おまえ何落ち込んでいるんだ?」肉を口いっぱいにほおばりながらルフィは言う。可憐「いいえ、何でもないです・・・あの、ここにピアノはないでしょうか?」ルフィ「ピアノ、なんだそりゃ?」どうやらルフィにとっては見られぬ代物らしい。ナミ「無理、この人がピアノなんてわからないわよ・・・たしか、私の書庫にお古の小さい物があるけど・・・あなた弾くの?」可憐「はい・・・貸して頂きませんか?」ナミ「いいわよ、ちょっとまっていて・・・」ナミは自分の部屋の書庫までピアノを探しにいった。そして・・・ナミ「あったわよ・・・小さいころによく使っていた物だけど、これで良ければ・・・」雛子「小さいオルガンみたいでかわいいね」四葉「何か、ケンバンハーモニカとはちょっと違いマスね」四葉は手持ちのルーペで覗いて見ている。衛「おもちゃのピアノ?」ナミ「あら、これでも音は綺麗に出るわよ」可憐「ありがとうございます」可憐は早速ピアノを弾き始めた・・・彼女の演奏は、食事中のデッキテラス内を心地よく響くような美しい音色で満たしていく。ロビン「まあ、なんて素晴らしい!」サンジ「最高なメロディーだな〜♡」すっかりメロメロのサンジは可憐の美麗な演奏に見とれてしまっている。咲耶「こう見えても、可憐ちゃんは学校のピアノ演奏会でいつも入賞しているんですもの」自分の姉妹のことに咲耶が自慢げに言った。可憐「お兄ちゃんがいない時とか、淋しい時はよく弾いているんです・・・そうするとなぜか心が和むの、心がとても・・・」すると、可憐が切ない表情でつぶやく。ナミ「そうなんだ・・・」ルフィ「可憐!・・・おまえ俺たちの仲間にならないか!?」可憐「仲間・・・ですか?」ルフィ「可憐1人が心細いならみんな来てもいい!・・・海賊にはどうしても音楽家が必要なんだ!!」その時、食べるのにいつも忙しい船長が食事を中断して真剣な眼差しで仲間の勧誘をした。可憐「でも可憐・・・お兄ちゃんに会いたい・・・」可憐は躊躇いながら瞳を伏せた・・・もしも、兄も一緒に冒険できるのなら、本人はいつでも引き受けたのだろう。ただ、彼女にとっては兄に会いたくてたまらない程に頭がいっぱいになっていた。ルフィ「だから、おれ達が会わせてやるから仲間になってくれ!」ナミ「あんた!・・・どうして彼女たちを強制するの!」ルフィ「だって海賊はみんなで歌うだろ!・・・だから音楽家がいるんだ!」ゾロ「そりゃ、おまえのわがままだ!!」ゾロは怒りながら言った。鞠絵「でも、兄上様にお会いするまでは皆様と同行することになっていますが・・・」ルフィ「ほんとか!!」ゾロ「確かにそういう約束はしたぞ」ルフィ「そうかゾロ・・・これで新しい仲間が出来たな〜!!」ゾロ「誰も仲間になったって言ってねェだろ!!」ルフィが両腕を組み、胸を張りながら感心すると、ゾロはつっこむような感じで青筋を立てた。ウソップ「よう、おまえら!!『ウソップ海賊団』に入らないか?」衛&鈴凛&四葉「ウソップ海賊団?」ウソップ「そうだぜ!・・・このキャプテ〜ンウソップ様がおまえ達を勇敢な海人にしてやるぞ!!」ルフィ「おい、何言っているんだ!!・・・キャプテンはおれだぞ!!」ウソップ「か〜〜!!おまえは黙っとれ!」衛「勇敢な海人ってほんとになれるの?」鈴凛「じゃあ、ウソップさんは勇敢な海人なの?」ウソップ「そうとも!!・・・何せおれ様は『イーストブルー』で魚人にすら勝った男だぜ!・・・そしてグランドラインに突入してあの凶悪秘密集団『バロックワークス』のナンバーエージェントを多数仕留め・・・空島では凶暴な四神官を全滅させた勇敢な海の戦士だぜ!!(ど〜ん)」ウソップは、出来もしなかったウソを3人の前で自慢した。四葉「それはすごいデスね!」彼のウソとも知らず、四葉は感動する。ウソップ「もし、今入会したら・・・もれなくおれ様の『冒険譚』っていうのをたっぷり聞けるビッグチャンスだぜ〜!・・・どうだ〜?」ウソップは自分の故郷、シロップ村で3人の男の子を弟子に海賊ごっこをして遊んでいた記憶がある。そのような過去の事をしみじみ感じながら、妹達に勧誘を募ったのである。衛「どうする?」鈴凛「今はそれしか助かる方法はないんじゃない、私達だけじゃあどうすることも出来ないから」四葉「そうデスね・・・ほんとに良い結果になればいいんデスけどね」ウソップ「よ〜し決まりだ〜!!・・・おまえらには早速『冒険譚』っていうのを聞かせてやるぞ〜!」ウソップは、意気揚々と彼女達に冒険譚のおはなしをさせた。ナミ「始まったわね、毎度のウソ話が・・・」ロビン「ええ・・・」チョッパー「あの話はウソなのか〜?」邪推の知らないチョッパーは彼のうそ話を信用していた。咲耶「そう言えばさっきのログポーズとエターナルポーズの入手の件なんですけど・・・」ナミ「ログポーズは私が持っているわ・・・しかしエターナルポーズは簡単には手に入らないわよ」咲耶「どのような役割をするの?」ロビン「いずれも特殊な羅針儀〈コンパス〉なのだけど、普通の磁針とは違って方角ではなく『島』を示すための物・・・そもそもグランドラインにはある島々が鉱物を多く含むために航路全域に磁気異常をきたしているの・・・その島と島の間に帯びている磁場を記録させて次の島への進路を取る目的の物がログポーズで、一度記録された島の磁力を決して忘れず任意な場所からでもその島だけを指し続けるようにできている物がエターナルポーズなの」咲耶「確かにこの航路には風や海流の恒常性もないため、方角が確認し難いのもありますよね」頭の良い咲耶はロビンの説明を確実に理解できている。千影「・・・これは!?」咲耶「どうしたの、千影ちゃん?」千影は海辺の岩石に鉄片を当てて見た。なんと驚くほどの力で岩石に吸着されている。千影「強磁性体か・・・・・なるほど・・・・・」ロビン「あなた、さっきの話を聞いていたの!?」千影「ええ・・・・・この岩石は恐らく自然現象によって磁化された物・・・・・」密かにロビンの説明を一部始終と見ていたのか、千影は冷静に岩石の鉱物の成分について解説する。千影「・・・もともと島の岩石には、酸化鉄、コバルト、ニッケル、そして亜鉛などが含まれていて・・・・・頻繁な落雷により酸化鉄やコバルトとスピン反応(※1)することによって磁性酸化鉄とコバルトフェライトが生成される・・・・・それらを約1対1の割合で地表からの赤外線により高温処理され・・・・・季節風などによる冷風で磁界中冷却されてフェライト磁石という強磁性用永久磁石が得られたのでしょう・・・・・フェライト磁石は他の永久磁石と比べて磁束密度は低い方だけど・・・・・島の岩石自体の断面積が極めて大きいため・・・・・磁力に関してはさほど変わりはないはず・・・・・」※1スピン→固有の角運動量の成分の1つで、電子が自転運動に伴うような動きによるもの。1925年、オランダの物理学者ウーレンベクとハウトスミットによって発見された。春歌「どの位の磁力があるのですか?」千影「例えば・・・・・存在する2つの島がいずれも高さ15m、長さ1kmの岩石の断面積があったと考えよう・・・・・これらの離隔距離が500kmの場合・・・・・フェライト磁石の表面磁束密度が0.15テスラ、空気中の比透磁率を1として磁気クーロンの法則で計算すると・・・・・約130gの力で引きあっていることになる・・・・・この程度の磁場だと普通の方位磁針では確実に方向を狂わせてしまう・・・・・磁性酸化鉄から別にニッケルや亜鉛と焼結すると、ニッケル亜鉛スピネル形フェライトの生成も可能だ・・・・・この磁石はマイクロ波用フェライトとも呼ばれ、300MHz以上の周波数帯域に反応すると言われている・・・・・」ロビン「成程ね・・・300MHz程度の高周波帯域が多い島々だと航路全域に磁気異常をきたすのも考えられるわけね」ナミ「すごい!・・・あんた、よくここまで解るわね」サンジ「すごく知的だな〜!・・・千影ちゃ〜ん♡・・・サイコ〜!!」サンジの目はすでにハートになっている。千影「実は私もこう言う物に少し興味があってね・・・・・フ」ルフィ「おれ、何言っているんだかさっぱりわかんねェや。」ウソップ「つまりだな〜・・・グランドラインの島々は自然現象によって磁石になっちまったってことだ」ウソップも難しいことがあまり解らないため、理屈な説明でルフィに教えている。ルフィ「そっか・・・つまり『ふしぎ島』だな?」ウソップ「なんでそんな言葉が出てくるんだ・・・おめえはよ〜〜!!(ツッコミ)」やはりルフィは訳がわかっていないので、その名で言った。ゾロ「グ〜!!・・・ガ〜!!」難しい話について行けず、ついに寝てしまったらしい・・・咲耶「そうか・・・だからログポーズやエターナルポーズでないと進路が取れないってわけか」つぶやく咲耶はロビンや千影の説明を聞いて納得した。雛子「ヒナ、千影ちゃんの言葉よくわかんないけど2個のコンパスのことは何となくわかったよ」亞里亞「亞里亞・・・・・あまり・・・・・わかんない・・・・・」ロビン「でもあなた達が住んでいる島はどの海域に移動されたかは見当付かないから、ログポーズで進路を決めるのは困難ね」ナミ「つまりその島を記憶したエターナルポーズでないと進みようがないってこと?」咲耶「考えて見ればそうですよね・・・」残念そうに咲耶は言った。花穂「ああっ!・・・オルゴールがない!!・・・お兄ちゃまからもらったオルゴールが・・・」雛子「花穂ちゃん・・・オルゴール無くしたの!?」花穂「どうしよう〜・・・花穂のオルゴール〜!」花穂は焦りながら、島の辺りを探し始める。しかし、兄からもらったみんなのオルゴールだのに、なぜ自分の物になっているのか・・・花穂「きゃあ!!」ドテッ!!花穂「いた〜い!」慌てすぎた為か、毎度のように転んでしまった。ルフィ「おまえ、以外とドジだな・・・」ナミ「バカ! 失礼でしょ!!」ロビン「お嬢ちゃんが探しているのはこれかしら?」ロビンが持っていたのは、なんと花穂が探しているオルゴールだった。花穂「あっ!・・・それ!!」彼女はロビンの所へ駆け付ける。船のはしごから上り終えた所で・・・花穂「きゃあ!!」ドテッ!!花穂「いたた・・・!」段差につまずいて再び転んだ・・・ロビン「大丈夫?」サンジ「さあ、お手を、かわいいレディー・・・」花穂「あ、ありがとう・・・」サンジはマナー良く、転んでいる花穂に手を差し伸べた。可憐「サンジさん優しいんですね」亞里亞「かっこいい・・・・・」サンジ「いや〜、それほどでも〜〜」ナミ「もう、サンジ君!!」ナミは、またムスッときた。サンジ「すみません・・・ナミさん♡」ゾロ「バカが、騎士道でも気取っているつもりか!!」サンジ「何だと!!・・・てめェ!!」ゾロ「文句あんのか!!・・・コラッ!!」サンジ「あたりめェだ!!」ギュ〜〜〜〜〜〜〜〜!!ナミ「本当に・・・や・め・な・さ・い・よ!!」ナミは怒りながら2人の耳をつねった。ロビンが探してくれたオルゴールはようやく花穂の手元に戻った。花穂「ありがとう・・・ロビンお姉ちゃま」雛子「もう無くしたらダメだよ」花穂「えへへ・・・よかった〜・・・オルゴールが見つかって・・・」しかし・・・花穂「あれッ・・・」雛子「どうしたの?」花穂「あれッ、オルゴールが動かない!・・・壊れちゃったのかな!?」花穂は何度もオルゴールのふたを開けて動作確認をしている。鈴凛「ぜんまいを回したら動くんじゃないの?」花穂「あっ、そうか」早速ぜんまいを回して再度動作確認をした・・・・・やはり動かない。花穂「ふえ〜ん!!・・・壊れちゃっているよ〜(泣)!」鈴凛「泣かないで、私が何とか調べてみるから」鈴凛は船室に戻って、壊れたオルゴールを分解してみた。花穂「どう?・・・どこか壊れている?」鈴凛「変だね〜・・・どこも壊れていないみたいだよぉ」四葉が来た。四葉「チェキ!!・・・オルゴールを調べているのデスか・・・どれどれ」四葉はルーペを出して真剣に覗いて見た。四葉「う〜む・・・どこにも故障が見当たれないってことは、何か仕掛けがあるみたいデスね・・・ん?・・・この『磁石』みたいのは!」鈴凛「どうしたの?」四葉「なるほど、謎は解けたのデスよ・・・花穂ちゃん!!」花穂「故障箇所がわかったの?」四葉「これは壊れているわけではないデス・・・動かないだけデスよ」花穂「え〜、どう言う意味?」四葉「四葉の推理からによると、このオルゴールは島が見失ったから鳴らないだけデス・・・四葉達の島でなら鳴るのデス!」花穂「そうなの!?」鈴凛「そんな魔法みたいなオルゴールがある訳ないじゃん」人差し指で力説する四葉を2人は疑いの目で言った。やはり彼女の推理はあてにならないのか・・・そして、ウソップが来た。ウソップ「よう、おまえら、この『キャプテ〜ンウソップ』様を出し抜いて何をしているのだ?」鈴凛「今ね、このオルゴールを修理しているとこなの・・・だけど故障箇所がなくて困っているの」ウソップ「どこも異常がなければ故障じゃねェよ・・・どれどれ、おれが組み立てよう」花穂「ほんとにどこも壊れていない?」ウソップ「おれ様を信じろ!!」そしてウソップは得意げにオルゴールを組み立てた。鈴凛「はやいね!・・・手練れ!!」ウソップ「まあな、こう見えてもおれは船の補修やら、武器の作成などいろんなものをこなして来たんだぜ・・・ま、この船の中でおれが一番手先器用だからな・・・だれも出来っ子はいないだろう」鈴凛「実は私も器用さには自信があるわよ。鞠絵ちゃんほどではないけど・・・」四葉「鞠絵ちゃんの器用さは裁縫とか、編み物に関しての場合デスけどね」実は鈴凛もウソップに負けないほど器用さには自信を持つのだが、彼女の場合は頭脳を使っての発明なので、ウソップの器用さとは訳が違う。その腕前は自分そっくりのメカ鈴凛を製作するほどだ。ウソップ「それよりおまえら、こんな所にいないで外に出て冒険するぞ!!・・・『勇敢な海人』になるための模範演習をおれが教えてやる!」ウソップはから威張りしながら、四葉、鈴凛、花穂を誘う・・・四葉「何か頼りになるのか、ならないのか?」四葉は頼りのなさそうなウソップを見て疑った。ウソップ「お、おまえ!・・・そんな疑わしい目でおれを見るんじゃない!!・・・衛を見ろ、すでに外で準備運動しているぞ!」ウソップ率いる新海賊団は、小島を冒険するために下船した・・・続くHPへご意見・ご感想はこちらへ ▽TITLE∇ |