シスプリワンピース
第3章 怨恨の恐怖
食事を終えたルフィ達と12人の妹達は、少し休憩を取りながら出航の準備に取りかかる予定だ。テーブルに盛られた豪勢な料理は、一瞬にしてカラッきしになり不規則に置かれた皿と飲み痕のグラスだけが残っていた。しかし、半分以上がルフィとチョッパーによって食い荒らされたため、中には満足に食事が出来ない人もいた。鞠絵「お皿はこちらでよろしいですか鞠絵は真面目に後かたづけをしていた。サンジ「おお〜・・・どこでもいいよ〜、鞠絵ちゃん♡」厨房で皿洗いをしているサンジはデレデレとしながら微笑んだ。白雪「鞠絵ちゃん・・・元気ないみたいですの、ちゃんとご飯食べたのですか?」サンジの傍らにお皿を拭いている白雪は言う。鞠絵「あんまり・・・」サンジ「そうか・・・すまないな、せっかく腹空かしているのに・・・あれでもウチの船長、人一倍のクソ大食いだからな」鞠絵「いいえ、大丈夫です」サンジ「でも、この時のために隠しておいたメニューがあるんだ!」鞠絵「そうなんですか?」鞠絵は微笑む。サンジ「おれが鞠絵ちゃんのために作った栄養たっぷりの高級料理だ」実は取って置きの料理をオーブンの中に隠していたのだった。そのメニューは前菜から、デザートまでの会席料理で栄養摂取に関しても完璧な配分だった。ルフィがみんなの分の食事を独り占めするだろうと予測しながら残して置いたのものでもあった。鞠絵「わあ! おいしそう・・・本当にいいんですか?」サンジ「お〜、ご遠慮なく! たくさん食べて早く元気になってくれ」鞠絵「ありがとうございます」白雪「よかったですね、鞠絵ちゃん」サンジ「もちろん、白雪ちゃんの分もありますよ♡」白雪「ほんとですの! わあ〜、ありがとうですの・・・サンジさん」厨房の小さいテーブルで2人は美味しそうにご馳走を頂く。鞠絵「とても美味しいです・・・幸せな味がします」白雪「ほんとですの・・・新鮮な食材でカロリー控えめの高級会席ですね」サンジ「始めてかい、その料理は・・・」鞠絵「はい、わたくしの療養所での院内食事も栄養摂取を考慮した献立が主なんですが、こんな食感の良い高級料理は初めてです」白雪「姫も見習わなくっちゃですの」サンジ「う〜〜ん♡・・・白雪ちゃんは見習わなくても十分プロだよ〜♪」サンジ体を振りながらデレデレとした態度で愛想よく言った。サンジ「おっと・・・こうしてはいられない・・・まだ洗い物が残っている・・・」白雪「食事が済んだら姫もお手伝いします」鞠絵「わたくしも御協力します・・・だって、こんなにお世話になっているんですもの・・・何か出来る事があれば、お手伝いさせてください」白雪「さすが鞠絵ちゃん、えらいですの!」鞠絵のつつましい態度に白雪は心から誉めた。サンジ「ほんと、どこかのクソ剣士とは大違いだな・・・」一方、船の外では・・・ゾロ「ふぁ〜・・・出航までもう一眠りするか・・・」大あくびをしながら岩石にもたれて居眠りに入る。暇さえあればどこでも眠る彼は下手に熟睡する訳ではない・・・自分に殺気が込められたらけっして見逃しはしない本能の危険回避を身に染みついている。それは熟練された剣士の実力だからである。ウソップはいつものの『ウソップ海賊団』に今だけ入団した衛、鈴凛、四葉の3人を連れて『勇敢な海人への模範演習?』をして遊ぼうとしている。ウソップ「いいか!!・・・人々に称えられたこの誇り高き海の男『キャプテ〜ンウソップ』の手下になって、おまえ達は実に鼻が高い!(どど〜ん)」ルフィ「だからキャプテンはおれだって言っているだろう!!」突然ルフィが乱入してきた・・・ウソップ「わ〜〜!! いい加減しつこいんだよ・・・おまえは!!」ルフィ「妥協しろよ、ウソップ!!!」ルフィとウソップはキャプテンの取り合いで喧嘩だ・・・それを見て、3人の妹は唖然としている。ウソップ「あっ! あそこに探検用の洞窟が・・・」ルフィ「ほんとか!! よ〜し可憐、洞窟で冒険だ!!」可憐「え・・・ええ・・・」ウソップ「単純バカ・・・」ルフィと可憐はクシクシと笑う彼の嘘とも知らずに岩石の裏へ走っていった。鈴凛「ねえ・・・どっちがキャプテンなの?」ウソップ「も・・・もちろんおれ様がキャプテンに決まっているだろう!・・・あいつは単なるおれの部下だ」鈴凛「そうなの!?」ウソップ「そんな事よりおまえら、今日からおれの事を『キャプテ〜ンウソップ』と呼ぶんだ!(ど〜ん)」衛&鈴凛&四葉「は、はい・・・(汗)」3人は返事がはっきりしなかった。ウソップ「お、おい!!・・・おまえらは『ウソップ海賊団』の一員だぞ!・・・も、もっと喜ばんか!」ウソップはしどろもどろと3人に言った。そこで、チョッパーが興味津々とやってきた。チョッパー「おお!・・・『ウソップ海賊団』か?・・・おれもまぜてくれ!」ウソップ「チョッパーか・・・いいぜ!!・・・ただし、おまえもおれの事を『キャプテ〜ンウソップ』と呼ぶんだぞ〜!!」チョッパー「ウソップはキャプテンになったのか?・・・すげェ〜!!」冗談がわからないチョッパーは感激した。雛子「ちょっとまってよ・・・このトナカイさんはヒナといっしょに遊ぶんだよ〜!」亞里亞「亞里亞とも遊ぶの・・・・・」今度は雛子と亞里亞が一緒に遊んでいるチョッパーを連れ戻そうとやって来る。ウソップ「ダメだ!ダメだ!・・・チョッパーは自らおれ様の海賊団に入団しに来たんだ・・・しかも定員4人までだ!」雛子「ぶ〜、いやだ!!・・・ヒナと遊ばせて〜!!」ウソップ「ダメったらダメだ!!」お互いに奪いあいをしようと、ウソップと雛子がむりやりにチョッパーの片腕を引っ張りあっていた。チョッパー「うわ〜〜!・・・やめてくれ・・・腕が痛い!!」引っ張られて、チョッパーは苦しい様子だ。ロビン「こら!・・・よしなさい!長ハナ君!!・・・大人気ないわよ!!」その時・・・ウソップをあだ名で呼ぶロビンが怒った。ウソップ「だって・・・チョッパーがせっかくおれの所に来てくれたんだぜ!」ロビン「可愛い女の子には譲るべきよ・・・諦めなさい!」雛子「そうだよ〜!」ウソップ「はいはい・・・わかったよ」ウソップはふて腐るような態度で返事した。衛「ねえ、それより冒険しないの? キャプテンウソップ・・・」ウソップ「おっと、そうだった! それではまず・・・」とその時だった。「ヒヒヒ!!・・・見つけたぜ!!・・・例の海賊団!!!」「おい、よく見れば行方不明の小娘共もここに居るじゃねェか!」素性の知らない悪党達が林の茂みから大勢現れた!・・・しかも、そんじょそこらの悪党とは違う戦力が並以上の連中だった!ウソップ「うわあああああああっ!!!」チョッパー「うわあああああああっ!!!」恐がりのウソップとチョッパーは真っ先に逃げ出した。妹8人「助けて〜〜〜〜〜!!」そして悲鳴をあげる可憐、花穂、衛、咲耶、雛子、鈴凛、四葉、亞里亞も逃げ出した。ナミ「悪党!!?・・・こんな間の悪い時に!!」その時、絶叫したナミの声が船室の厨房まで響いた。白雪「悪い人・・・どうしようですの・・・」鞠絵「こわい・・・助けて・・・」脅える鞠絵は顔面蒼白になりながら、白雪に抱きつく。サンジ「おっと!・・・おれが行く、おまえ達はここから離れるな!」サンジは颯爽たる雄姿で、悪党の所へ向かって行く。船の外ではすでに大勢の悪党達に包囲されてしまった。妹達は怯え、臆病な亞里亞は余りにも怖さにすぐに泣き出した。悪党達「これだけ殺ったら褒賞もんか!・・・ヒヒ!」カチャッ!!!ゾロ「相手になるぜ!!」鋭い表情をしたゾロは抜刀して戦闘態勢に入る。ルフィ「おまえら、やるのか!!」ルフィもニヤッとしながら戦闘態勢に入る。悪党「ひ、ひるむな!!・・・1億ベリーのルフィと8千万ベリーのゾロだがこっちは100人もいるんだ!!・・・倒せば昇格間違えなし!!・・・やっちまええええ!!!」悪党達は大勢で襲いかかった。ゾロ「二刀流!!」静かに刀を引き、腰を沈めて、疾風の如く斬りつける!!ゾロ「“鷹波”!!!」ザザンッ!!!まさに、高波のような膂力が生み出す衝撃波で襲いかかる数十人の悪党達が剣を折られ、切り口から出血しながら高速でぶっ飛んだ。彼の両側に対抗した悪党達は全員倒れて意識がない。サンジ「可愛いレディー達を傷つけようとするマナーの悪い奴らには・・・」妹達をかばい、挑発しながら敵の正面に踏み込んで蹴りの体勢を整える!!サンジ「“受付”〈レセプション〉!! “上部もも肉”〈カジ〉! “尾肉”〈クー〉!!!」旋風のごとく激しい蹴りの一撃一撃が正確に敵の部位をとらえて、襲いかかる人壁を確実に削ぎ落としていく。サンジの蹴りをくらった悪党達は血反吐を吐きノックダウンだ。悪党「くそ〜! これならどうだ!!」悪党たちは、ライフル銃を一斉に狙撃しようとする。ルフィ「そんな物、おれに効かねェよ!」悪党「死ね〜〜〜!!!」ダダ〜ン!!! ダダ〜ン!!!ライフル銃を発砲した!!花穂「きゃあ!! ルフィお兄ちゃまああああ!!!」銃弾を胸に受けたルフィを見て花穂は痛々しく感じながら大声で叫んだ。ルフィ「だから、効かねェっていっているだろう!!」びょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!銃弾が彼の背中の出口まで突き抜けようとする!が・・・貫いてはいなかった。ルフィの体はどこまでも伸びて、銃弾を包み込んで衝撃を吸収していたのだ。ルフィ「ふん!!」バキュ〜〜ン!!!悪党「ぐわっ!!!」ルフィが踏ん張った直後、銃弾はパチンコ弾のようにはじき返され、狙撃した悪党達に返ってきた。そして、銃弾を受けて倒れていった。悪党「バ、バケモノ〜!」生き残った悪党達はびっくり仰天だった。ルフィ「もうおまえら許さねェぞ!!・・・ゴムゴムのォォォォォ“風車”!!!」ビュ〜〜ン!! ビュ〜〜ン!!両腕を大きく伸ばし、体はねじられたゴムで回るプロペラのように高速回転をして、生き残った悪党50人を一網打尽にした。しかし、回転の勢いが強すぎて、暴風のように枝や木も巻き込んでいった。咲耶「なっ!?」春歌「凄い風!!」ロビン「今は表にいると危険よ、船の裏に隠れましょう!!」ロビンと妹達は急ぎ足で自分達の船の裏へ隠れた。悪党達「ぐわあああ!!」ひゅ〜〜〜〜ん!!!ルフィの技によってラリアートされた50人の悪党達は空の果てまでぶっ飛び姿を消した。100人程度の悪党達はルフィ、ゾロ、サンジによって殲滅された。しかもその所要時間はわずか10秒! 恐るべき強さだ。ゾロ「全く、歯ごたえのない連中だったぜ!」サンジ「これじゃあ、クソ気がおさまらねェ!」どうやら2人にとっては役不足らしい。春歌「なんて強さ!!」船〈ゴーイング・メリー号〉の裏で隠れている妹達は彼らの戦いを見て驚きを隠せなかった。明らかなレベルの違いだ。性別が違っても同じ人間、こんなに違うものなのか・・・妹達は彼らの強さをこの目で実感したのだ。ルフィ「しっしっしっ!」ルフィは笑いながら、勝利のポーズをきめた。咲耶「ちょっとルフィさん、さっきあなた腕が伸びていたわ!?」千影「もしかして悪魔の実の能力者・・・・・」ルフィ「ああ、おれは『ゴムゴムの実』を食ったゴム人間だ!」ルフィは自分のほっぺたを長く引っ張りながら2人に見せた。雛子「わあ、ほっぺが長く伸びている!!」花穂「ほんとにゴムみたい。」咲耶「他にも能力者はいるんですか?」ルフィ「おれの他にチョッパーが『ヒトヒトの実』の能力者で・・・ロビンが『ハナハナの実』の能力者だ」チョッパー「おれは複数の『変形』によって身体を強化することが出来る人間トナカイだ」ロビン「私は体の各部を数、場所にいとわなく咲かすことの出来る能力よ」ロビンは自分の能力を披露した。花穂「腕が4本になって、桜の花びらが舞っているよ」ロビン「この能力で、相手への遠距離攻撃や索敵に有効なものなの」可憐「すごい能力ね・・・」悪魔の実の能力者自体初めて見る妹も中にはいるので、やはり珍しく思うのだろう。悪魔の実とは、時価にすれば1億ベリー以上になる海の秘宝の中でも超一級品で、外見だけならごく普通の果物でしかない。しかし、悪魔の実を口にした者は『能力者』と呼ばれ、世にも不思議な力が身につき、普通の人間とは比べ物にならない程の強さを発揮することができる。悪魔の実には主として、自然系〈ロギア系〉、超人系〈パラミシア系〉、動物系〈ゾオン系〉の3種の系列があり(わずかだけど他にも系列がある)、中でも自然系〈ロギア系〉能力者は格別なる強さだ。ルフィ「だけどおれたちは『能力者』になって、なぜか全く泳げねェ体になっちまったんだ」ロビン「悪魔の実は、海の悪魔が化身した姿だと古い言い伝えがあるの。その実を食べた者に対して悪魔が宿ってしまい、海に悉く嫌われてしまうことから『能力者』は海に落ちれば自力で浮かび上がることはできない万年カナヅチになってしまうのよ」咲耶「能力者にもそれなりのデメリットがあるのですね」千影「海の悪魔・・・・・か」千影は思案げにつぶやく。ウソップ「ど、どうやら悪党は全滅したみたいだな・・・」突然逃げ出したウソップが、岩石の裏からびくびくしながら出てきた。衛「あ、ウソップさん、何で逃げたの?」ウソップ「そりゃ〜・・・大勢の悪党共が出てきたからに決まっているだろう!」鈴凛「え〜・・・だってウソップさんは勇敢な海の戦士なんでしょう」衛「ウソップさんならあれ位、楽勝だと思っていたのに・・・」四葉「どうして戦わなかったデスか!?」ウソップ海賊団3人の妹に追求された彼は戸惑い始めた。ウソップ「なな・・何言っているんだ(汗)・・・逃げてなんかいないぞ〜・・・て、偵察だ!・・・偵察・・・『キャプテ〜ンウソップ』は常に相手の行動から読み、どのように戦っているのかを影で調査することから始めるんだ!!」四葉「なるほどネ〜・・・」ウソップは冷や汗をかきながら、言い訳をして3人の妹達を何とかごまかした。悪党「まだまだ俺達が残っているぜ!!」実は残党達がまだ数名いたのだ。ウソップ「ヒィィィィィ〜〜!!」ウソップは両手を挙げ驚愕した。悪党「小娘らや考古学の女か!ボスの手土産にちょうどいい、かかれ〜!!!」残党達は女子供に襲いかかった!!妹8人「いや〜〜!!」妹達は悲鳴を上げた。ロビン「“十六輪咲き〈ディエシセイスフルール〉”・・・“ストラングル”!!」ロビンは、自分の能力で襲ってくる敵全員に攻撃を仕掛けた。また、彼女が仕掛けた技は敵を決して逃がしはしない。グキッ!! ゴキッ!!悪党「ぐわあああっ!!!」悪党達の体に咲いた複数の腕が、関節技により彼らの首を後ろから締め上げ、数人程度を一挙にダウンさせた。咲耶「何もしていないのに、悪党達が勝手にやられていくなんて・・・」千影「これが『ハナハナの実』の力・・・・・か!」春歌「如何にも奇妙で強力な技ですわ。仕掛けられたら助かりませんわね」3人は彼女の技を見てあっけに取られていた。ウソップ「よ〜し!!・・・よくやったぞ、ロビン!!・・・おれの指示通りだ!」衛&鈴凛&四葉「ちょっと〜!!」3人は偉そうにから威張りするウソップにつっこんだ。そして、ロビンは倒れた悪党達の近くに寄った。ロビン「あなた、なぜ私が考古学者だってこと、知っているの!!」悪党「顔見てわかるぜ・・・『ニコ・ロビン』だろ!・・・お前、指名手配されているぜ・・・」彼女の技によってあっけなく倒れた1人の悪党は息を絶え絶えにして冷たい表情で彼女に告げた。悪党「俺たちが無理でもうちのボスや幹部らが必ず貴様を殺しに来る!・・・その一味もな・・・」それを聞いてウソップやチョッパー、妹達は愕然する。ロビン「どう言う意味なの!!」悪党「さあな・・・ボスは“自分が奪った島”を陣地にして、組織を企てるらしい・・・」ロビン「何ですって!!!」ロビンが驚く。悪党「だが、もうじきそれも実現する・・・」ゾロ「おい!・・・その組織ってのはどう言うことだ!!」悪党「教えきれねェな・・・秘密組織なんでね・・・せいぜい用心して・・・おくんだな・・・ゲブッ!」悪党は、言い残す事を最期に告げながら、息をひきとった。ロビン「ひゃあああ!!!」咲耶「どうしたんですか!・・・ロビンさん!!」ロビンは倒れた悪党の右肩の入れ墨を見て震えおののいた。それは黒い悪魔のような形をしたマークで、その真下にはアルファベットで『ダークプロジェクト』と書かれてある。謎の悪党達は『ダークプロジェクト』の一味だったのか・・・ロビン「そんな・・・『ジャドー』が・・・まだ生きていたなんて!!」可憐「ロビンさんが怯えているわ・・・どうかしたのかしら・・・」ナミ「そうね、あのロビンがおじけついていると言うことは、よほどの強敵と出会ったに違いないわね・・・」可憐は心配そうに尋ねると、慄然しているロビンを見て、ナミの表情がこわばった。ナミ「その人が何かしたの?ロビン・・・」取り敢えず彼女の近く寄って聞いてみた。ロビン「『ホール・ジャドー』・・・彼はある物何でも穴の中へ吸い込む『アナアナの実』の能力者・・・」ナミ「『アナアナの実』の能力者!?」ロビン「ええ・・・『アナアナの実』は自然〈ロギア〉系能力の一種で、吸い込んだ物は異次元空間の世界に入るの・・・いわば『ブラックホール』のように・・・そして本人の好み次第で任意の場所へ突出したり・・・別世界へ送り込んだり・・・また、その中で監禁したりすることができる能力なのよ・・・」彼女はその能力の事で次第にたじろぐ・・・咲耶「そういえば私達の島に異変が起きる時、確か天空から声が聞こえたわ・・・『ジャドー』って!!」千影「その後・・・・・・ブラックホールのような物が・・・・・空一面に広まっていた・・・・・」ナミ「ある物何でも穴の中へ吸い込む『アナアナの実』の能力・・・この子達の住む島を強奪のも、恐らくジャドーって奴の仕業に間違えないわね!!」ナミは深刻な表情でありながら、浮き足立つような気持ちだ。ロビン「でも、彼らは真っ先に私の命を狙うわ・・・(汗)」ロビンは顔面蒼白になりながら、頭を抱えた。ナミ「以前にその人と何か因縁でもあったの?」脅える彼女のことが気になるナミは訊問した。ロビン「彼は、元々『王下七武海』候補だったの・・・」ナミ「ええええ〜!!」ロビン「しかし、同じ席をクロコダイルに取られて非常に悔しがっていた・・・」ウソップ「し・・・七武海候補って・・・そいつすんげェ〜強いんじゃねェのか!?」ナミ「その時はあなたも一緒に同行していたの?」ロビン「4年前・・・私とクロコダイルが協定して『バロックワークス』を創設する計画を政府から私掠許可を得る時、そこに彼がいたわ・・・同様に秘密組織『ダークプロジェクト』を創設する目的で契約を結びに・・・だが任命されなかった」聡明な考古学者、ロビンは実は言うと『王下七武海』の一角を担ったクロコダイルの元パートナーで『バロックワークス』の副社長を務めていた。彼女は8歳して軍艦を6隻も沈め、海軍から7900万ベリーもの巨額懸賞金を懸けられている。クロコダイルは元海賊で8100万ベリーの実績だった。ロビン「七武海に加盟されなかった彼は悔しさと苛立たしさで、私とクロコダイル、ナンバーエージェント達を非常に憎んでいた。そして、最後にこう忠告していたの・・・『いつか七武海になって貴様ら全員殺してやる!!』と・・・」過去に告げられたジャドーの一言で恐怖するロビンが次第におじけつく。ロビン「ところがクロコダイルが倒れ、政府の称号剥奪により七武海は空席状況なの・・・その後任者を契機にジャドーが自薦するのは確実・・・そうなると、私は真っ先に殺される」サンジ「それよりロビンちゃん・・・なぜそいつが今、『七武海』になるってことがわかるんだ?」煙草を吹かしたサンジがなだめるように言った。ロビン「『七武海』はたいがい組織を創設するケースが多いわ・・・以前私と手を組んだクロコダイル率いる『バロックワークス』もその一例よ!!」ゾロ「『ダークプロジェクト』の事か!!」ゾロはジャドーが秘密組織を設立することを確認したらしい。咲耶「ねえ・・・さっきから言っている『七武海』ってどういう意味なんですか!?」気が気でない咲耶はロビンに質問する。ロビン「簡単に言うなら世界政府に認定された7人の海賊達・・・グランドラインで拮抗する三大勢力の1つよ・・・そもそも『七武海』とは未開の地や海賊を略奪のカモとしその収穫の何割かを政府に収めることによって公認された海賊達なの」咲耶「政府に認められる海賊が土地を奪ったり、海賊をやっつけたりするってこと!?」ロビン「ええ、そうよ・・・」元気なさそうに答えた。春歌「だから、ワタクシ達の住む島を奪ったわけですね!!」ロビンの説明を聞いた春歌は島を奪ったジャドーを遠くで睨んだ。ロビン「『七武海』は別の人達に言わせれば『政府の奉仕』と他ならないが・・・海軍でも手を焼くほどの大海賊を世界政府が懐柔しようとした者達だから、屈強たる実力・・・」チョッパー「するとジャドーって・・・俺たちより強いのか!?」ロビンの困窮状態を見て、恐る恐るとチョッパーは質問した。ロビン「ええ・・・彼の懸賞金は未だに解除されてないらしく・・・その額もなんと“1億3千万ベリー”!」ウソップ「い・・・いちおくさんぜんまんつったら・・・クロコダイルよりも額が上じゃねェかよ〜!!」ウソップはその跳ね上がった巨額を聞いて目玉を飛び出しながらびびった。ロビン「そうよ! だから恐ろしいの・・・秘密組織『バロックワークス』の事で私達以外にすでに知っていたのは彼だけ・・・我々の組織は外部から素性を知られたら、原則としてその人を抹殺して措かなければならないことが社訓の掟となっていたが・・・誰も出来なかった・・・なぜなら、あのクロコダイルも怖くて手に追えない程の猛者だからよ!!」チョッパー「そんなに強いのか〜!!」青ざめるチョッパーはびびりまくる。可憐「では、お兄ちゃんや住民達はどうなったのですか・・・」目に涙を滲ませる可憐以下の妹達は、兄の事で次第に恐怖と不安に陥る。ロビン「わからない・・・彼の能力や性格から考えると・・・恐らく、さらわれたとしか思えない!」可憐「そんな、いやよ!!・・・お兄ちゃんがさらわれるなんて・・・」ナミ「落ち着いて・・・可憐!」るいても立ってもいられないまま、気が動転している可憐をナミは抱き留める。ナミ「ねえ・・・何とかならないの・・・このままでは、この子達可愛そうよ!!」サンジ「こりゃ・・・一斉に攻め込んで島を奪還するしかないらしいな!・・・かわいい妹達のためにも・・・」ロビン「無謀よ・・・迂闊に攻撃を仕掛けるのはあまりにも危険すぎる・・・仮に島を奪還したとしても・・・彼が七武海である以上は世界政府の経緯に関連することになるから、私達は勿論・・・一緒に同行したこの子達にも罪をかぶることになるわ!」ウソップ「ほぼ打つ手なしかよ〜!!」ウソップはお手上げ状態でありながらも、少しほっとする様子だ。ナミ「最悪な事態ね・・・もう!」ナミは唇を噛みしめた。可憐「そんな・・・お兄ちゃんはどうなるの・・・(涙)」悲しい表情が一層に増した可憐は憫然であった。ルフィ「な〜にごちゃごちゃ言っているんだ、おまえら!!・・・そんな奴、用はぶっ飛ばしちまえばいいんだろう!!・・・簡単じゃねェか!」無愛想な表情をしたルフィが胡座をかきながら、唐突に言った。ウソップ「簡単な訳ねェだろう!!・・・1億3千万ベリーの『七武海』だぜ!!・・・おめェよか強えェんだぞ〜!!!(ツッコミ)」ウソップはびびっている。ナミ「そうよ!! あんた・・・さっきロビンの話、何聞いていたのよ!!・・・『七武海』になったそいつに攻撃したら、この子達まで罪人扱いになるのよ!・・・わかる!!!(ツッコミ)」ルフィ「しらねェよ、そんなこと!!・・・気にくわねェ奴はぶっ飛ばすまでだ!!」ナミ「じゃあこの子達はどうでも良いってわけ!!」ふて腐ったルフィの態度にナミは怒りをあらわにした。ルフィ「関係ねェよ!!・・・そいつをぶっ飛さねェと島も取り戻せねェし・・・こいつらの兄ちゃんだって会えねェだろうが!!!」頭ごなしに言い返す。危険を顧みない向こう見ずなルフィにとって前言の説明なんて無意味だ・・・兄を助けたい、島を取り戻したいというよりむしろ強敵を倒したいという気持ちが大きいのだろう・・・咲耶「ちょっと待ってください!!」ルフィとナミが口げんかしている最中に、彼女は突然待ったをかけた。ジャドーの事で色々考えを重ねた結果、何かいい名案が出たのだろうか・・・ルフィ「なんだよ!」咲耶「もしジャドーが『七武海』に加盟された場合、政府に認定されるからそれに関わる組織に侵攻したら当然罪になることですよね」可憐「咲耶ちゃん・・・」咲耶「でも、ジャドーが正式に『七武海』になったという確信はないじゃないですか?」ナミ「あっ、考えて見ればそうだね」咲耶「さっき、悪党が秘密組織の事で『もうじきそれも実現する』って口実していましたよね・・・ですからジャドーは未だ『王下七武海』としての私掠許可を受けてないと思うの・・・」春歌「確かに受けてなければ政府との契約も結ばれていないことになりますから・・・今は普通の海賊同様・・・それゆえにワタクシ達が手を出しても大丈夫ですよね」ナミ「勿論、その通りよ! あんたなかなか冴えているじゃない!!」ナミは納得した。衛「これでも咲耶ちゃんは、学校の成績もかなり良いんだよ」咲耶「あら、お兄様や鞠絵ちゃんには敵わないわ」鈴凛「千影ちゃんにもでしょ!(笑)」咲耶「鈴凛ちゃんたら!」咲耶は呆れながらも照れている様子だった。ナミ「でもあんた達は何もしないほうがいい・・・たとえそいつが海賊だとしても一般市民のあんた達が下手に手を出したら有罪になることがあるからね」サンジ「七武海でなければおれ達だけで島を奪還して、妹達が何もしなければ罪にはならないわけだな。」可憐「でも・・・サンジさん達は罪になるんでしょう」ゾロ「おれ達も海賊だ・・・罪になろうが何だろうが関係ない」咲耶「ロビンさん・・・七武海への私掠手続きを受理するまでどの位の期間かかります?」ロビン「そうね、早くて1ヶ月・・・【アラバスタ】でクロコダイルが称号剥奪されてからすでに26日経過したから・・・あと4日ね」咲耶「厳しい日数ね・・・一刻の猶予も許されない状況ってとこね」咲耶は躊躇いながら息を呑んだ。ロビン「4日だけど、島がどこに移動されたか想像もつかないし・・・相手が強敵である限り私達に勝ち目があるかどうか・・・それに秘密結社でもある以上、大勢の社員が存在することも注意を喚起しておかないといけないわ」ルフィ「4日もあれば十分だ!・・・てっとり早く島を見つけてそいつらぶっ飛ばすぞ!」ゾロ「目的を達するまではそれなりの国境の壁があるってとこだな!」ウソップ「おいおい・・・ぶっ飛ばすつっても、そいつらがどれ程恐ろしい敵なのかわかって言っているのか!!?(恐)」ウソップは、またもやびびった。ゾロ「観念しろ・・・ウソップ!! 船長はすでに攻めることに見境がない」ぶっきらぼうにゾロは言う。ナミ「言っとくけど攻撃するにもほどほどにしなさいよ・・・あんた達!! 今回は妹達の罪の有無に関わることだからね!」ナミは2人を叱りながら注意した。可憐「可憐、とても怖いわ・・・ジャドーってすごく強そうだし・・・もしルフィさん達がやられたら・・・」ルフィ「心配するな、可憐・・・やられねェよ!・・・おれは強いからな!!」ルフィは、自分の麦わら帽子を手で押さえながら言った。そして、可憐の頭をやさしくたたいて船に向かった。ナミ「次の島のためのログも溜まった所でそろそろ出航よ!!」ナミは全員に呼び掛けた。咲耶「行きましょう・・・可憐ちゃん!」可憐「うん・・・」頷く可憐の表情は、どこかしら憂いを帯びていた。続くHPへご意見・ご感想はこちらへ ▽TITLE▽ |