シスプリワンピース
第8章 教唆された罪悪感
朝になり、地平線の奥にようやく妹達の島が見えてきたゴーイング・メリー号は、ゆっくり目的地へと近づいていく・・・ナミ「音響最大、あの島に間違いないわ!!」白雪「あ、姫達の島が見えてきたですの!」ナミの声に白雪は喜んだ。咲耶「吸い込まれていた私達の離島が、こんな海域に移動されたなんて・・・」花穂「ふえ〜ん、薄暗くてよくみえないよ〜。」みんなが島を確認できた中、花穂は自分の目を擦りながら嘆いた。衛「あにぃに、会えるんだよね」鈴凛「うん・・・きっと私達の事を心配しながら待っているんだよ」四葉「心配する兄チャマのハートもチェキしますよ!」春歌「兄君さま・・・どうかご無事でいらっしゃいますように・・・」春歌は祈った。雛子「ねえ・・・ヒナたちのいる島がみえるの?」咲耶「ええ・・・あそこ」咲耶が指さしたのを見て、雛子の顔がほがらかになった。雛子「ホントだ・・・鞠絵ちゃ〜ん!!・・・島がみえてきたよ!!」雛子は、大声で鞠絵を呼んだ。鞠絵「え、本当ですか!?・・・さあ、ミカエル!・・・兄上様にお会いできるわよ」ミカエル「ワン!」喜んだ鞠絵はミカエルと一緒に主甲板へゆっくりと駆け付けた。千影「兄くん・・・・・」鞠絵が駆け付けた後で、千影がメインマストでもたれて両腕を組みながら微笑した。やはり兄に会える事が一番の幸せなのか・・・可憐「お兄ちゃん・・・」亞里亞「兄や・・・・・」デッキテラスの船縁で、憂鬱な表情でつぶやいた。哀しみが付きまとっている2人は島が見えてきても精神的な疲れは隠せなかった。しかし・・・チョッパー「大変だ〜!・・・敵が襲ってくるぞ〜!!」メインマストの見張り台で、哨戒しているチョッパーが敵船を確認した。咲耶「いやよ・・・」急に咲耶は青ざめた。亞里亞「コワイ・・・・・くすん・・・・・くすん・・・・・」そして敵と聞いて、妹達は大慌てだ。ゾロ「何隻くるんだ!!」ゾロが鋭い表情で真上にいるチョッパーに視線を向けて言った。チョッパー「前方に5隻の船が来る!!」ウソップ「な、何ィィ!!・・・ほ、砲撃開始だ・・・(恐)」ボンッ!!!ウソップは驚愕しながら、砲列甲板に据えられている砲台の照準を合わせ、前方にいる敵目がけて発射した。ド〜〜〜ン!!!しかし、敵も砲撃して、砲弾どうしが互いにぶつかり合い、その手前で爆発した。ウソップ「うわああ!!!」妹11人「きゃあああ!!」鞠絵「ああっ・・・」耳をつんざく程の轟音や爆風の恐ろしさで、鞠絵は気を失った。咲耶「鞠絵ちゃん!!!」ミカエル「ワン!!!」気絶した鞠絵を抱きながら、絶叫した。鈴凛「どうしよう〜!」衛「せっかく、島が見えてきているのに・・・」敵が奇襲してくる事態に妹達は恐れあわてた。ウソップ「畜生〜! 何でこんな時に砲弾が無ェんだ!!」急な事態に限って弾切れのことでイライラし、後部船倉に置かれてあるカラの砲弾庫を足蹴りした。ルフィ「こうなりゃ〜、ぶっ飛ばすまでだ〜!!」ルフィは主甲板ですぐに迎撃の準備をする。ナミ「ちょっと、あんた!・・・相手の船ごと壊す気!!」ナミは冗談抜きで言った。しかし、ルフィにはもう見境が無かった・・・ルフィ「“ゴムゴムの大釜”!!!」チュド〜〜〜〜〜〜〜ン!!!ウソップ「ほんとに、壊しよった・・・(汗)」唐突にルフィの伸びるラリアートで、接近してきた3隻もの敵船を撃破したのだ! 余りにもの威力に、みんなは唖然とした。ルフィ「まだ、スッキリしねェ・・・」ウソップ&ナミ「スッキリしなくていい!!!(ツッコミ)」しかし、残り2隻の敵船がゴーイング・メリー号に襲い掛かってきた!「麦わら一味だ!!・・・やっちまえ!!!」ゾロ「ようやく、おれ達の出番が回ってきたようだな!!」抜刀しながら、攻撃態勢に入る。サンジ「『飛んで日に入る夏の虫』ってのはこう言うことか・・・」煙草を吹かしながら、攻撃態勢に入る。ゾロの三刀流とサンジの足技で応戦した。やはりケンカの帰趨は圧倒的だった。化け物的な2人の強さは次々と襲ってくる40人程の敵を一瞬の内で滅した。ロビン「これは、『ダークプロジェクト』!!」ロビンの表情が気色ばんだ。襲ってきたのが組織の一員だったことがようやくわかった。ルフィ「すると、ジャドーはあの島にいるのか!!?」ロビン「ええ、恐らく・・・」鋭い表情のルフィの言葉にこわばる表情のロビン、指さす妹達の離島を強奪して、険しい海域に移動させたジャドーに腹を立てている。ナミ「あんた達は、ここにいては危険だから早く船室へ逃げて!!」妹全員「うん・・・」戦闘の中、妹達はナミに言われた通り、必死で船室へ逃げた。花穂「きゃあ!!」ゴテンッ!!!しかし、出遅れた花穂が途中で転んでしまった!「ヒヒ!・・・1人殺った!!!」とその隙に1人の敵が、花穂を襲った。花穂「きゃああああ!!!」ロビン「“六輪咲き(セイスフルール)”!!」襲われている花穂を助けようと、能力を使った。だが・・・ロビン「うっ!」途中で具合が悪くなったのか・・・技を発動させたロビンが急に弱まってしまった。ルフィ「ロビン!!・・・どうしたんだ!?」ルフィはロビンの急変に不可解に思い、彼女に話してみた。ロビン「まさか、海楼石を持っていたとは・・・」ルフィ「な、何!」ロビンが攻撃する敵の懐に実は『海楼石』が入っていたのだった。『海楼石』とは、海と同じエネルギーを発する特殊なもので、悪魔の実の能力者が直にふれると海に溺れるような感じで弱まってしまうという不思議な石だ。現物は宝石のように透明で輝いているが、海軍では能力を持つ犯罪者が逃亡しないために武器や柵などの原料として使われているのが多い。「死ね!!! 小娘・・・!!」花穂「いやああああ!!!」敵は、気を取り直して床に倒れている花穂にサーベルで斬りつけようとする!春歌「花穂ちゃん!!」咲耶「きゃあ!!」絶叫する春歌と顔を両手で隠して悲鳴を上げる咲耶、誰も阻むこともできない危機に花穂はもはや万事休すか!と、その時だった・・・「ぐあああああ・・・」突然、敵が血飛沫をあげて、倒れていった!花穂「ああっ・・・」狙われた花穂は、敵の血霧を浴びながらも無事に助かっている。誰が倒したのか・・・その不可抗力な出来事に、花穂は床で横たわっている敵を見て驚愕した。千影「間一髪だね・・・・・」デッキテラスの端で、千影が水晶玉を手に持ちながらホッとした様子で花穂に言った。花穂「ふ、ふえ〜ん・・・恐かった・・・(泣)」助かった花穂は恐怖の余りに号泣しながら、春歌に抱き付いた。咲耶「千影ちゃん・・・もしかして、魔術を使って敵を倒したの!?」千影「ああ・・・・・花穂ちゃんが敵に斬られそうになる一瞬のスキを計らって・・・・・唱えたのさ・・・・・」ルフィ「すげェな、おめェ!」千影の魔術による遠隔攻撃によって、辛うじて助かった花穂・・・彼女のクールな勇姿を見て、ルフィ達は感動した。「み〜ちゃった、みちゃった・・・こ〜ろしているところ、み〜ちゃった♪」その時、みんなの気付かない所で、不穏な鼻歌が聞こえた。ウソップ「お、おまえはネズミ大佐!!」ネズミ大佐「チチチチチ・・・久しぶりだね〜、諸君!」どっからかやって来たのか! 海軍第16支部のネズミ大佐が突如姿を現した。ゾロ「貴様、おれ達の船に何しに来た!!」ゾロは怒りの目つきで、イヤミを言った彼を睨んだ。ネズミ大佐「おまえ達に年貢の納め時だってことを忠告しに来たんだよ・・・」首を傾けながら、傲慢な態度で言った。チョッパー「何者だ、こいつ・・・」ゾロ「賞金目当てでおれ達に因縁ぶっかけた、ふざけた海軍野郎だ!」ナミ「ちょっと、年貢の納め時ってどう言う意味よ!!」ナミもネズミ大佐を睨み付けながら言った。ネズミ大佐「おまえ達海賊はこれから、ある組織によって滅ぼされる・・・それで、その賞金はある会社設立のための元手に融資するそうだ! ま、これだけしか言えねェな、何せ危険な組織なんでね・・・」海軍の野次馬、ネズミ大佐は、ニヤッと笑った。秘密組織『ダークプロジェクト』が設立すると、その収穫金が自分達海軍の手に入るからである。ルフィ「おまえ、何言っているんだ!!・・・おれ達がやられるとでも思っているのか!!?」ネズミ大佐「相変わらずの強がりだな、麦わら!・・・ま、それは置いといて・・・よお、そこの紫髪の少女!」ネズミ大佐は、表情を歪ませながら千影に声をかけた。千影「・・・・・(汗)」びくびくと千影は無口で、ネズミ大佐に視線を合わせた。ネズミ大佐「言っておくけど・・・たった今、おまえも犯罪者だ!」その一言で、千影は愕然とした。春歌「どういうことですか!!・・・どうして千影ちゃんが、犯罪者になるんですか!!」納得がいかない春歌は、千影の味方になって強く詰問した。ネズミ大佐「さっきおまえは、組織の一員を殺しただろ!」千影「違う・・・・・あれは、花穂ちゃんの命が狙われそうになっていたから・・・・・助けるためにやむを得ず攻撃をしただけ・・・・・故意にしたわけじゃないの!」悲しむ表情で必死になって、訳を言った。ネズミ大佐「そんな言い訳は、聞かねェんだよ!・・・人間1人殺しただけでも犯罪になることは、学校でもちゃ〜んと習っているはずだろう・・・ま、このデジカメで決定的場面も撮ったことだし・・・これを証拠に本部へ通達すれば、その時点でおまえも監獄に陥れられるハメになるだろう・・・チチチ!」千影「そんな・・・・・」先程のルフィ達の戦闘を一部始終と見ていたネズミ大佐が、ダークプロジェクトの平社員を倒した千影を教唆する。ゾロ「その前に、おれがてめェを陥れてやるぜ!!」ゾロはすぐに抜刀して、ネズミ大佐を斬りつけようとする・・・ネズミ大佐「ヒィ・・・お、おっと!・・・これ以上近づくな・・・この小娘の命はねェぞ!!」ゾロの威圧感でひるんだネズミ大佐だが、近くにいる花穂をすぐに銃で脅して人質にとった。花穂「いやあああ、助けて・・・!!」妹10人「花穂ちゃん!!!」(鞠絵は気絶中)ミカエル「ワン!!」ゾロ「てめェ、汚ねェぞ!!」サンジ「これが海軍のするやり方かよ!!」ネズミ大佐の卑怯なやり方にゾロとサンジは怒りをあらわにして、強く睨んだ。ネズミ大佐「フン・・・私は手段を選ばない性格なんでね・・・おまけに手癖も悪いんだよ!」すぐ横に倒れた敵の懐から密かに取り出したのか、ネズミ大佐は海楼石を手玉にした。ロビン「あなた、それいつの間に!!」ネズミ大佐「あんたの能力に邪魔されないように、持っているのさ!・・・これさえあれば、いくらあんたでも流石に攻撃は出来まい!」ネズミ大佐は、ロビンに視線を向けて言った。ロビン「くっ!」ネズミ大佐「ずいぶん仲間も増えたようだが・・・これがおまえ達の最期だってことをよく理解しておくんだな・・・チチチチチ!」花穂「きゃっ!!」ケタケタと笑いながら、花穂を押し倒した後すぐに後方にジャンプし、隣の軍艦に乗り移った。そして、ゴーイング・メリー号を後に突き進んで行った。ルフィ「・・・」ウソップ「おいおい・・・おれ達の方は最期だって言ってたぞ〜(涙)」半泣き状態のウソップが体をガクガク振るわせた。ゾロ「気にするな・・・脅し文句だ!」鈴凛「それより・・・千影ちゃんが罪人に・・・」白雪「何とかしてですの!」2人は哀しい瞳でお願いした。ナミ「何とかしてと言われても、現にネズミ大佐が証拠のデジカメを持って言ったから、どうしようもないのよね・・・」四葉「四葉も写真を撮りましたけど・・・」花穂「どうしよう〜、花穂のせいだよ〜・・・あの時、花穂が転んだから・・・(涙)」花穂は嘆きながら自分を責めた。春歌「花穂ちゃんは、決して悪くはありません・・・この状況で、自分をお責めになってはいけませんわ!」春歌は花穂にやさしくたしなめた。雛子「ねえ・・・千影ちゃん、ほんとうに捕まっちゃうの?・・・ねえ・・・」雛子も必死でナミの袖を引っ張った。ナミ「それは・・・」妹達の哀しげな口調で問われた事実にナミは答えられず、ただ躊躇い続けた。咲耶「いやよ!・・・そんなの・・・妹誰1人欠けてしまうなんて、私はいや〜!!」咲耶は涙を滲ませながら、悲嘆した。千影「心配しなくても大丈夫だよ・・・・・みんなが無事ならそれでいい・・・・・」その時、千影はごく平然な様子であった。しかし、内心では悽愴だった・・・雛子「でも・・・千影ちゃんはずっとおにいたまに会えないままになるんでしょう・・・」雛子は悲しい声で言った。それが、全員に響くかのような切ない声だった。千影「平気・・・・・」ナミ「平気って、あなた・・・」千影の一言にナミは戸惑った。千影「例え監獄の中でも・・・・・兄くんの愛は永遠に・・・・・不滅さ・・・・・」そう言って、千影はゆっくりと船室に入った。ルフィ「何だ、あいつ別に何とも思ってないじゃねェか」ウソップ「バカ、ワザと平気な顔をしているだけだ!」そして、船室の着替え場で・・・ネズミ大佐からの犯罪を宣告された彼女は、両膝ついて、小さく嗚咽した。千影「くすん、くすん・・・・・兄くん・・・・・もう会えなくなるの・・・・・」誰もいない密室、1人で涙に濡れる少女は、監獄に閉じこめられると思う恐怖と兄に二度と会えなくなる哀しみで悲痛を味わっていた。千影の事が心配になり、花穂や春歌、四葉もやって来た。四葉「千影ちゃんが、涙を出してマス!」春歌「千影ちゃんがお泣きになるなんて珍しいことですわ・・・よほどの辛い心境になっておられるのですね・・・」彼女の後ろめたさを、感じさせるその姿は、すこし哀しいものがあった。花穂「ごめんね・・・花穂の、花穂のせいで・・・千影ちゃんが犯罪者になって・・・」感情が破れた花穂は涙を滲ませて、千影の胸に抱き付いて泣き詫びた。逃げる時にドジ踏んで転んでしまい、敵に狙われそうになったところを助けるために、千影がやっつけてくれたのだ。しかし、ネズミ大佐から殺人罪に問われてしまい、一大事となった。ささいな事から最悪な事態につながってしまった事実に花穂は自分を責めていたのだ。千影「・・・・・本当に無事で良かった・・・・・」花穂の背中をなでてつぶやく彼女は、悲愴を隠せない気持ちでもあった。花穂「花穂が・・・千影ちゃんの身代わりになれたら・・・」千影「花穂ちゃん・・・・・」千影が海軍に捕らわれて居なくなることと、彼女を報いる力になれないことに泣き尽くす花穂、それを聞いて彼女は何とか無罪を主張したいと思う決意も少しは出てきた・・・デッキテラスの船縁では・・・ルフィ、ウソップ、サンジの3人が、千影の事で話をしていた。ゾロは、後甲板で筋トレ中である。サンジ「千影ちゃんを無罪にさせるには、一体どうすればいいんだ!」ウソップ「そんな事聞かれてもよ〜・・・おれ法律しらねェし・・・」ルフィ「そしたら、おれ達の仲間になればいいじゃんか・・・同じ海賊として・・・」2人の悩みに、ルフィは目を輝かせて千影を仲間に勧誘しようとする。サンジ「バカ、千影ちゃんには兄がいるんだ!・・・どうしても会わせてあげなきゃ、いけねェだろうが・・・」ルフィ「だって、あいつ魔術使えるじゃねェか!・・・頭も良さそうだし・・・」サンジ「確かにそうだな・・・おれ達と比較にならねェくらいにな・・・」ウソップ「どのポジションに入れるんだ?」ルフィ「そうだな・・・魔術出せるから魔法使いで・・・」ウソップ「おいおい・・・海賊に魔法使いなんて・・・何か違和感を覚えねェか?」ルフィ「あと、可憐が音楽家で、鈴凛が発明家で、白雪がコックで・・・」サンジ&ウソップ「そんな事はどうだっていいんだよ!!」2人は仲間勧誘の事でややこしく言うルフィに、ツッコミ声を上げた。サンジ「とにかく、何とか助けてあげねェと・・・」サンジは焦る気持ちでつぶやいた。船室の部屋の中・・・咲耶達が気を失った鞠絵をベッドの上にゆっくりと眠らせた。咲耶「あと少しで到着出来る好機な時に限って・・・急な事件が起きるなんて・・・厄日なのかしら・・・」鞠絵の気絶している顔を見て、ため息をついた。鈴凛「鞠絵ちゃんの容態は、どう?」鈴凛は尋ねた。チョッパー「大丈夫だ!・・・もう少しで目が覚める」そして、鞠絵は目を覚ました。鞠絵「わたくし、いつの間にベッドの中で・・・」咲耶「あなたは、さっきまで気を失っていたの・・・」鞠絵「そうですか・・・すみません・・・」一様に呆れながら息を切らす咲耶に、迷惑ばかりにと鞠絵はおどおどした。咲耶「それより聞いて・・・実は千影ちゃんがね・・・・・」鞠絵の近くに来た理由を元に咲耶は彼女に本論を全て打ち明ける。鞠絵「まあ・・・そうだったのですか・・・千影ちゃんが犯した行為ですと、花穂ちゃんを守るために、急迫不正の侵害者を排撃したことになりますから正当防衛な可能性が高いようです・・・」千影の件で一部始終と聞いた鞠絵はおっとりと困った感じで言った。咲耶「正当防衛なら大丈夫だよね・・・」咲耶は少し安心する様子で尋ねる。鞠絵「ええ・・・」戸惑いながら答えた。鈴凛「だけど、ネズミ大佐が加害状況の写真を撮って行ったよ・・・」鞠絵「ネズミ大佐ですか?」咲耶「海軍支部の大佐よ、撮った写真を利用して、本部に送達するつもりなの・・・」鞠絵「これは困りましたね・・・でも、こう言った法的トラブルは先にアリバイや証拠を揃えることが得策ですわ・・・わたくしは途中で気絶していたから、その時の事件は詳しくわかりませんが・・・何か明確な証拠でもあれば・・・」チョッパー「ロビンに聞いてみるか?」チョッパーは言った。鈴凛「うん・・・その方が確実だよね・・・」鈴凛も納得した。麦わら海賊団の賢明な相談役、ロビンなら解決してくれるだろうとより確実性を求めるため、彼女の所へ駆け付ける。咲耶「鞠絵ちゃんは・・・何とか千影ちゃんを慰めてあげて・・・」鞠絵「ええ・・・」優しげな瞳の鞠絵は、心配そうな表情で千影のいる更衣室へ駆け付けた。四葉「あ、鞠絵ちゃん・・・」春歌「お目覚めになられたのですね?」鞠絵「はい・・・千影ちゃんの様子は?」春歌「やはり、泣いておりますわ・・・自分の罪悪感の事でかなりの辛辣なご様子です・・・」春歌の言葉に、鞠絵が膝をついて絶望している千影をそっと慰める。鞠絵「泣かないで、千影ちゃん・・・わたくしが何とか無罪を証明させますから・・・」千影「ありがとう・・・・でも・・・・・いくら鞠絵ちゃんでも今回は難しい・・・・・私の殺めた事件をネズミ大佐が不当利得にカメラで撮影して行った・・・・・彼らが私に罪を陥れている・・・・・私はただ・・・・・花穂ちゃんを助けただけなのに・・・・・」珍しく悔し涙で打ち明ける千影の事実を訊いて、鞠絵は少し寂寥を帯びる。鞠絵「大丈夫です・・・わたくしも御協力して・・・千影ちゃんの正当性を擁護させます」春歌「ワタクシも御協力致します」花穂「花穂も一生懸命、千影ちゃんを助けるからね・・・今度は花穂が千影ちゃんに恩返しをするの!」千影「花穂ちゃん・・・・・」花穂の健気な気持ちが、千影の心に響いた様子だ。四葉「四葉も協力するデスよ・・・実は四葉も写真を撮りましたからね・・・」鞠絵「え、そうですか?・・・それは、助かります」鞠絵は少し顔をほころばした。春歌「何とか証拠が1つ、お見つかりになりましたわね」鞠絵「ですから、心配しないで一緒に頑張りましょう」千影「ありがとう・・・・・みんな・・・・・・私はもう・・・・・平気だよ・・・・・」精悍な顔で4人が励ます言葉に、涙ぐんだ千影が少しばかり元気を取り戻した。その時、咲耶と鈴凛とチョッパー3人は、千影を助けようと、主甲板で進路を録っているロビンとナミに訊問した。咲耶「あの、先程の千影ちゃんの件ですが・・・」ナミ「ネズミ大佐が彼女を殺害犯として唆した件?」咲耶「はい・・・襲撃される花穂ちゃんの生命に危険があったため、千影ちゃんが悪党をやっつけた・・・これは小さなものを守り、救うことで法秩序の維持に貢献すると言う重要性に関連しますから、私達が主張すれば、千影ちゃんは助かりますよね」ナミ「正当防衛ってことね・・・それだったら罪に問われないから大丈夫だけど・・・」咲耶「本当ですか・・・良かった・・・」咲耶はホッとする・・・チョッパー「ロビンも、そう思うよな?」ロビン「う〜ん・・・正当防衛と言っても、深い意味合いがあるわ・・・彼女はお嬢ちゃんを助けるために、死傷させてしまった・・・それが、本人にとっての『正当化』と言う概念に固執しているようだが・・・いくら相手が悪党でも、あなた達一般市民が害させると、殺人罪としか見なされない法秩序だってあるわよ」鈴凛「でも、あの状況じゃあ、仕方がないよお・・・もし、助けなかったら花穂ちゃんは本当に殺されていたんだよお〜・・・それために千影ちゃんは『やむを得ず』に攻撃をしたの・・・」ロビン「あなた達の国の法律なら、その行為は成立するでしょう・・・しかし海軍の連中は、そうとは限らない・・・それに、確実な状況で『やむを得ずにした』であれば、刑の免除は可能であるが、本人が犯した過度や責任能力によっては認められない例もあるわ・・・防衛の程度を超えた行為だと『過剰防衛』にもなりかねないから・・・」鈴凛「過剰防衛・・・」それを聞いた鈴凛は思わず息を呑んだ。ロビン「『過剰防衛』は、一般的に刑が免れない・・・ましては、相手があの海軍大佐だと、いかなる理由も聞かずに過失致死罪にしか見なされないでしょうね・・・」ナミ「あの意地汚いネズミ大佐なら、言いかねないわ!」ナミは下唇を噛みながら言った。咲耶「そんなことってあるの・・・」ロビンの議論を聞いて、咲耶は脱力した。ロビン「厳格に言うと・・・正当防衛でも特例な事情でない限り人を死傷させるのは許されない行為・・・時と場合によっては、厳しく処罰されるわ」咲耶「そうですか・・・千影ちゃんが可愛そう・・・悪いのは相手だのに・・・」彼女と討論した咲耶は、次第に気落ちしていく。ロビンならより正確にわかってくれるだろうと尋問したが、無意味だったことにショックを隠しきれない気持ちだった。ナミ「ねえ・・・何とか助けてあげようよ・・・ロビン!」落ち込んでいる咲耶を見て、ナミは居た溜まりもなかった。ロビン「そうね・・・まずは、証拠から根本的に見つけ出すこと・・・それ以外に対策はないわ」咲耶「(やはり、この人も鞠絵ちゃんと同じ事を言っているわ・・・)」ナミ「でも、倒されたのは『ダークプロジェクト』の社員だったよね?」ロビン「ええ・・・襲ってきた敵は、全員そうだった・・・」ナミ「すると・・・ジャドーの命令によって出動された人達なのよね!」ロビン「端的に言えば、そうなるわ!」ナミ「やはりか・・・」島に存在しているジャドーを、遠くで睨んだ。彼の悪辣な指令のおかげで、自分たちの仲間が襲われ、あげくの果ては千影が罪人になったことで苛立ちを隠しきれなかった。咲耶「早速、鞠絵ちゃん達にも報告しなきゃあ・・・」ナミ達の事実を聞いた咲耶は彼女のいる船室に向かう。ロビン「もし、ジャドーが七武海として就任されたら、その時点で前言の説明が全て通用しなくなるわ!・・・一刻も早く解決することね・・・」咲耶「はい・・・」咲耶は元気なく返事をした。そこで、千影達がやって来た・・・咲耶「あ、千影ちゃん・・・今ね!・・・千影ちゃんの事で、話し合っていたとこなの」千影「さっきの事は心配ないよ・・・・・鞠絵ちゃん達が励ましてくれたから・・・・・私は頑張るよ・・・・・咲耶ちゃん!」力強く両手を握って、言った。咲耶「そうよね」ナミ「そうよ、その意気よ、みんな!!・・・頑張りましょう!!」ナミは力強い声で、みんなを盛り上げた。咲耶「ええ・・・ありがとう、ナミさん!」そして咲耶は、先程の議論を鞠絵達に説明した・・・ナミ「そろそろ・・・島にたどり着くところよ!!」ナミは、オルゴールを聴きながら声を上げた。妹全員「うん!!(汗)」緊迫する妹達は、強敵と会ってしまいそうなことに恐怖心が浮かぶ。ロビン「言い忘れたけど『ダークプロジェクト』には・・・副社長や幹部達が何名かいるわ!」ゾロ「幹部達だと!?」サンジ「何人いるんだ?・・・ロビンちゃん」ロビン「わからない・・・でも・・・その人達もかなりの強敵、ジャドーの幹部として選ばれた人材だから油断は出来ない!・・・少なくともバロックワークスの『オフィサーエージェント』よりは十分に強いわ!」ウソップ「お、おい!!・・・おれ達が何回闘っても勝てねェじゃねェかよ〜〜!!(泣)」衛「えええ〜〜!!・・・ウソップさんでも歯が立たない程の強敵なの?」鈴凛「どうしよう〜!!」四葉「兄チャマが、救えなくなるデス〜!」3人はウソップがまだ『キャプテン』だってことを信じていたのだった・・・ウソップ「ち、違うぞ〜〜・・・おまえ達に度胸を与えるための・・・ほ、ほんの小手調べだ・・・な、な〜にあんな奴ら・・・おれ様にしたら、問題はない・・・(ガクガク)」ルフィ「出てこ〜〜〜〜〜い!!! ジャドー!!!」ウソップ「バ、バカ!!・・・本当に出てきたらどうするんだよ〜〜!!(恐)」チョッパー「そうだよ・・・おれ達は殺されるんだぞ〜〜、ルフィ!!(泣)」ルフィのいきなりの張り声に、ウソップとチョッパーは足をガクガクさせながらびびりまくった。ルフィ「心配するな・・・その時はおれがまとめてぶっ飛ばす!!」ナミ「ホントに・・・恐い物知らずと言うか・・・身の程知らずとも言うか・・・」先走りのルフィに、ナミは呆れて口も出せないくらいだ。一方、町はずれの沿岸では・・・トシコ「来たわよ・・・麦わら一味が!!」防波堤でニヤッとするトシコが、ゴーイング・メリー号の帆影を捉えた。ジャドー「仲間が何人いるか・・・確認しろ!!」トシコ「かしこまりました・・・」瞑想するトシコは能力〈ナゾナゾの実〉を使って人数確認をする。トシコ「麦わら一味が7人、少女が12人、犬が一匹の計20人です。」ジャドー「フン、好都合だ!・・・探す手間がはぶけたってわけだ!!」ゴーイング・メリー号が、ゆっくりと島にたどり着くその時だった。ナミ「あれ、オルゴールが急に止まった!」花穂「えっ、急に?」ぜんまいは巻かれてある。しかし、流れているメロディーがラジオの電源を切るような感じで聞こえなくなった・・・ナミ「それに、空も薄暗くなってきた・・・普通じゃないわ・・・何か怪しい!」主甲板で空の異変を感じて、怪訝した。千影「どうして・・・・・」ロビン「まさか!・・・ジャドーがすぐそばに・・・」嫌な予感で、ジャドーが近くにいることを予想する。ジャドー「ヒヒヒ・・・ここまでだ、麦わら一味!! “ホールディメンジョン”!!!」彼らの気づかない場所に、アナアナの能力で現実をひるがえすような技を沿岸の前方に仕掛けた。ボワ〜〜〜〜ン!!ウソップ「お、おい・・・前方に妙な穴が出現したぞ〜!」ゾロ「おそらく、夜中に現れた怪しげな歪みだ!・・・やはり、ジャドーの仕業だったのか!!」チョッパー「そうなのか!」ゾロが怒りを隠すと、チョッパーは中央デッキで恐々と答えた。そして島を隠す程の大型の異次元の穴が、ゴーイング・メリー号を突如襲う!ナミ「何!?・・・船が急に吸い込んでいくわ!」ロビン「ジャドーが、技を発動させたんだわ!」ルフィ「畜生、ジャドーめ!!」サンジ「うわッ!・・・何て吸引力だ!!」ナミ「みんな、危ない!!」妹11人「きゃあああ!!」必死で押さえて体を堪えているナミ、そして強い吸引力の恐ろしさに妹達は悲鳴を上げる。ルフィ「きたねェぞ〜〜・・・ジャドー!!!・・・出てきて勝負しろ〜〜〜!!!」大型の穴に向かって、ルフィは、喚声を上げた。いくら喚いても、容赦なく吸い込むこの歪みには、通用しなかった。ヒュゥウウウウウウ!!!恍惚とした丸い歪みが悲鳴を上げているゴーイング・メリー号を吸引させた! その後、その穴はゆっくり縮小して消えていった。そして、防波堤では・・・ジャドー「これで奴らは・・・“ジ・エンド”だ!・・・ヒヒヒヒヒ!!」広い海に響く位の声でせせら笑った。続く
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