☀ひだまりスケッチハニカム☀

ヒロと紗英の卒業旅行編

 

第2章

 

筆者 かがみん萌え

 


 

「「”旅行2日目の朝〜〜”」」・・・UMEより

 ”コケコッコー・・・!!”とニワトリの鳴く温泉旅館でゆのがふと目をさました・・・体を伸ばした後、外を眺めるとそこには小さなにわとり小屋が見えた。

「にわとりさん、おはよう・・・朝ご飯おいしいかな・・・」

無邪気な笑顔で会釈していた。しかし鳥達は気にもせず一生懸命に餌を食べている。人間と動物の空間というものは、やはり大きいものか・・・彼女の会話はどうやら届いていないようだ。

「あっ・・・わたしも朝ご飯だね・・・洗面していかないとね」

 

  ここは食卓室・・・レストランというより食堂みたいな感じだった。

  観光客達は、すでに朝食を済ませて1杯のコーヒーを飲んでいる人もいれば、今から食べる人もいた。メニューは一律に決められている。ダイニングテーブルには人数分の食事が準備されていた。

只今、ゆのと宮子と紗英の3人が朝食を進めている。

「温玉にご飯と醤油と納豆と散らし海苔を混ぜれば、脅威の玉子丼が出来上がるのだ〜」

「ちょっと・・・怪しい色になっているわよ」

「おいしいのかな・・・」

宮子は色んな物をトッピングした半熟卵とご飯をかき混ぜている・・・品のない食べ方に2人が半ば呆れていた・・・

 

そこで、別の宿泊室から後輩の2人が食卓室にやって来た。

「おはよう・・・ござい・・・ます・・・」

「先輩達、おはようございます・・・わあ〜、美味しそう・・・いただきま〜〜す(ルンルン)」

その時、乃莉が浮かない顔でダイニングテーブルに着く・・・それと対称になずなが元気よく朝ご飯を頂く。

「乃莉、どうしたの・・・目充血しているわよ・・・眠れなかったの?」

紗英が尋ねると疲れた表情でため息を吐く・・・

「はい・・・夜中からなずなのいびきと寝相の悪さになかなか眠れなかったんです・・・」

「ひえっ!・・・そんな・・・ひどいよ〜〜(涙)」

答えられた途端、いきなり落ち込む・・・女の子らしさを失う感じで涙が滲む。

「大丈夫だよ・・・なずなちゃんの寝顔はとても可愛いよ」

「うん・・・ありがとうございます」

それを、ゆのが上手く慰めてあげると笑顔で頷く。再びご機嫌を取り戻したようだ・・・

「あっ・・・そう言えば、もう1人いないですね・・・先に済ませたのかな?」

今度はあどけない表情で今いるメンバー達に気づく。よく見ると5人しか来ていなかった・・・

 「ヒロはまだ寝ていたね・・・そろそろ起きていればいいけど・・・」

 

その時・・・出入り口前に不穏な声が聞こえた・・・

「み・ん・な〜〜・・・もう・出ちゃったの〜〜・・・私1人置いて行くなんてひどいわ〜〜・・・シクシク」

少女のような泣き声がメンバー達に届いた・・・慌てて駆けつけると厨房出入り口前の通路側にヒロがパジャマ姿で1人泣きをしていた。髪型の寝癖もまだ残っており、寝ぼけも覚めていないご様子だ。何かしらいじらしい迷子のお子様のような感じでへこたれておられる。

 「ヒロさん・・・大丈夫ですか?」

その様子にゆのが呆然とする。

 「もう・・・18にもなって恥ずかしいわよ・・・まだ朝食時間だから、はよ食べなよ」

「だ〜〜ってえ〜〜・・・だれも起こしてくれないんだもの〜〜!」

「起こしても起きなかったんでしょうが・・・もう、吉野屋先生みたいだね・・・」

「はい・・・どうぞ」

呆れ顔の紗英が彼女をゆっくりと食卓前に座らせてあげた。そしてゆのが笑顔で朝食を準備させてあげた。それを見ている残りの4人のメンバーと彼女達の行動に気づいている観光客もまた唖然としていた。

 

  明朝8時・・・温泉旅行から出発した観光バスは、日光の国立公園から出て別のルートで南下する・・・高速道路に入って茨城県内へと直進していく。

 「さっきから気になっていたんだけど・・・乃莉、これから向かう住宅って何処なの?」

「ん?・・・・これね・・・え〜っと・・・あっちですよ・・・」

「あっちって・・・どっちなの?・・・茨城方面なの?」

「そう・・・茨城方面なのです(スヤスヤ)」

「茨城といえば・・・水戸ですよね」

  乃莉はあやふやに指差すと、質問した紗英が困惑する。どうも睡眠不足だったためか、今朝までの疲労ピークが今でも継続しているらしい・・・後部座席で横たわっていく姿を、母性愛を秘めるような感じでなずなが優しく膝枕で添い寝させてあげている。

 

  そこでバスガイドが次の目的地について解釈する。

 「このバスは、アクアプレスタウンへ向かっていきます・・・目的地の『円筒の架け街』までの到着時間は、出発してからおおよそ2時間後です」

「そうか・・・給水塔が見えるための街だね・・・円筒だもの・・・沿線住民達にとっての有名な場所だったね」

  アクアプレスタウンと言えばあの『円筒の架け街』とも呼ばれる1つのシンボルタウンだった。それを聞いて紗英が納得する。

 

  目的地のアクアプレスタウンに到着した。

向かうそこには、市営住宅街だった。4階建ての古式な集合住宅に1基の給水塔が高々と見える。

 「おお〜・・・我ながらに神秘的じゃん」

「何か懐かしいわね・・・私達の生まれる前に建てられた住宅のようね」

「築年数が半世紀ぐらい経過していないかな?」

 初めて訪れる場所に宮子が珍しそうに見つめる・・・何を思って感激しているのか?・・・ヒロとなずなは時代錯誤の流れに沿ったような感じでしんみりと味わう。

「この都会にこんな長閑で静かな住宅街は数少ないと思います・・・他の地域と違って住民達も温厚で被害もないと聞きました・・・昔ながらの平和な街でもあります・・・団地に住んでいる人に水を供給する役割として給水塔が立っています・・・そのために、管轄する区役所からは『円筒の架け街』と呼ばれていたのです」

観光客の前でバスガイドが思い切って説明する。今までさっぱりしなかった彼女だが、ここの場合にとっては結構シビアだった。

「本当に・・・今となって給水塔なんて少ないわよ・・・経済不安定な先進国ならどうかわからないけどね」

「昔の団地だから・・・住んでいる人達って何か不便じゃないかな?」

「好きで住んでいる方々もいらっしゃるでしょうし・・・経済的に思わしくない方々もいらっしゃるでしょう・・・住めば都というからね」

確か・・・旅行のしおりでは、この目的地の一部に提案者にバスガイドの名称が記されていた。彼女は幼い頃に住んでいたのだろうか?・・・となると、家計に苦しんでおられたのだろうか?・・・そのためにこの仕事を選んだのだろうか?・・・それを密かに気づいた紗英がゆのに述懐した。

「これより、皆さんの自由行動とします!・・・指定時間が近づいたらまた合図します!・・・尚、昼食は各自で取ってくださいね」

駐車場でバスガイドが号令をかけると観光客達が喜び笑顔で了解する・・・夕方までの自由時間だ。今日は天気も良く、観光客達にとって絶好の見学日和だ。

「ようし・・・ここで課題の絵を描くのだ!」

「宮ちゃん・・・ハイテンションだね」

「それじゃあ、みんなで・・・あの給水塔を描きましょうよ」

「じゃあ・・・わたしも描こうかな」

「え?・・・なずなも描くの?」

「うん・・・わたし、先輩達の話題についていけるように・・・今期から美術部に入部しようと思っているの」

「へえ〜・・・なずなちゃん・・・真面目だね」

「はい・・・ゆのさん達にも見せられるくらいに上手く描きますね」

4人は団地の公園真下から見上げた給水塔を描き始める。マウントから見上げた円筒形の造形はこの団地の1つのシンボルとなっているのだろうか。

「じゃあ・・・私と紗英は別行動で見学していくね」

「卒業記念として何か思い出残すようにね」

「はい・・・行ってらっしゃい」

ここで、ヒロと紗英の2人は分かれていく。

そこで、公園のベンチで休憩しているバスガイドと視線を合わせた。

「あなた達・・・学生さんですよね・・・」

「はいそうです」

「顔が若いからそう思った・・・何処の学校?」

「私立やまぶき高校です・・・私とヒロは今年卒業するから、その思い出としての旅行をしているんです」

「あら・・・やまぶき高校出身?・・・私のいとこの娘も今年やまぶき高校を受験するそうですよ」

「え?・・・そうなんですか?」

「うふふ・・・その子がもし合格したら、あなた達の後輩になっていたのにね」

「大学への進学があることですし・・・仕方がないことですよ」

「実は、この目的地を提案したのは、私なんですよ・・・旅行代理店にお願いしたら了解されましてね」

「確かに、旅のしおりにガイドさんの名前が記されていましたね」

「あらそうなの?・・・紗英・・・私のしおりには記されていなかったわよ」

「きっと、乃莉が書き忘れていたんでしょう」

「私ね・・・過去にこの市営住宅に住んでいたの・・・就職が決まってから引っ越したんだけど・・・まだ給水塔の会員メンバーとしては残っていますから」

「地元の交友会ですか?」

「ええ・・・昔はね・・・給水塔で全ての団地に水を供給していたから子供達にとっては評判が高かったの」

「最上階に水を蓄える建物にしては斬新ですからね」

「今は高層住宅に受水槽と高架水槽での給水システムが前提だから・・・この給水塔が残っていることを今の子供達と若い観光客達にも広めていきたいな・・・と思ってここの場所を提案したんです」

「うん・・・成る程ね」

昔の集合住宅について公園を見渡す円筒形の建物は遊ぶ子供達を見守っているお母さんのような感じだったんだね・・・強制配水式の受水槽だとその意味がなくなっちゃうから・・・給水塔を見上げる紗英はそう思った。

「でも、この団地・・・まもなく取り壊されていくことになっていくの・・・区役所から建て替えの立案が成立されてね・・・」

「そうなんですか」

「『円筒の架け街』と呼ばれる象徴がもうじき無くなると・・・何だか名残惜しくて・・・」

表情を曇らせていくように憂いを帯びるバスガイド・・・しかし、時代の流れは逆らえない・・・万物は永遠でない・・・当たり前のことだ。物質の耐久性には限界がある。勿論、建物だって同じことだ。風雨や気象環境によってさらされていく・・・人間達が使用していく・・・これらの影響で装飾の老朽化が進行していく現実はやはり避けられないものだろう。

 「その歴史として残したいためにも、みんな描いているんだね」

そんな彼女の気持ちを受け入れるものの紗英がクールな表情で4人を見渡した。ゆのと宮子と乃莉が真剣に課題を進めているのが見えている。勿論、なずなまでもがあの『給水塔』を一生懸命に描いている。

 「もしかして・・・乃莉もこの給水塔のこと、初めは知らなかったんじゃないかな・・・」

バスガイドの語りによってしばし心を奪われている彼女だが、後輩の記しているしおりの一説を見てふと気付いた。唯一の情報提供者もあの年代物については疎いようだったのか・・・そもそも、その当時はパソコンやインターネットの情報メディアなんて普及されていない時代であり、乃莉もまだ生まれていなかった時代だからだろう。

 

 「よ〜〜し・・・できたのだ〜〜〜!!」

その時、公園では宮子が下絵を手っ取り早く完成させた。

 「ええ〜!・・・宮ちゃん早い!・・・わたしなんてまだ半分しか描けていないよ〜・・・」

 「わたしもまだ半分です〜・・・」

  ゆのとなずなは、下絵が上手く進んでいないらしい・・・見た目は単純そうな円筒の建物だが、リアルに描くとけっこう大変な作業のようだった。

 「うん・・・あたしはもう少しかな」

2人より下絵が進んでいる乃莉は順調のようだが、より早く仕上げる宮子ほどにはいかなかった。

 「次は着色だね」

宮子はベリマートで購入した画材をイーゼルの下に次々と並べる。

 「早速使う時がきたのだ・・・油絵の具、ペインティングオイル、顔料インク、ローラー、油入れなどなど・・・」

 「宮ちゃん・・・これって?」

こんな沢山の道具を一体どこに収納していたのか?・・・それが不思議な位に山積みになっていた。ゆのは唯一のトレードマーク・・・バッテンの髪飾りがハテナのマークに変わった。

 「まず、絵の具にオイルを浸した状態で下絵を塗色する・・・そして、顔料インクで影絵を上塗りさせていく」

「どうして顔料インクとローラーなの・・・?」

  これが彼女にとっての芸術というものなのか・・・食べ物に色んな物をトッピングするような感じで油絵の具をパレッドに混色する・・・そして、画用紙程度の大きさのある木枠型のキャンバスにローラーで重ね塗りを繰り返す。これはデッサンでも何者でもない・・・ただの落書きのようなもの。彼女のデタラメな塗り方を見て、なずなも少し自身を持ち出した。

 「あたしもそろそろ着色しましょうかね・・・誰かさんと違って具象的に」

全く・・・芸術を何だと思っているのか・・・絵の常識というものを無視した先輩のやり方に憤りを感じる乃莉が普通の油絵の具で丁寧に取りかかる。

 

しばらくしてから、ゆのとなずなが下絵をようやく完成させる。

 「じゃあ、わたし達も塗ろうか」

 「はい、そうしましょう・・・」

  ゆのは、いつも使用しているアクリル製の絵の具を取り出し、なずなは新しく購入した水彩絵の具を準備した。

 「何か・・・先輩達の絵の具って、オイルとかナイフとか特殊なものを使用するんですね・・・」

 「学校の教材のほうが慣れているから」

「わ・・・わたしなんて、中学校で習ってきた普通の画材しか持ってこられなかったけど・・・」

キャンバスと油絵の具に対してスケッチブックに水彩絵の具・・・自分のものと見比べて本格的な絵画という芸術レベルを実感する。同期の乃莉も油彩式の絵の具で真剣に作業に取りかかっている。かの有名な画家達も今のように観察しては、キャンバスで何度も筆を入れて完成していたのだろう・・・同じ学校でも美術科という専門学科はここが違っていたのか・・・課題とは関係が無くても、なずなは何かと恥ずかしい感じで心境が小さくなり始める。

そこで、紗英がやって来た。

「なずなの水彩でも、十分リアルに描けるよ」

「え?・・・リアルに・・・ですか?」

下絵を完成させたスケッチブックに着色の上手な塗り方を手取り足取り教える。

「まずは・・・実物の色を何度も見つめて、それに近い色を合わせてみて」

「あ・・はい」

 自分の筆を照らし合わせながら背景を食い入るように見つめる・・・これで彼女にとってのデッサンが上手く仕上がるのだろうか・・・しかし、余りにも集中し過ぎて流石に目も疲れてきた。

「初めは単色でラフを塗りつぶしていく」

「こんな感じでいいかな?」

紗英の言うとおりに混色した絵の具で丁寧に塗っていく。

「その後に影絵を上塗りするといい・・・影絵はグラデーションに形作ったほうがより綺麗に仕上げられるよ・・・注意することは、下絵を乾燥させてから影絵を塗ること・・・水彩だから湿ったままだと途中で混色しちゃうからね」

「はい、頑張って見ます!」

「まあ・・・簡単に説明するとこんなものかな」

「いいえ・・・とてもわかりやすいです・・・どうも、ありがとうございます」

美術科上級生のアドバイスを聞いたおかげで色彩が上手くなってきている。微笑むなずなが紗英に軽くお礼を言った。

 

 その頃、宮子はキャンバスに上塗りを終えて最終作業にかかる・・・

 「最後にペンチングナイフで影絵を仕上げていくと・・・出来た!!・・・完成なのだ〜〜!!」

 「もう仕上げたの?・・・」

「まあね・・見たまえ・・・あたしの絵を!」

まじまじと絵の作業に集中しているゆのが彼女を見上げると・・・

「すごい!!・・・宮ちゃん、流石だね」

「えっ!・・・何で・・・信じられない!」

  思いの寄らない完成品を見て、ゆのが絶賛し、乃莉が唖然とする。

 「ふふん・・・給水塔の情景描写こそが芸術にとっての真髄というものですな」

マニアックに受けるかのように宮子が答えた。最初の抽象的な描写が今は見違えるように綺麗に仕上がった。そのキャンパスを食い入るように見つめるメンバー達がどよめいている。

「ど・・・どうして、こんな上手く仕上がっていくんですか?」

「絵の隠し技を教えませんよ〜〜」

乃莉が疑問を投げかけると、宮子は舌を出しながらシラを切った。着色前までの台詞が嘘のように思う彼女は、自分の描いた背景画と比較しても向こうの方がどうも上手く仕上がっている。学年先輩とはいえ、悔しいながら恥ずかしい気持ちだった。

この時、なずなが彼女の絵をこっそり見て感動する。

「乃莉ちゃんだって上手く仕上がっていけそうじゃない」

「まあね・・・な、なずなも結構上手くいっているじゃん」

「ホントに・・・まだまだ途中だけど、ありがとう」

2人は友情を深めながら、お互いに絵を見せ合った。

「あら、なずなさん・・・初めてにして上出来じゃない?」

「はい・・・頑張って完成しますね」

 後から来たヒロも肩をくすめた。

 

 4人が背景画の作業を進めている途中、丁度お昼時間になった。

「う〜・・・絵を完成させると、何かお腹すいた」

腹の虫を鳴かせている宮子がすでにフラフラ状態になっていた。

「あら・・・空腹の警報が鳴り初めているわね」

「宮子の腹時計は正確らしいからね」

その様子を見て、微笑むヒロと紗英・・・お昼12時になると唐栗時計から鳩が飛び出して合図するような感じで宮子の腹時計もぴったりと鳴らせている。

「ううっ〜!・・・こんな時に限って食材忘れてきちゃった・・・」

ハイキング用のリュックサックから食べ物になるものを探ってみたが何も見当たらないらしい・・・

 「近くのコンビニ屋さんで何か買ったら?」

ヒロが言う。

「お金も無いし何も買えないよ〜」

腹ぺこ及び金欠症状に陥る宮子であった・・・

 

この時、一瞥する彼女が何かを見つける・・・

 

 「おお〜〜、まか不思議なキノコが・・・」

公園の裏の森林を見つめると、角形の赤いキノコが数本程度に分岐するような形状で生えていた。見境が無くなってしまった宮子は、それに手を出そうとする!

「宮ちゃん・・・それダメ〜〜!!」

ゆのが思い切り彼女を強制的に止めた。

「なんでだよ〜〜・・・」

すぐさま、乃莉がスマホで今生えているキノコについて恐る恐ると検索した。

「これって・・・かの悪名高い猛毒キノコ『カエンタケ』というものですよ!」

 その話を聞いた紗英がこの毒キノコについて解説する。

「そうよ!・・・このキノコはトリコテセンという猛毒成分!・・・少しでも食べると即命を落とす・・・それだけではなく、直接手で触れても毒なの」

 「腹が減っているのに〜〜!」

「今、わたしのお弁当、食べさせてあげるから」

  ゆのは旅館で購入した自分の弁当を空腹状態で我慢できない宮子に何とか食べさせてあげた。

「う〜〜ん・・・美味しい!」

すると、落ち着いた様子で我に返った。それを見てみんなが安堵の息を吐いた。

 「危なかったわね・・・ともかく、ここの管理人さんに報告しなきゃ・・・」

 「あたしは、バスガイドさんに伝えておくよ」

ヒロがこの公園の管理事務所へ駆けつけた。紗英は急いでバスガイドに報告した。

 

「まあ〜〜・・・大変!!」

「すぐに区役所に連絡しよう!」

「お願いします!」

地元出身のバスガイドや管理人も『カエンタケ』という猛毒キノコがあることに驚きを隠せなかった。どうやら、最近生えたキノコらしい・・・急遽、作業員達が生えているキノコ現場の手前にロープを張って『危険!立ち入り禁止!』の標識を立てた。

 

「あとは、我々で除去しますので、もう心配いりません」

「助かりました・・・見つけて報告したおかげで、ここの住民達が救われました・・・君達には誠に感謝します!」

「いいえ・・・これで良かったんです・・・皆さん、大変お疲れ様です」

区役所管轄の保健所職員達が6人に対して心からお礼をした。受け答えたゆのは自分の胸が高まった。

「猛毒ですから、直接手で触れないようにしてくださいね」

「了解です!」

紗英が念を押して伝えると職員達は留意する。

「うう〜・・・恐ろしかった・・・ゆのっち・・・止めてくれてありがとう」

「宮ちゃん・・・これから分からないものは絶対に採取しないでね」

この時、観光客も大騒ぎしている。猛毒キノコと判明して、宮子が今恐怖した。そして、今後の彼女の身を守るためにもゆのが軽く注意を促した。

 

 

・・・・・お願い・・・・・

 

カエンタケだけでなく、国内ではそれ例外の毒キノコも生えていると思われますので、見たことのない、自身のない、紛らわしい種には絶対に振れないようにしてくださいね・・・あと昔から言われているキノコの見分け方の迷信などには、惑わされないようにしましょう・・・読者の皆さんへのご理解、ご協力宜しくお願いします。

 

 

 

 

戻る     進む

 


このHPでのご意見・ご感想はこちらへ

nakamoto402@yahoo.co.jp

TITLE