☀ひだまりスケッチハニカム☀
ヒロと紗英の卒業旅行編
第3章
筆者 かがみん萌え
夕方になり、観光バスは霞ヶ浦沿岸へと向う。バスガイドが次の目的地について話を進める。
「え〜と・・・今から霞ヶ浦へ向かいます・・・皆さんはこの近辺の希望の丘の敷地内で1泊をします・・・希望の丘とは海の自然景観が訪れる人々を魅了する宿泊施設です」
「希望の丘って、複数の別荘が建ち並んでいるようですよ・・・学生達が課外研修としても利用しているみたい」
「じゃあ・・・わたし達にぴったりかもしれないね」
乃莉が手持ちのしおりを見て場所を確認すると、なずなは笑顔で答える。どうやら、子供から大人まで安心して楽しめる宿泊施設のようだ。
希望の丘に到着・・・海沿いでサンセットビーチも見られるため、夏場のレジャーにもぴったりのようだ。常連客がリゾート気分を満喫している姿を見ると結構人気のある施設のようだ。
「チェックインはすでに済ませてあります・・・皆さんはここでご自由に宿泊場所を決めて楽しんでくださいね・・・夕食の食材は施設管理事務所と施設内の売店で準備してあります・・・尚、集発前の翌朝の10時迄に管理事務所前に集合してください」
バスガイドの指示を終えるとバスは一端回送していく・・・観光客も和気会々と宿泊先を決めていく姿が見られる。
「ここから、自由に行動が出来るんだね」
「ようし・・・今から海で泳ぎにいくのだ〜〜!」
「ちょっと、宮ちゃん・・・こんな遅くから海に行ったら危ないよ!」
よりによってみんなのいる前で上着を脱いだ・・・そして、ビキニ姿になった宮子が現実逃避のようにビーチまで駆け付ける・・・それをゆのが呆れ顔で急遽止めにいく。
「まあ・・・あの2人はほっといて・・・この宿泊施設では今日1日間だけお借り出来るということです」
「わたし、この時がとても楽しみです」
「好きな場所が決められてお泊まりできるなんて・・・何か魅力的よね」
アットホームな施設に乃莉となずなとヒロが感動する。
「よし、あの別荘にしようか・・・庭付きテラスもあってバーベキューも楽しめるよ」
指差す紗英が宿泊場所を決めた。コテージのような木造建ての洒落たペンションだ。入口の立て札に『ウェーブ』という名称が描かれている。
そして中に入ると、これがまた意外と広い。乃莉がネットで検索した通りだ。部屋は洋室と和室があり、マイナスイオン式のルームエアコンも設置されている。勿論、トイレと浴室は個別に備えられており、浴槽とシャワールームはいずれも新装のような清潔感を見せる。そして、キッチン付のダイニングルームも広々としており、高級的なテーブルが中央に置かれてある。その隣の窓付ドアを開くとラウンジのような部屋があり、DVD付の液晶テレビにスピーカーがその両側に備えられているのが見える。映画のようなサウンド迫力も楽しめそうだ。
「どうやら、この別荘が一番高級そうね」
「う〜〜ん・・・新築木造のようないい香りが漂ってくるわね(にこ)」
「なずな・・・何か嬉しそうだね」
「うん・・・とても素敵・・・何だかリゾート気分が満喫できそう」
入口で紗英がクーラーを起動して室内の暖気を循環させる。その新鮮な空気を味わいながら心地よくするなすなとそれを見て少し苦笑する乃莉・・・2人はうきうきと部屋を決める。
「じゃあ・・・私は早速夕食の準備をしてくるわね」
「あたしも一緒にいくよ・・・ヒロ1人では不安だからね」
「もう!・・・紗英ったら・・・」
「それに、食材運びは1人では大変だからね」
「うふふ・・・気遣ってくれてありがとう」
ヒロは頼りになる紗英と一緒に管理事務所へ向かった。
それとすれ違いに、ゆのと宮子の2人が帰ってきた・・・
「はう〜・・・ようやく別荘に着いたよ・・・疲れた・・・」
「海ではしゃいだから、何かお腹すいた〜〜〜(ぐぅ〜)」
夕暮れの海水浴を存分楽しんだためか、玄関の入口でくたびれていた。
「もう〜・・・先輩達!・・・こんなに濡れるまで何処で遊んできたんですか!」
「宮ちゃんが勝手に泳ごうとするから、止めるつもりだったんだけど・・・結局わたしまで海に溺れてしまったの」
「ゆのっちを泳げるようにしてあげたかったから、その練習兼ねてね」
「わたしは別に泳ぐつもりなくて・・・」
「言い訳はいいですよ・・・!」
呆れ顔の乃莉が年上2人に叱った。
そして、なずなが微笑みながらやって来る。
「あっ・・・ゆのさん、宮子さん、お帰りなさい・・・今ですね、ヒロさん達が食材を取りに行っている最中なの・・・今晩は皆さんでしゃぶ肉会らしいですよ」
「わ〜〜い!・・・やった!・・・しゃぶしゃぶだ〜〜!」
毎度のように腹ぺこで元気のない宮子が、いきなりおおはしゃぎした・・・そして、飛び跳ねるような感じで部屋に上がっていった。
「ちょっと・・・土足!・・・土足!」
「宮ちゃん・・・まずはお風呂に入らないと・・・」
切り変わりの早い彼女の姿に、3人が唖然とした。
キッチンではヒロと紗英が夕飯の支度をしている。入浴を済ませた3人は同じ洋室部屋で課題の続きを進めている。ほのかな美しさで照らす壁掛け照明で灯台下暗しのように背景画を仕上げようと頑張っている。別の部屋では、課題をすでに終わらせている宮子がおにぎりと肉を密かにつまみ食いしながらソファーでまったりする。
「わたしもお手伝いしてもいいですか?」
「あら、助かるわね」
「うふふ・・・わたしもヒロさん達みたいに上手く作れたらなと思いまして・・・」
この時、なずなが思い切ってキッチンへ踏み入れる。花嫁修業を兼ねてのためか・・・食材を所狭しと準備している2人を見て、ここは女の子らしく気遣う。
「じゃあ、なずな・・・そこにある野菜を少しこさえてくれる?」
「あ・・・は〜〜い(にこ)」
早速、紗英が指示を出した。微笑むなずなは素直に従う。
「次は薄切りに切った豚しゃぶ肉を1つずつ丁寧に並べて、味醂で味付けするの」
「高菜豆腐は湯がいたあとで、冷水で少し冷やすと味が新鮮になってくるわ」
「は〜〜い、頑張ってみま〜す(にこ)」
アレンジする彼女の手料理をヒロと紗英が上手くフォローしている。
一方、宮子はソファーでまったりしながら漫画を読んでいる最中、テレビ台に隠されているあるものを目にした。
「ん?・・・何か良い物めっけ!」
それは、パッケージ入りのDVDが複数残されていた・・・色褪せしているため、題名や写真が薄く見えづらかった・・・アダルト用なのか?・・・それでも気にせず、こっそりとテレビに付属しているデッキに挿入した。
その液晶画面は短いタイトルから始まった後、本編へ移った。
「わ〜お〜・・・すばらしい(はあと)」
今までに見たことのない妄想の世界が実写として放映されていた・・・何というか・・・下着姿から脱ぐシーンやいろんなものが見えてしまいそうなハイレグ水着姿などなど艶めかしいポーズで催す女性達のエッチな画像だった・・・興奮冷めやらない状態の宮子は、よだれを垂らしながら動画の続きを食い入るように見つめる。
「な・・・何か・・・熱くなって・・・(ドキドキ)」
その時、課題を終わらせたゆのが部屋に侵入してきた・・・
「ちょっと・・・宮ちゃん・・・何を見ているの」
「おお〜・・・ゆのっち・・・今面白い動画やってるけど見ていってよ」
「これって・・・何なの?(ドキドキ)」
大人のあぶない画像を見てゆのも唖然とする・・・
「そっか・・・ゆのっちはまだ子供だから、観てもしょうもないかな・・・」
宮子だって、まだ未成年だけど・・・
「夕食できたわよ!!」
そこで紗英の声がかかった!
「ゆの!・・・宮子!」
立体サラウンドが聞こえたためか、2人に気付いた彼女が部屋に入る。
「こらこら・・・18歳未満が見てはいけないの!」
「あっ・・・紗英さん、すみません」
そして、ソファー置かれてあるリモコンを取って、すぐにテレビの電源を切った。ここは、大人のように2人を注意する。
「夕食出来上がったから、そのDVDは閉まって!」
「う〜〜ん・・・今いいところだったのに〜〜」
「宮ちゃん・・・鼻血出ているよ」
ゆのがティッシュを使って、宮子の鼻を綺麗に拭いてあげた・・・
そして、ダイニングテーブルでは加温したしゃぶ鍋を中心に薄切り肉や海老やカニ、野菜などがどっさり準備されていた。丁度良い食べ頃の鍋がぐつぐつ煮立っている。湯気混じりの暖かな香りがメンバー達を美味しく感じさせる。
「今日の夕食はスペシャルディナーよ」
腕に縒りをかけたヒロが力強い笑みを見せた。一品料理のような夕食はまるで宴会のようだった。
「わあ〜・・・」
ゆのは目を丸くした。
「今回はなずなも一生懸命に作ったのよ」
「うん・・・わたしも先輩達に良い批評を欲しくて頑張ったんです」
「なずな・・・やったじゃん!」
「えへへ・・・乃莉ちゃん・・・ありがと」
乃莉が励ましのポーズを見せると、なずなの表情に笑みが深まった。彼女も良妻賢母を目指したいために、ここは努力を惜しまなかった。それは、ヒロと紗英が十分に認めている。
「では・・・いったっだっきっま〜〜す!!」
この時ばかりが楽しみだと宮子はしゃぶ肉にがっつき始める。
「おお〜〜・・・トレビア〜〜ン」
「宮ちゃん・・・よっぽど食べたかったんだね・・・」
その肉を口に入れた途端、何かとずれた感性で答える・・・歯切りも良かったので、余ほど美味しいのだろう。それを見ているゆのが呆然とした。
「でも、こんな豪勢な夕食・・・みんなで食べてもお腹いっぱいになりそうですね」
よく見ると、しゃぶ肉の量やらご飯の量やらと、女の子6人が食べるには多いようだ。
「この時のために持参してきたの」
そこで、ヒロがこっそりと例のダイエットサプリを取り出した。
「あっ・・・カロリミットファンケルですね」
「食べる前に1回4粒、お水と一緒に飲むといいわよ」
「じゃあ・・・わたしも少しもらいましょうね」
やせたいけど食べたいという同じ気持ちのヒロとゆの・・・その錠剤を口に入れたあとでコップ1杯の水をゴクリとすすった。そして、心荻無く夕食を頂く。
「う〜ん・・・おいしいし腹も持たれない・・・これなら、気にせずに食べられるね」
「うふふ・・・沢山頂いちゃうわよ」
実際に効果があるのかどうかはわからないが・・・”いっぱい食べる君が好き・・・”というサプリメントの宣伝広告の影響を受けて肉や野菜、おむすびなど、次々とお箸でつまんでいく。それと並行に宮子も一緒になって食べ続けている。ダイエットサプリを信用しながら食べている2人とただひたすら食べまくっている食欲旺盛の1人・・・品目に関係無く好きな物から食べている満足さは3人同じだった。
「え・・・?」
その時、なずながきょとんとした。2人が鱈腹口にしている行動を見て何かに気付く。
「そう言えば、なすな・・・絵はまだ仕上げていなかったんじゃないの?」
宴会途中に話を変えて、紗英が聞く。
「あっ!?・・・うん・・・そうだった・・・」
「落ち着きなさいよ!・・・別に課題でもないから、焦る必要もないでしょ」
うろたえる姿を見て、乃莉が引きとめる。
「時間もあるから大丈夫だよ・・・なずなちゃんも沢山食べて・・・今日は楽しもうよ」
「はい・・・頂きます」
お気楽なゆのがヒロから譲ったダイエットサプリとコップ1杯の水を手渡した。口を隠してゴクリとした後、数切のしゃぶ肉を食べ下した。
「わあ・・・おいしい・・・これで体重のことは気にしなくてもいいんだよね(うふ)」
笑顔を見せるなずなもそう答えた。
2泊目の晩餐は6人のメンバーにとって、心の豊かさと幸せ気分を味わう。
そして、部屋に戻って、なずなは1人絵画の仕上げにかかる。隣で乃莉がスマホでデータ管理を行っている。
「出来た〜!・・・乃莉ちゃん・・・わたし、絵を完成させたよ」
「どれどれ・・・おお〜・・・なずな、やったじゃない」
「えへへ・・・乃莉ちゃん・・・うれしいな」
完成させた給水塔の背景画は、かなり立派なものだった。水彩画とは思えないぐらい影絵のグラデーションなども見事に決まっている。
「ちゃんとみんなにお礼しなさいよ」
「は〜い!・・・ゆのさん、ヒロさん、紗英さん・・・わたし、ついに絵を完成させました」
乃莉の言うとおりになずなが思い切り絵を見せた。
「なずなちゃん・・・とても上手だよ」
「初めてにしては上出来じゃない」
「なずなさん・・・よくここまで描いたわね・・・すばらしいわ」
「はい・・・ありがとうございます・・・これで先輩達と一緒に頑張っていきますね」
みんなから祝福を受けたなずなは、屈託のない笑顔で再びお礼をした。料理に絵画と一生懸命に努力した彼女の成果は今までに無かった1つの自信を得た。今回の旅行で、なずなにとってきっと良い経験となっているに違いない。
夜遅く・・・2階のテラスからヒロと紗英が心地よさそうに町の夜景を眺める。遠くから灯台のほのかな光が美しい稜線を描くように照らされてくる。海岸から聞こえてくる夜のさざ波は2人だけのロマンチストを味わう。
「2泊目の夜か・・・長いようで何かあっという間だったね」
「ええ・・・この宿泊施設も、とても気持ちいいわ・・・本当に卒業旅行として良い思い出が残せそうね」
「そうそう・・・他の4人は、寝てしまっているしね・・・」
「うふふ・・・気持ちよさそうにね」
それぞれの部屋にぐったりと寝ている姿に2はふうっと微笑む。ルームエアコンから吹き出す温風は部屋を一層心地よくさせている。
プルルルルル!!・・・
黄昏れている2人だけの空間を破るかのように、紗英の携帯電話に着信が鳴った。
「はい・・・もしもし」
「「あっ・・・お姉ちゃん!」」
ポーカーフェイスを保ちつつ速やかに応対すると、相手は妹の智花(CV:釘宮さん)からである。こんな夜分遅くからでも電話がくるのは、彼女以外に他にいないだろうと思うが・・・
「「・・・もしかして、みんなと卒業旅行でしょ」」
「何で知っているの?」
「「だって・・・夏目先輩から聞いたもん・・・」」
「夏目と会ったの?」
「「本当にずるいよ・・・あたしも行きたかったのに〜!」」
「あんた・・・部活の合宿があるでしょ」
「「合宿なんて別に行きたくなかったの・・・毎日、練習でつまらないし」」
「はぁ?・・・甲子園のアルプススタンドで演奏ができるから、普通は憧れるものじゃない」
「「やだ〜!!・・・旅行がいいもん!!」」
「・・・明日には帰ってくるから、それまで辛抱しなさい」
「「お土産忘れないでよ〜!」」
さらっと言った後に電話が切れた・・・
「もう・・・」
紗英はふっと息をつく。わがままな口調で会釈する妹に呆れ果てていた。
「うふふ・・・相変わらずの可愛い妹さんね」
ヒロには妹の声は聞こえなかったけど、電話で掛け合いしていた紗英の姿を見て穏やかな笑みを浮かべた。
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