新編

魔法少女まどかマギカ

ひぐらしのく頃にの物語

10人の魔法少女達・・・

 

第13章

 


 

夜遅く・・・学校からようやく帰ってきた圭一は、誰もいない部屋ですぐに横たわった。不安な気持ちが胸にざわめいた・・・

 圭一「知恵先生に次いで、まどかも行方不明になる連続事件・・・全ては俺のせいになっているのか!?・・・くそっ!」

 圭一「あいつ(/(◍w◍)\)が言ったことは本当なのか?・・・もし、そうだとしたら、捜索願で解決できるものだろうか・・・」

圭一はキュゥべえから聞いたことに疑いを感じた。魔女にさらわれたことの真偽を・・・それとも罠なのか?

  その時、電話がジリジリ鳴った・・・

 圭一「もしもし・・・」

   「「大石警部だけど・・・」」

 圭一「知恵先生は見つかりそうですか?」

   「「まだ手がかりはつかめないな・・・そう言えば、あんたと同じクラスの女子の捜索願が来ているようだけど・・・」」

 圭一「・・・そうですか・・・大石警部でも難しいですか・・・」

   「「しかしおめえ・・・やけに元気ないようだな・・・よし!今日は近くの広場で一緒に飲もうか!・・・」」

 圭一「ええ・・・」

   「「綿流し祭も開催していることだし・・・そこで少し話しでもしよう!」」

そして大石警部が、この夜に彼を近くの公園へ誘った・・・川沿いでの小さな祭は『綿流し』と言われており、毎年行われている・・・この村ならではの賑やかなイベントだった。大石警部は、この祭の防犯係として管理している。

 大石「まずはジュースでも飲め!・・・今日はわしのおごりだ!」

 圭一「はい・・・頂きます・・・」

太っ腹の大石警部が缶ビールをガバ呑みすると爽快にゲップを吐いた・・・圭一は隣のベンチで静かにジュースを飲む。

大石「どうだ!・・・向こうの学校でも頑張っているかい?」

圭一「あんまり・・・」

 大石「何だ何だ!!度胸ねえな・・・お前らしくねえ」

圭一「痛っ!・・・学校のレベルが雛見沢と随分違うというか・・・学習内容にまだ慣れてないです・・・」

大石「そうかいそうかい!」

 元気のない圭一を大石警部が思いきり叩いて励ます。この楽しい日々も魔女によって次第に穢れていくのだろうか?・・・隣町の見滝原市は奇襲してくると宣告されている・・・しかし、災難に遭っているとのことである人からも懸念されている・・・彼の脳裏には葛藤状態で判断も着かなくなってしまっているため、そのことを打ち明けてみた。

 圭一「大石さん・・・まさかとは思いますが・・・この村や町に魔女が襲撃しているらしいんです・・・知恵先生が行方不明になったのも、雛見沢分校の半壊もその魔女が原因ではないかと・・・」

大石「魔女?・・・この村にかい?」

圭一「ええ・・・その為に俺はその・・・今通っているクラスの女子から魔女退治をお願いされているですが・・・鷹野がそれを阻止しようとするんです・・・女難に遭っているとのことで・・・」

 大石「ほう〜、女難か」

圭一「彼女のいきさつは良く当たるとのことで評判高いですし・・・魔女界は非情にも死に陥るとのことで断ったほうがいいのか?・・・それとは関係なく引き受けたほうがいいのか?・・・教えてくれませんか」

  飲みっぷりな姿を見せても、幾度の推理をこなしてきた名のあるベテラン警部だ・・・より確実なアドバイスをしてくれると信じて質問してみた。すると、缶ビールを片手に大石警部はこう答えた。

大石「まあ・・・おめえは、この村でも随分救ってもらっているしな・・・平和にする責任感は誰よりも人一倍だ・・・それはわしも十分に理解しとる・・・魔女とは通常、女性の邪心で化けて出る悪魔の由来だから、本来なら女性で対抗するべきじゃないかな・・・」

圭一「そう思いますか・・・でも捜索願をされているクラスの女子が魔女にさらわれたことで、俺が疑われているんですよ」

大石「成る程な・・・まあ、それでも・・・鷹野さんが言っていることは信じたほうがええな・・・何たって彼女の占いは玄人だ!」

圭一「でもな・・・」

大石「大人の言うことは聞いたほうがええぞ・・・それだけに人生渡ってきておる・・・一緒に戦いたいエネルギッシュな気持ちはわからん訳でもない・・・わしも昔はそうだったからな・・・」

圭一「大石さんも?」

大石「だがな、おめえまだ若いんだ・・・先走って死に急ぐことはねえ・・・これからの人生やることたくさんあるだろうし・・・よそのことまで手出す必要なんてねえよ」

圭一「そうですか・・・」

大石「行方不明の件は、わしが解決してやる・・・だからおめえは自分の正しい意志思考で進んでくれ」

 圭一「はあ〜・・・」

  大石警部も解決できる事件ではないのに・・・何たって魔女だしな・・・一般の人には見えないはずだ・・・

そこで富竹がカメラをひさげてやって来る。

 富竹「大石さん・・・祭りの写真はきっちり撮りましたよ・・・」

圭一「トミー?」

大石「おお、ご苦労だったな・・・お前もビール飲め!」

 富竹「あっ・・・頂きます・・・」

  大石警部が1本の缶ビールを投げ渡すと照れくさそうに受け取る。

 富竹「それより大石さん・・・最近ですね、大事件が勃発しているんですよ・・・」

 大石「ああ、前原君から聞いたよ・・・魔女事件だろ!」

 富竹「ええ・・・夕方ですね、見滝原のスタジオ事務所で洗脳された少女達が仲間1人と指導者に襲ってきたらしくて、自分はその2人を助けたんですよ」

 大石「それは大変だったな・・・で・・・2人は無事に帰したのか?」

 富竹「勿論ですよ・・・1人は友達のところへ行きたいとのことで、途中逃がしてあげたのですが・・・彼女、両親亡くしてひとりで暮らしていると聞きましてね・・・仲間が欲しい理由でアイドル目指して頑張っているそうですよ」

 圭一「もしかして、マミさんかな?」

  同じ学校の先輩のことに彼は反応した・・・放課後、富竹が車で飛ばしたあの事件のことだったのだろうか・・・町がたちまち暴動していることを聞いてますます不安をよぎった。

  そして・・・この時間に、祭りは最後の催しとして小さな花火を夜空に散らした・・・

 大石「小さくても鮮やかだな!」

富竹「そうですな・・・こちらの川沿いの蛍もなかなか綺麗なものですよ・・・なあ、圭一君!」

圭一「ああ・・・」

 花火と蛍で発するほのかな光はとても綺麗だった・・・この村の絶景に圭一も心地良くなった。

 

  その一方、園崎家では、姉妹喧嘩の最中だった・・・花火音が鳴るその光は、2人の剣幕を照らしていた・・・

 魅音「羽入がさらわれたって・・・みんな、そう言ってたよ!」

詩音「本当に逃がしてあげたのよ・・・」

魅音「じゃあ、どうして魔女の使い魔になったのよ!・・・梨花ちゃんから聞いたの!」

詩音「そんな・・・知らないよ・・・」

魅音「“知らない”では済まないよ・・・羽入が古手神社の主神だってことわかるでしょう・・・魔女なんかに捕虜されたらどんな目に遭わされるか!?」

詩音「でも、うちのせいじゃないよ・・・」

魅音「そう言って責任逃れするの?・・・最後まで見守ることが出来なかったの!?」

詩音「鷹野さんがいきなり来たから、逃がす方法でしかなかったのよ」

魅音「とにかく・・・明日あんたが羽入を連れ戻してよ!」

その時・・・

   「どあほが!!・・・なんに喧嘩しとるのじゃ!」

  うっとうしかったのか・・・縦柄模様の着物姿の老婆が2人の部屋に来て怒鳴った!

魅音「ばっちゃ・・・詩音がね、羽入を見守ってあげなかったから・・・それで注意しているの」

詩音「そんな・・・おねぇは勘違いしているのよ!」

魅音「勘違いじゃないってば!!」

   「くだらん争いは、よそでせーや・・・」

  2人に叱った後、そのまま自分の居間へ戻っていく・・・

詩音「うちも自分の部屋に戻るね・・・」

魅音「・・・」

  2人の喧嘩が収まった後、外の花火もすでに終えていた。

 

  朝早く・・・圭一は自宅から登校中、雛見沢商店で再びあの人と出会う・・・

鷹野「あ〜ら・・・今登校?・・・少し早いんじゃないの」

 圭一「学校まで遠いんだ・・・今出ないと間に合わなくなる」

  郵便ポストの前で腕を組む鷹野が冷笑する。

 鷹野「ここから本論・・・昨日のこと、覚えているよね〜・・・女難に遭っていることを」

圭一「そんなにしつこくまとって・・・あんたは何が言いたいんだ!」

 鷹野「私はあなたのために心配して言っているの・・・もしかして、学校であの女子達と一緒に行動するの?・・・自殺行為よ!」

圭一「たとえ梨花や沙都子でもか?」

 鷹野「勿論・・・あなた、過去に魔女の夢見なかった?」

圭一「そう言えば?・・・ほむらがいたような・・・あの時の悪夢が?」

圭一は最も肝心なことを忘れていた・・・あの『舞台装置の魔女』の前で消えていく夢を・・・

鷹野「くすくす・・・ほむらね・・・あの子は悪魔よ・・・」

圭一「何だと?・・・あんた、彼女をなぜ知っているんだ!?」

鷹野「あなた達の生徒から聞いたわ・・・評判悪い女だとのことを・・・あなたを魔女の世界へおびき寄せるためにね・・・」

その噂話、誰から聞いたのか?・・・彼女と実際会ったこともないのに?・・・鷹野はその話だけを鵜呑みにしている様子だ・・・

圭一「何!?・・・これってまさか別クラスにいた?」

この時、圭一は恐怖に怯えている女子生徒を直感した・・・確か、あの時は廊下に立たされている時だった・・・あの女子と鷹野とは何か関係があるのか!?

鷹野「男の子が女の子の遊びに誘われて朽ち果てる・・・哀れな話よね・・・」

  だが、その追憶も鷹野の勾玉によって打ち消されていく・・・その嫌みを聞いた彼は虚無感を覚えていく。

鷹野「その夢って・・・本当に当たるのよ・・・今でも現実化されていることに気付かないの?」

圭一「確かに現実されつつ・・・あるな・・・」

鷹野「だからこそ・・・縁を切るんじゃないかしら・・・『みんな仲間だ』などとそういう同情なんて捨てちゃいなさいよ・・・仲間なんかさ、ほんの余興にしかすぎない・・・世の中には沢山の人がいるの・・・」

圭一「そんな簡単に縁が切れるかよ!」

諦めの悪い圭一を更に勾玉で揺すぶった・・・

鷹野「そして、あなたにとって明日が厄日よ!」

圭一「や・・・厄日?・・・さらわれた人達はどうなるんだ?・・・知恵先生も行方不明なんだよ・・・」

鷹野「そうそう言い忘れたけど・・・今、私が説明したことは誰にも言ってはならない・・・」

圭一「昨日の綿流し祭で大石さんに打ち明けてしまったけど!?」

鷹野「大石警部ね・・・彼はこの事件には関与されてないから大丈夫・・・今後、あなた達のクラスの女子に対してのことよ!・・・女難に遭っていることや私にそう告げられたとか・・・もし一言でも暴露したら確実に からね!・・・私の予言はよく当たるとの評判だからね・・・くすくすくす」

非情にもプライドの高い鷹野は圭一に対して厳重に忠告した・・・その薄気味悪い笑い声は何かと恐怖に感じた・・・

圭一「じゃあ・・・どうすればいいんだよ・・・」

鷹野「今、あなたの進むべき選択岐は2つ!」

圭一「何!?」

 鷹野「まず、私の言う通りに従って平穏な日々を送るか・・・それとも、あの小娘らの言いなりに魔女と出会って命落とすか・・・そのどちらかよ」

圭一「うっ!・・・」

鷹野「ま、利口な人間ならどれを選ぶかが、もう分かるはずだけどね・・・くすくすくす!」

圭一「・・・くっ!」

  確かに誰もが答えの出る選択だ・・・しかし、仲間意識が高い彼にとって前者は選び難いだろう・・・彼の戸惑いも容赦なく告げる鷹野は薄笑いして去っていった。

 

見滝原中学校SHR時間・・・

早乙女先生「突然ですが・・・皆さんに悲しいお知らせがあります・・・」

 悲しいお知らせとのことで、生徒達はふと静まった・・・

早乙女先生「今日は鹿目さんがお休みですが・・・保護者から行方が分からないとの通報がありました!・・・現在捜索中のようです・・・」

「「「ええええ〜〜!!!・・・」」」

 そして、担任の報告を聞くと大事件が起きたかのように大騒ぎする・・・

「先生・・・まどかはいつ頃からいなくなったんですか・・・」

 早乙女先生「昨日の夜からですかね・・・学校帰りが遅くなってからだと推定しますが・・・」

1人の女子生徒が質問すると担任も困ったような感じで答えた。今日もこの教室には同じように、席がまた1つ空いた・・・

「もしかしたら、誘拐!?・・・(涙)」

  「ねえ〜・・・無事に戻ってくるのかな〜・・・(涙)」

早乙女先生「今は戻ってくることを信じましょう・・・警察官や自衛隊にもすでに捜索させてあります・・・」

他の女子生徒も次々と問いかけてきた・・・あのおしとやかで心優しい女が行方不明になってしまった・・・その事件を聞いて数人の生徒が涙ぐむ。

 そして、レナもその事態に反応して・・・

レナ「もしかしてあの時、圭一君をずっと待たしたからかな・・・かな・・・」

 昨日の入院中に、まどかと待ち合わせしたはずの彼を呼び止めて時間稼ぎしたことに戸惑い始めた・・・彼女は圭一のことを気にしすぎていたために今のような結果を招いてしまったじゃないかと思い込む。

レナ「もしそうだとしたら、ごめんね・・・まどかちゃん・・・ほむらちゃんとかは、すでに知っているのかな?・・・かな?(あせあせ)」

レナは自分のソウルジェムをしっかり握り閉めた・・・キュゥべえによってソウルジェムは普通のオレンジ色に取り替えられている・・・

その時、彼女からの遠隔のメッセージが届いた・・・

ほむら「「まどかは、魔女にさらわれた・・・その旨はみんなに話してあるから・・・今日の放課後、公園に来て・・・」」

レナ「「え?・・・うん・・・」」

  このことは誰もが聞こえないし気付けない・・・契約した魔法少女だけのテレパシー伝言だった。レナが見つめると、前の席で彼女が浮かない顔をしていた・・・やはりまどかのことで気落ちしているのだろう。

 その隣の席でも、圭一は頭を抱えて悩んでいた・・・これ以上犠牲者を増やさないためにも、自分の身を守るためにも彼は鷹野の言うことを従うことにした。

 

 そして放課後・・・校門やグラウンドでは部活動で生徒達が一斉になって練習していた。その気合いの声が教室にまで響いている・・・

早乙女先生「今日という今日は絶対に帰しませんよ!」

圭一「こんな沢山の問題を今日で覚えるんですか!?」

早乙女先生「当然ですよ!・・・いつも言い訳して逃げてばかりだから、ちゃんと理解してもらいますからね!」

 圭一「ちょっと、それだけは勘弁して〜(涙)」

早乙女先生「問答無用です・・・すぐに始めなさい!!」

  はちまき巻いて、『よい子になる棒』を持ちながら早乙女先生が厳しく補習をさせると圭一は嘆く。当校の教科書の問題を解こうとするが、なかなか分からない様子だった・・・

圭一「ああ〜・・・こんな時に、まどかやさやかが居てくれたなあ〜・・・」

 あの優秀な2人がアドバイスしてくれるだけでも、彼にとっての補習は大助かりなはずだのに・・・まどかのいないのはしょうがないが、さやかは何処に行ったのだろうか?

 早乙女先生「何か言いましたか!!?」

圭一「いいえ!・・・何も・・・」

 彼の呟く声が聞こえたのか・・・先生がお手持ちの棒で机を叩きながら激を飛ばすと、せかせかと問題を解き始める・・・

 そんな重々しい空気に圧迫されるような補習時間が続くとき、丁度いいところに別の先生が教室に訪れた・・・

「早乙女先生・・・ちょっとよろしいでしょうか」

早乙女先生「ええ・・・何でしょう」

「今ですね、自宅から電話がありまして・・・家族の人がすぐに帰って来てほしいとの言付けが・・・」

早乙女先生「まあ・・・そうですか・・・」

圭一「これは奇跡か?・・・」

 しめしめ・・・あの担任が急用で帰ってしまう・・・他の先生からの事情を密かに聞くと、圭一の表情に笑顔が覗えた・・・どうやら補習は終わりそうだ・・・

早乙女先生「はあ〜・・・しょうがないわね・・・今日はここでおひらきとしましょう・・・続きは、また今度にします!」

圭一「あっ、はい・・・(や・・・やった・・・)」

 ため息を吐く早乙女先生が教室から出て行くと、膨張弁を通過して低圧状態になったような感じで気を軽くする。無意識に机にべたつく圭一は大万歳だった。

 その後に、魅音が圭一を呼びに教室に入って来る・・・

魅音「あっ、圭ちゃん、ようやく終わったようね・・・」

圭一「何だ、魅音か?・・・お前も今日補習だったのか?」

魅音「違うよ・・・今ね、大変な事態なのよ・・・ほむらちゃんがね、圭ちゃんに話があるそうよ・・・すぐ来て欲しいって!」

圭一「・・・今日は無理だと伝えてくれんか?」

あの鷹野の指示どおりに、圭一はあっさり断る。その以外な返答に魅音が戸惑う・・・

魅音「ちょっと、どうしたのよ!?」

圭一「別に何もない・・・」

 そしてレナも来た・・・

 レナ「あの圭一君・・・まどかちゃんが魔女にさらわれたと聞いたから、ほむらちゃんが助けて欲しいって・・・」

圭一「レナもか?・・・だから無理だと・・・魔女退治は断ると言っといてくれ!」

魅音「ああ〜、もう!!・・・ちょっと来なよ!!・・・レナも手伝って!!」

レナ「うん!」

圭一「痛っ!!・・・放せよ!!」

いたたまりもなかったのか・・・せっかちな魅音とレナが強引に彼を引っ張って、みんなが集結する公園にまで連れていく・・・

 

戻る  続く

 


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