新編

魔法少女まどかマギカ

ひぐらしのく頃にの物語

10人の魔法少女達・・・

 

第15章

 


 

ドンドン!!・・・ドンドン!!・・・

奇妙な衝撃音に、圭一は突如目を覚ました・・・

誰かが来ているのか?・・・それとも、何かの大騒ぎなのか?・・・

玄関から出てみると、そこには異様な景色を起想させた・・・

・・・血の色のような赤く染まった夜空!

・・・上空は禍々しい雲で覆い!

・・・そして、周辺の建物は崩壊して、強風に煽られている!

「どうして・・・どうして助けないの?・・・」

「助ける?・・・俺は魔女退治なんざ、やらないと言ったはずだ!」

「まどかが魔女によって支配されていくの・・・穢れていくの・・・」

「まどかが・・・支配だと!?」

黒髪の長い女の人が悲しそうな瞳で追い求めるも、圭一はにべもなく拒否する・・・しかし、まどかのことを聞いてまた躊躇する。

「きっと鷹野って奴に言われたのね・・・『女難に遭っているから断れ!』とのことで・・・」

「待て!?・・・なぜ、それを知っているんだ!・・・」

「“あなたが呪われるとのことであの女から口止めにされている”・・・その秘密を知ってしまったの・・・」

鷹野によってストライキーが起されていることを、イレギュラーな彼女はすでに知っていた・・・その落ち着き払った様子に、圭一は背筋が凍る思いだった・・・

「おい!・・・お・・・俺はもう、呪われてしまうのかよ〜〜!?」

「呪いは私が解いてあげる・・・だからまどかを・・・鹿目まどかを連れ戻して来て・・・」

女の人が指差すと、その上空にはあの悪魔が再び空を舞った・・・

「「「アッハハハハ〜!!」」」

「ま・・・待て、その前に金属バットがな〜〜〜い!!!」

「あなたなら、きっとできるわ・・・ここで運命を変えるの・・・」

喚き声にも届かず、微笑む女の人が力強く押した!・・・そして彼のぼやけた視力が徐々に戻ってくる・・・はっきり見えたその人の姿は“暁美ほむら”だった・・・

「や・・・やめろ〜〜〜・・・うわあああ!!!」

『ワルプルギスの夜』・・・不気味な笑い声の前で、彼はまた消えてしまった・・・

 

圭一「はあっ!・・・くっ!・・・また見たのかよ〜・・・あの夢を・・・」

再び目を覚ますと、そこは自分の部屋だった・・・絨毯の上で横たわっている彼の体中には再び冷や汗でいっぱいだった・・・圭一は更なる悪夢を見てしまった。

圭一「そうか・・・昨日追試の勉強中に、疲れて寝てしまったのか・・・」

圭一「ってか!!・・・もうこんな時間かよ〜〜〜!!!」

ため息を吐いて壁掛け時計を見つめると、圭一は驚愕した・・・学校へ行く時間がとっくに過ぎている・・・

圭一「やべえ〜!!・・・遅刻だ!!」

颯爽と制服に着替えて家から出た・・・

 

圭一「ダメだ・・・授業はとっくに始まっている・・・(汗)」

ダッシュして向かうが、息切れが絶えなかった・・・

圭一「いいや、今日はサボるか・・・学校行ったって、どうせろくな事ないし・・・」

今からだともう間に合わないため、登校するのを途中で諦めた。

圭一「しかし・・・今朝の夢は心底恐ろしかったな〜・・・あれがもし現実なら、俺は四面楚歌だな・・・」

その悪夢が今でも脳裏にまだ残っていた・・・圭一は肩で息をした。

圭一「そういえば、今日は俺にとっての厄日か・・・」

  鷹野から告げられた予言を聞いて恐る恐るとつぶやく。そして、そのまま建築中の母校へと向う・・・

 

  しかし、そこには最悪な結末が!・・・

圭一「これは、一体!?・・・どうしたことなんだ!?」

  現場にたどり着くと、昨日の夕暮れまで順調だった雛見沢分校がまた崩壊されていた・・・

  やはり誰かのいたずらなのか?・・・それとも祟りなのか?・・・その無残な跡形に圭一は愕然する。

「折角、設計図通りに建設できたと思いきや、このざまはないだろう〜!!」

「誰の仕業だ!?」

2人の建設作業員が校舎の破壊状況に憤りと悲しみを持った。

「このままでは、工期を延ばさざるを得ないな・・・」

そして、工事の現場代理人が落胆する。他の作業員達や教育委員会らも大騒ぎだった。

   「そこの小僧!!・・・お前この学校の生徒か!?」

圭一「はい、そうですけど・・・」

「多分こいつの仕業だ!!・・・学校が嫌だから、いたずらでもしたんだろう!!」

圭一「待ってください!・・・俺ではありませんよ・・・」

「それに、今日授業はどうした?・・・もしかして、さぼっているのか?」

圭一「ギクッ!?・・・いや・・・それは、その・・・」

  疑い深い大人からの叱責に圭一は後退りする・・・

「前原君・・・少し事情を聞かせてくれますか?」

圭一「事情も何も、俺は本当に何もしていませんよ!」

それを鵜呑みに顔見知りの教育委員会の職員からも追求されると、圭一はすぐに逃げ出した・・・

 

 圭一「くそ〜!・・・一体、どうなっているんだ!?」

 学校の事件で共犯の標的にされている彼は、心境のわからないままひたすら走りまくった・・・

「あの人、前原君よ・・・」

「確か、汚染されていた村を取り戻したんじゃなかったのかしら・・・」

「また惨劇が繰り返されているのに・・・」

「今度も女性達が狙われている事件らしいよ・・・」

圭一「なっ?・・・何だよ!?・・・」

途中で村を歩くと周りの住民達の視線が冷たかった・・・目の敵にされている圭一は完全に疑われている身だ・・・

圭一「どうしてだ・・・鷹野の言うとおりに従っているのに・・・俺はもう、魔女なんて関わっていないはずだのに・・・厄日とはいえ、このざまかよ!?」

誰も気づかない場所(雛見沢商店裏)で圭一は1人嘆いた・・・鷹野の言う通りで実行しているのにも関わらず平穏な日々になっていない・・・この村が魔女によって穢れていく状態に村人達はまだ分からない様子だった。

  その時・・・あの人が文句を言いにやってくる!

悟史「おい!!圭一!!!」

圭一「悟史!?」

悟史「お前、年上に向かって呼び捨てするのか!?・・・言葉気いつけろ!!」

圭一「い・・・いきなり、どうしたというんだよ・・・」

悟史「とぼけるな!!!・・・みんなお前が詩音をさらったと聞いたぞ!!」

やはり村人からの疑心暗鬼によって犯人扱いにされているのか・・・激怒する悟史が圭一の襟元を強く握り閉めた。

圭一「それは俺じゃないよ・・・」

悟史「お前以外、誰がいると言うんだ!!」

圭一「本当に違う・・・信じてくれ!・・・きっと・・・それは魔女の仕業だよ」

悟史「はあ!?・・・魔女だと!?・・・何寝ぼけているんだ、こらっ!!」

圭一「い・・・一般の人には見えないから、信じがたいと思うが・・・本当に魔女がこの村まで襲ってるんだよ」

悟史「お前、村を平和にしたんじゃなかったのかよ!!・・・全てを終わらせたんじゃなかったのかよ!!!・・・全部、嘘なのか!!?」

圭一「嘘じゃないよ!・・・それと今のとは話が別で・・・」

悟史「とにかく、今すぐ詩音を取り戻してこい・・・お前が責任持ってこの村を平和にしろよ!!・・・でないと只ではおかないからな!!!」

圭一が否定するも周りの人達にはやはりわかってくれない・・・忠告する悟史は彼を突き飛ばした!

 

 そして・・・

 圭一「ぐわあ!!!(バキッ)・・・うっはあ!!!(ボコッ)・・・うっはあ!!!(バキッ)・・・何で俺ばかりいいい〜〜!!・・・くそお〜〜〜!!!」

  村人から疑われ、怨念を抱かれ、そして事件の犯人と勘違いされてしまい・・・圭一は自宅で荒れまくった・・・自分の金属バットでたちまち部屋を叩き割る!

  襖は割れ、本や漫画は散らかり、そして自分の作った模型をも破壊した・・・その力強い打撃で自分のバットまでへし折れてしまった!

 圭一「せっかく神の祟りから開放されたかと思ったら、次は魔女かよ!!・・・本当にどうかしているぜ、この世の中はよ!!!」

圭一「ああ〜〜!!やってられんぜ、ちくしょう!!!」

  自分の思い通りにいかないことで自暴自棄になり、ついに横たわった圭一は大きな声で喚き散らした。

その時、電話がジリジリ鳴った・・・

圭一「もしもし・・・」

静かに受話器を取って応対した。

「「その声は圭一君かね?」」

圭一「はい、そうですけど・・・」

   「「知久だけど・・・学校・・・もう終わったんだね?」」

 圭一「え?・・・まどかのお父さん?」

「「少しお時間いいかな?」」

圭一「はい・・・」

「「実はタツヤが朝から泣き止まなくて困っているんだ・・・まどかが帰って来ないから、きっと寂しく泣いていると思うんだ・・・せめて君だけでも来て、面倒見てもらえたら助かるのだけど・・・その件は可能かね?」」

圭一「・・・わかりました、今から行きます」

電話の相手はまどかの父、知久からだった。彼からのお願いに少しだけ落ち着きを取り戻した圭一は、何の躊躇いもなく了解した。

 

  そして、まどかの自宅にたどり着いた圭一が、ドアホンを鳴らした。

知久「わざわざ遠くから来て頂いて本当にすまない・・・近所の人がうるさくて・・・」

  すると、知久が歓迎してくれた。

圭一「いいえ、大丈夫です・・・」

知久「君のおかげで、タツヤも泣き止んでいるよ」

圭一「そうですか・・・良かったです・・・」

知久「さあ、上がっていいよ・・・今、ジュースでもだそうね」

圭一「あ、ありがとう・・・」

近所の村からは敬遠されているも、ここでは生暖かく迎えてくれた。圭一は気持ちがとても良かった。

圭一「あの・・・まどかがまだ帰って来ていないようで、やはり両親そしては心配ですよね」

 知久「そうだね・・・悲しい状況だけど、早く戻ってくれたら幸いだよ」

圭一「本当にすみません・・・何て言うか・・・俺、何もお役に立てなくって・・・それに犠牲者まで出してしまって・・・」

知久「別に君が謝ることないよ・・・捜索もお願いしているからきっと大丈夫だよ・・・心配してくれてありがとう」

圭一「ええ・・・どういたしまして・・・」

  たとえ娘が行方不明になっても、この家庭の主は円満で寛大だった。

タツヤ「ねえ〜、おにーちゃん・・・いっしょにあそぼーよ!」

圭一「よし!・・・今日はお兄ちゃんと一緒に遊ぶか!」

タツヤ「うん!・・・おへやへいこう!いこう!」

知久「ははは・・・タツヤは圭一君のことが気に入っているみたいだね・・・良かった良かった!」

圭一「これで、お役に立てれば・・・」

  圭一が来てくれたおかげで、幼い少年はすっかり笑顔を取り戻した・・・そして2人でまどかの部屋へ向かった。

 

  圭一はまどかの机で、彼女が書き残したスケッチブックを静かにめくった・・・それは、憧れの魔法少女を色鉛筆で描画した展開図だった。

 圭一「魔法少女に憧れていたんだ・・・」

  そして、棚には彼女の写真が数枚置かれてあった・・・その内の1枚を覗くと幼い頃のまどかの写真があった・・・

圭一「(俺の幼い頃と似ているような・・・)」

記憶にある自分の幼い頃と比較しても、髪の色を除けば何となく似ている感じだった。クラスからもよく噂にされているのは本当だったんだろうな・・・

圭一「(俺と似て、まどかはどう思っているのだろうか・・・)」

 その写真を黙々と見つめると、圭一は鼻で息をした・・・

タツヤ「ねえ・・・おにーちゃん、見て見て!・・・ボクお絵かきしたんだ〜!」

 圭一「どれどれ・・・」

タツヤ「これは、おにーちゃんとおねーちゃんがけっこんしているところの絵だよ〜!」

  タツヤが圭一の袖を引っ張って見せると、それはクレヨンで描いた絵だった・・・落書きのような雑な描画だったが2人が婚約している姿は確かに見えていた。

圭一「おお・・・上手いな!・・・タツヤはお絵かきもするんだね」

  それを圭一はタツヤの頭を優しくなでた。

タツヤ「そして、もう一枚の絵は・・・」

  タツヤは思い切り自信作を披露した。

タツヤ「おにーちゃんが魔法をつかって、魔女をやっつけているところの絵〜!!」

その絵は、魔法使いになった圭一が屈曲の光線で『舞台装置の魔女』を退治している絵だった・・・

 圭一「おお〜・・・これ俺かい?」

タツヤ「うん!・・・おにーちゃんが魔法使いになったら、すんごくつよくてかっこいいかな〜思うの・・・」

圭一「そうか!?」

タツヤ「おにーちゃんだったら・・・どんな魔女もいっぱいにやっつけられるよね・・・バットから魔法のビームでズバババババって!!・・・さいきょうの魔女だってたおせるんだ〜!・・・つよいんだぞ〜!」

圭一「照れるな・・・」

ここでタツヤは思い切りはしゃぐと圭一は無邪気に微笑んだ。どうやら憧れているようだった・・・

タツヤ「だから・・・お願い・・・それで・・・おねーちゃん・・・助けてあげて・・・クスン(涙)・・・」

圭一「タツヤ・・・」

すると、タツヤは一滴の涙をこぼして圭一に抱き付く・・・こんな幼い男の子に称えられて圭一はつぶらな瞳で見据える。

  この時、今まで断った仲間達のことで脳裏に映った・・・

悟史「お前が責任持って、この村を平和にしろよ!!」

杏子「魔法にゃ〜、男も女も関係ねーだろ!!」

ほむら「運命を変えてみようと思わない?・・・『ひぐらしのなく頃に』のようにね・・・」

そして・・・彼はここで目覚めた!

圭一「よし!わかった!・・・お兄ちゃん、お姉ちゃんを助けに行く!」

タツヤ「ホント?・・・わ〜〜い、ありがとう!・・・おにーちゃん(はあと)」

圭一「だから、もう泣いちゃーダメだぞ」

タツヤ「うん!・・・ボク、もう泣かないぞ!」

まだ3歳の幼児だのに、発想力は想像もつかなかった・・・この子のためにも圭一は魔女退治することをついに決心した!

そして、出かける前に知久に一言いう・・・

圭一「お父さん・・・やっぱり俺、まどかを救って来ます!」

知久「えっ?・・・君が助けるのかい?・・・とても危険なのでは?」

圭一「俺、目覚めたんです・・・彼女を助けたいんです・・・」

 知久「う〜ん・・・それは有り難いけど・・・君まで犠牲にする訳には・・・」

圭一「必ず連れ戻してきます!・・・だから、俺に任せてくれませんか」

 知久「わかった・・・でも、無茶はしないでよ・・・タツヤも君のこと、気にしているみたいから・・・」

彼の真剣な眼差しは父親も止められなかった。

圭一「タツヤなら、もう泣かないように説得してあるから大丈夫ですよ・・・では、行ってきます!」

  知久から頂いたオレンジジュースを一気飲みした後、家から飛び出した・・・

 

圭一「い、今から間に合うか〜〜!?・・・何としてでも、みんなと会わないと〜〜〜!!」

  裏切った仲間達と再会するために、東奔西走と走りまくる・・・

 その時、車に乗っているあいつが後方からクラクションを鳴らしてやって来る・・・

鷹野「そんなに急いで、何処行く気?」

 圭一「鷹野!?」

 鷹野「あなたにとって今が『厄日』だと、知っているよね?」

圭一「あんたの言われた通りにしたおかげで・・・学校はまた崩され、俺は村人から軽蔑されたんだ・・・全然平穏になっていなかったぞ!」

鷹野「あなたの行いが悪いじゃないのかしら?・・・くすくす」

圭一「一体何を企んでやがる!・・・詩音をさらったのも、あんたの仕業じゃないのか!!?」

鷹野「さてね・・・あなたが女難に遭っているから、少しでも排除するための協力をしただけよ」

圭一「羽入もか!!」

鷹野「勿論よ!・・・『触らぬ神に祟りなし』と言うじゃない・・・あの頑固な疫病神は相手にしないほうが身のためだと思っていてね!・・・まあ、魔女の餌食になっていればと思うと、正直せいせいするね・・・」

圭一「だからと言って、折角の仲間達を平気で排除するのかよ!!」

 鷹野「やはり、あの小娘達と出会うのね・・・可愛そうに・・・不幸が訪れるわね・・・」

ここで、鷹野は勾玉を揺すぶった・・・しかし、彼はタイミング良く黙想したため、通用しなかった・・・

圭一「ふざけるな!!!・・・どっちも同じ境遇辿ってるんじゃねーか!!」

鷹野「その態度!・・・やっぱり私を無視するつもりなのね!?」

圭一「俺はもう・・・あんたの言うことには従わない!!」

 鷹野「くっ!・・・なら、このまま死ぬが良いわ!!・・・どうなっても知らないからね!!」

  圭一に拒否されて悔やむ鷹野が変貌した・・・その姿はまるで悪魔のようだった。そして、車に乗ってすぐに去って行った。

 

そして・・・携帯電話である人に指令をかけた。

鷹野「・・・今から強敵がそちらへ奇襲してくるわ!・・1人残さず排除していって・・・勿論、人質も・・・どんな手段を使ってもいいわ!」

「「心配ご無用ですよ・・・もうすぐうちのボスがあの町に襲ってくるのだから・・・ここで、邪魔な奴らを殲滅できますよ・・・」」

鷹野「それは、良かった・・・残っている使い魔や手下も総攻撃かけちゃいなさい!」

    「「はいはい・・・かしこまりました!」」

  彼女は、何と魔女と連絡を取り合っていた・・・鷹野の非情な作戦に、さらわれた仲間達は無事助かるのか!?

 

  一方、圭一は仲間達を探しに必死になって走っている・・・

圭一「俺は、何を惑わされていたんだ・・・仲間を簡単に裏切って、自分だけ生き延びようとして・・・俺はダメだ〜〜〜!!」

  喚きながら走る・・・断ち止まることなく走る・・・

 圭一「学校行ってみるか!」

  まずは、近くの学校へ向かった・・・

 

                                                      戻る  続く

 


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