新編

魔法少女まどかマギカ

ひぐらしのく頃にの物語

10人の魔法少女達・・・

 

第21章

 


 

見滝原市のとあるマンション・・・

「仕事に使う資材と学用品はトランクに入れてあります」

「ええ・・・この遅くまでご苦労様です」

「社長に昇級になられて、御光栄だと存じますね・・・海外への大手企業へ転任するのですから、さぞ大変ですな」

「いいえ・・・息子の学校から急な転校せざるをえないから、そちらが大変ですね・・・今から外国語も勉強させないとね」

男子生徒「はい・・・大丈夫です・・・」

見滝原中学校で、たった3日間だけお世話になった臨時転校生・・・学校の休み時間で圭一と一緒におしゃべりしていた隣クラスの生徒だった。この氾濫の中、引っ越しの準備を終えて、高級車でホテルへ向かう親子連れも見えた。彼もスーツ姿で社会人ぶりの落ち着きを見せている。

「それにしてもこの街は、随分と荒れていますね・・・竜巻が襲って来てはいませんか?」

「原因が特定できない状況ですからね・・・」

男子生徒「竜巻ではなさそうですよ・・・明日にはきっと落ち着くでしょう・・・」

「そうですか・・・」

夜空を見上げた男子生徒は高級車で静かに座った。

男子生徒「頑張れ・・・圭一・・・」

そして、車から遠ざかる異様な光を彼は背中で見送る・・・

 

その頃・・・雛見沢村の公民館でも、まだ、彼らの戦況を遠くで眺めていた・・・

富竹「この惨劇・・・今がクライマックスのようですかね?」

大石「こんな真夜中に戦うなんて・・・無茶しているな・・・前原君!」

雛見沢分校の元部活メンバーは緊迫する様子で彼らを見届いている。

「圭一・・・」

公由夏美・・・彼のことが心配なのか・・・少女は夜空に向かって祈り始める・・・

大石「わしは、神社へ行って少し様子を見てくるかな・・・」

富竹「僕もお供します・・・」

嘆息する警部とそれに気遣うやさ男が専用のパトロールカーで古手神社へ向かう・・・暴風で祭具殿に影響が出てないか確認するためである。

その時、もう1人の児童が強風の夜空に向かって、戦っている仲間達を遠くで応援する!

   「そうだ!・・・みんなで、圭一さん達を応援しようぜ!」

「「「おお!!・・・圭一さん、頑張れ!!!」」」

「「「圭一兄ちゃん!!!」」」

「「「魅音さん!!!・・・レナさん!!!・・・いけ〜〜〜!!!」」」

「「「梨花!!!・・・沙都子!!!・・・ふぁいとおお!!!」」」

悟史「フン・・・」

雛見沢分校のクラス達が必死で声をかけている中、悟史はその後ろでクールに見届ける。

 

  圭一!・・・レナ!・・・魅音!・・・梨花!・・・沙都子!・・・羽入!(只今気絶中)

  そのかけ声は・・・雛見沢の部活メンバーに届いている・・・みんな・・・必死で戦っている・・・

 

  そして、圭一は・・・

  「「ギャハ・・・ギャハ・・・」」

ついに弱まった舞台装置の魔女に対して、とどめの一撃で消滅させようとしたその時・・・

 圭一「ん!?」

 その魔女の異変な行為に訝る・・・

魅音「な・・・!?」

梨花「何なのですか!?」

  すると・・・後方から魔獣が出現した!

杏子「次から次へと現れて来やがる!」

さやか「ソウルジェムも残り少ないのに!・・・」

レナ「みんなが使ってしまったからね・・・」

杏子「悪いけど・・・最後はあたしが使うぞ!」

キュゥべえ「ああ・・・あ!・・・グリーフシードもこれで終わりだ・・・実に残念だよ!」

ソウルジェムが穢れそうになっているので、杏子も自分手持ちのグリーフシードを使用する。それを見てキュゥべえが自分のエネルギー源としているものが利得できないことにいじけていた・・・

マミ「ソウルジェムが少なくても・・・残っている分だけ、まだ戦えるわ!・・・みんな、最後まで諦めちゃだめよ!!」

この時、先輩であるマミが後輩の仲間に励ましの声をかける!

魅音「そうよ・・・圭ちゃんが早くワルプルギスの夜を倒せば、終わることだからね!」

レナ「今、優勢な戦況になっているからもう少しのはずだよ・・・」

 圭一を信じて・・・魅音もレナも襲ってくる魔獣達に相手する。

梨花「魔獣も強敵なのです!」

沙都子「歯ごたえが大きいですわね!」

なぎさ「ベベも疲れているなのですよ!・・・」

召喚の魔女を休ませて・・・なぎさは自分のシャボン玉迎撃で梨花と沙都子を援護する。

 圭一「みんな頼むぞ!」

自分の魔法のスキルアップした技『千本ノック』を再度使い、舞台装置の魔女に全て命中させた!

「「ギャッハアアアア!!・・・」」

 圭一「ぜ〜・・・ぜ〜・・・どうだ!!」

「「キャハハハッ!」」

 しかし・・・なかなかくたばらなかった・・・

圭一「おかしい!・・・なぜだ!?・・・本来なら撃破しているはずだ・・・」

  技を使いすぎて、息切れしている姿に気づかずに長時間対戦していた。

圭一「は〜・・・力が・・・出ないな・・・」

 彼はここで、自分のソウルジェムを確認する・・・

圭一「しまった・・・何か疲れてきたと思ったら!!?」

 自分の魔法エネルギーが無くなってしまったことに気づき、威力が弱まっていた・・・

ほむら「いけない・・・前原さんのソウルジェムが濁ってきたわ!」

沙都子「濁ってしまうとどうなりますの?」

ほむら「魔法の力とは、万有引力相当のエネルギーを発揮するから、どんな魔女でも対抗できる・・・ソウルジェムが濁ると、魔法の効力も薄れるため、ほぼ通常の体に戻ってしまう・・・」

 沙都子「では・・・魔法なしで戦うことになりますの?・・・」

ほむら「しかも、鷹野の呪いもかかっているから・・・かなり危険な行為よ!」

レナ「グリーフシードも全て使い切ったし・・・」

まどか「どうしよう・・・圭一君が危ない!?」

不安の面持ちで心配そうに見届ける。

圭一「くそっ!・・・あんな奴、実力で叩き落としてやるぜ!!・・・」

その危機感もお構いなしに、やけになって戦いを続行する圭一・・・格闘のごとくバットで鋭く応戦するが・・・今の魔力の無い状態では、やはり太刀打ちできなかった・・・

「「アッハハッ!!!」」

バシッ!!!・・・ドカッ!!!

圭一「ぐああああっ!!」

 この時、ワルプルギスの夜に軍配が上がったのか!?・・・魔女の回し蹴りを数回食らった彼は大きくはじき飛ばされた!

圭一「がはっ!!」

 そして、瓦礫の中へと倒れていった・・・ソウルジェムは破損し、魔力は完全に失った・・・

梨花「圭一・・・(涙)」

沙都子「ソウルジェムが壊れてしまったから・・・いくら圭一さんでもあのワルプルギスの夜には勝てないのでしょうか・・・」

心配そうな顔で嘆く梨花と沙都子が圭一のところへ走っていく。

 まどか「圭一君・・・今助けるからね!」

この時、まどかが急遽、自分の補助魔法『癒しの光』を使用した・・・

キュゥべえ「まどか!・・・今の圭一に、その魔法は効果ないよ!」

まどか「どうしてなの!!?」

キュゥべえ「圭一のソウルジェムは穢れている・・・呪いのある彼には、いくら回復魔法使ったところで意味が無い・・・残念だけど・・・」

まどか「そんな・・・」

 頭から流血している痛々しい姿を見て、仲間全員が嘆いた・・・

 

「「「キャッハハハハ!!!・・・アヒャハハハハ!!!・・・アヒャハハハハ!!!」」」

 

 絶え間ない強風・・・

うなり音の鳴る薄暗がりの恐怖・・・

勝利をつかんだかのように、舞台装置の魔女が再び不気味な笑いを響かす!

杏子「こうなったら、残っているみんなであの魔女を叩き潰すぞ!!」

さやか「何とか食い止めないとね!」

マミ「ええ!!・・・ソウルジェムが少なくっても、全員で一つになれば奇跡は起こるはずだわ!!」

レナ「レナだって、いるんだからね!」

魅音「一斉に攻めるよ!!」

 杏子の号令により、残っている魔法少女達が舞台装置の魔女に総攻撃を仕掛ける!

ほむら「だめ!!!・・・むやみに攻め込んでも逆効果よ!!」

絶叫するも、彼女達に聞いてはくれなかった・・・

 杏子「食らえええ!!」

さやか「スプラッシュスティンガー!!!」

魅音「鉄板をも貫く銃の乱射はどうだ!!」

レナ「鎌鼬!!!」

マミ「これで終わりよ!!・・・ティロ・フィナーレ!!!」

杏子が疾風迅雷で!・・・さやかが複数の剣で!・・・魅音がライフル銃で・・・レナが大鎌で真空刃を放ち切り裂く!・・・そして、マミが強力な波動砲で舞台装置の魔女にとどめを刺す!

「「ギャハ!!・・・」」

 攻撃はかなり効いた!!・・・しかし、まだ撃沈してはいなかった。

 

「「「アヒャッハハハ!!!・・・アッハハハハ!!!」」」

 

 今度は舞台装置の魔女が反撃に転ずる・・・魔女の能力で浮き上がった瓦礫がほとばしる刃のように襲ってきた!!

マミ「みんな固まって!・・・安全地帯を張るから!」

みんなに制したマミが、自分の補助魔法『絶対領域』で相手の攻撃を無効にする。

杏子「おおっ!・・・助かったぜ!」

さやか「敵の攻撃が止むまで、しばらくはじっとしておこうよ」

しかし、反撃は止まない・・・マミは仲間の前で必死に防御するが・・・敵の破壊力が強いためか、その魔法の効力が次第に薄れてきた。

マミ「だめ〜!・・・ソウルジェムが持たない!」

なぎさ「わっ!・・・安全地帯が消えていきます・・・」

ついに効力が無くなった!

杏子「あああっ!!!」

さやか「きゃあ!!」

レナ「いやああ!!」

魅音「くっ!・・・強い!!」

更に!?・・・あの恐怖な巨大火炎波動砲を容赦なく放射した!

マミ「危ない!!・・・このままでは!!」

 為す術もなく・・・みんなが絶叫する!

  ど〜〜〜〜〜〜ん!!!

マミ「えっ!?・・・どうなっているの??」

なぎさ「ベベ〜〜!!!」

 マミが目を開けると、お菓子の魔女がみんなの前で盾になっていた・・・

マミ「お菓子の魔女さん・・・みんなをかばってくれたんだね・・・」

「く〜・・・く〜・・・」

火炎波動砲を直撃されたお菓子の魔女は苦しそうにあがいていた。

なぎさ「べべ〜〜!!」

なぎさが泣き崩れる・・・

マミ「ありがとう、お菓子の魔女さん・・・助けてくれて・・・」

そして、マミも泣き出す・・・

マミ「美樹さん!・・・お菓子の魔女さんを回復させてあげて!」

さやか「ええ・・・マミさん!」

マミにお願いされて、了解するさやかが癒やしの補助魔法を使用した。

さやか「体が大きいから、回復にも時間がかかるそうよ!・・・ソウルジェムも穢れてしまいそう!」

「く〜・・・く〜・・・」

「お前ら、ひどいこと言っているんじゃねー・・・たとえ魔物でも、友となって戦っている以上・・・俺達の同士だ!!」

「マミは絶対に・・・なぎさが死なせませんからね・・・安心していいのですよ」

なぎさ「“私は大丈夫よ、無理しなくてもいいから”と言っています・・・みんなの仲間になれてベベはきっと喜んでいますよ・・・(涙)」

マミを守る約束のことで・・・信頼されている仲間意識のことで・・・お菓子の魔女も一滴の涙が零れてきた・・・それをけなげになぎさが看護する。

 ほむら「人間の数の多さと前原さんの破壊力が大きいから・・その分、魔法の生命源となるエネルギーを多く消費したんだね・・・そこまで考えきれなかった・・・」

  この時、自分の判断ミスに落ち込んでいた。

 

                                                    戻る  続く

 


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